俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

俺様御曹司様【6】 《side 芹》

《side 芹》

「芹はコーヒーは飲めるか?」

「えっ?は、はあ」

「ソファーに座ってろ。コーヒーでも淹れてやる」

「ええっ?」

「何を驚いてる。それくらい普段からしている」

 外国製だろう立派なコーヒーマシーンが、これまた立派なキッチンに鎮座している。

「ありがとうございます」

 社長に淹れてもらうのは気が引けるが、難しそうなマシーンを前に役に立てそうにない。

 ソファーに座り待っていると手持ち無沙汰になり、スマホを取り出した。暁から連れ出されて全く見れてなかったスマホには、たくさんの通知が来ている。そのひとつひとつをチェックする。

 芹奈としてのSNSのアカウントには、突然イベント会場からいなくなった芹奈への心配の声がたくさん寄せられている。

 まずは、そちらに謝罪の言葉を打ち込む。芹奈に会いに来てくれた人達に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。まさか、昨日の今日で新城社長が現れるとは予想もしていなかった。

 遠くからわざわざ会いに来てくれた人には申し訳ない。

 あとは、ハピカレからの通知が来ている。気になるが、ここではグッと我慢する。旬くんが拗ねないといいなぁと頭の中はすっかりハピカレだ。

 そこへ、スマートにコーヒーカップを持った社長が現れる。廉くんに似た社長を見ると、ゲームかリアルか混同しそうになる。

 どんなに俺様でもイケメンは得だなと思う。その上、こんな高級マンションに住んでいるのだ。

 普段から女性を寄せ付けないオーラを社長自身が出しているが、それだけではなく実は受付の女性達、特に数人が普段から目立つ女性に対して牽制しまくっているのだ。

 私も、実は絡まれたことがある。私自身としてではなく、仕事後地味メガネから普段の姿に戻った途端に目についたようだ。更には仕事モードの地味メガネでもダサいと嫌味を言われたこともある。

「スマホを見て難しい顔してどうした?」

「いえっ。少し考え事を」

「また、旬か?」

「いえ。旬くんは我慢してます」

「じゃあなんだ?」

「女子には色々あるんです」

 先程伝えたので、敢えてこれ以上話題にするのは止めた。


コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品