俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

攻防戦【5】

「呼んでみろ」

「はあ?なんで」

「なんでもだ」

「意味がわからない」

「プッアハハハハッ。もうダメだ。何だ?このバカげたやり取りは」

 二人の会話を、口を押さえて我慢していた駿に限界が来た。

「で?シュンは誰だ。こいつの事じゃないよな?」暁は、駿を指差し言う。

「??え〜と。こちらの方は、そういえばどちら様ですか?」

「「…」」意外な反応にふたりポカンとする。

 新城社長と秘書の稗田といえば、新城堂でもセットで知られる存在だ。

「成宮さん。自己紹介が遅れて申し訳ございません。わたくし、社長秘書をしております稗田駿と申します」

「秘書…」

「何だ?何か言いたそうだな。思った事を言ってみろ」

「いえ、すみません。社長のSPの方だと思っていました」

「ブハッ」

「…よく言われます」

 いつの間にか、社長室は和やかな雰囲気につつまれている。この状況に駿は驚くばかりだ。

「芹、明日は土曜だが予定は?」

「あります」

「シュンか?」

「…」

「シュンは何もんだ?彼氏か?」

「プライベートの事にお答えする必要はないですよね?」

「…」

「そろそろ失礼しても?」

「芹には、明日仕事をしてもらおうかな」

「はあ?職権乱用しないで下さい。明日は、幕内メッセにあっ」思わず行き先を言ってしまい口を抑える。

 だが、時既に遅し。暁はニヤニヤしている。

「へ〜、イベント会場でデートかぁ」

「…」

「楽しみだなぁ〜」

「へ?まさか来ないですよね」

「まぁ、俺もそんなに暇じゃないからなぁ」

「ですよね!」ホッと胸をなでおろす。

 ニヤニヤしたままの暁を訝しく思いながらも、長居はしたくない。

「では、失礼させていただきます」

 タイミングを逃すまい立ち上がる。

「あっ成宮さん、最上階からのエレベーターはセキュリティ上勝手には動かないので、下までお送りします」

「お願いします」

 先程までと違い暁が騒ぐこともなく、あっさりと社長室を後にした。


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