俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

攻防戦【1】

 翌日からも、退社時間になるとエントランスには暁の姿。

 同じビルで働くが、子会社で働く芹に暁が直接仕事で接する機会はない。従って呼び出す理由もない。社長という立場を利用することは、暁のプライドが許さない。

 駿や名取からは呆れられるが、諦める気はないのだ。自分の手で捕まえると意気込んでいる。

 数日経つと、退社する社員も慣れてくる。暁を気にすることなく通り過ぎる。

「暁、気は済んだか?」

 秘書としては、社長の奇行を何とか止めさせたい。名取に頼んで、芹がオフィスを出たタイミングで連絡をもらっている。だが、なぜかエントランスには現れないのだ。

「なぜ通らない。いや見逃してるのか?」

「きっと見逃してるんでしょうね…」

「俺は芹の姿を鮮明に覚えている」

「そう言われましても…」

「何とかならないか?」

「なりません!」

「次の手を考えるか…」

 芹に警戒されては元も子もない。

 だが、暁がここ数日エントランスに出現している事自体が、社内全体で警戒されているのだが、本人は全く気づいていない。

 暁は、芹を見逃すまいと夢中で、他は全く見えていないのだ。

 すでに、芹も連日の暁の行動に警戒している一人だ。たまたまなのか、自分が新城社長の前で転けた日から始まった待ち伏せのような行為。しかも、まだ目的は達成されていないのか、続いている。

 芹は万が一、新城社長の目的が自分にある時の用心のため、すでに対策している。だから、余計に暁には見つけることができない。
 
 見逃すまいと必死な暁と、用心に用心を重ねる芹。

 そして数日で暁があることに気づく…

 

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