俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

秘密の関係【4】

 実は暁はマンションを出た所から引っかかっていた。

 芹をマンションに残し先に出た。エントランスには運転手付の車が待っている。そして、いつも通り駿が待ち構えていて挨拶を交わした。

「時間通りだな」

「当たり前だろう?俺を誰だと思ってる?」

「成宮さんは?」

「車で一緒には行かないと断られた」

「当たり前に乗る女よりいいじゃないか」

「そうなんだが、ストーカーの一件があったばかりで心配なんだ」

「何か連絡はあったのか?」

「ああ。思っていたより大勢に知られているようだ。実際に、ストーカー行為をするつもりのあるやつはごく一部だろうが、用心をするに越したことはない」

 会話をしながらも車に乗り込んだ暁だが、一瞬どこに視線を向けた。

「どうした?何か気になることでも?」

「ああ。一瞬誰かに見られた気がする」

「ストーカーか?」

「いや、女性の視線だ」

「だれだ?」

「わからない」

 一瞬にして暁がピリピリした空気を醸し出す。朝から不機嫌なことはあっても、緊張感を漂わせることは珍しい。芹に出逢ってからの暁の変化に駿は驚くばかりだ。

 いつも通り車内でスケジュール確認を済ませ、地下駐車場から社長室に入るが、やはり気になる。

 始業時間を迎えた頃には、我慢の限界がやってきた。

「シンジョーテックに行ってくる」

「はあ!?」

 駿が驚きの声を上げた時には、既に扉に向かっているではないか。

「ちょっ、ちょっと待て」

「待てない」

「いやいやいや」

「なにか文句でも?」

「普段、シンジョーテックに直接出向くことのない暁が現れたらおかしいだろう?」

「おかしいとかおかしくないとか関係ない。芹の顔を見ないと安心できない」

「成宮さんに迷惑が掛かるぞ」

「別に直接声を掛けるわけじゃない。社長に会いに行くだけだ」

「いつも呼びつけてる暁が会いに行くだと?それがおかしいんだ」

 社長室に入り秘書モードになっていた駿も呆れて素が出るほどの驚きだ。

「じゃあ、我慢して芹になにかあったら、俺は一生後悔するが、駿は責任取れるんだな?」

「…」

 半ば脅しが入っている。

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