俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

出会い【1】

 『新城堂/SHINJYODO』の社長に就任して一年。


 祖父が子供達の喜ぶ顔が見たいと始めた『ゲーム機の新城』は、年々右肩上がりで業績を伸ばし、父である前社長の代に『新城堂/SHINJYODO』と社名を変更し、子供から大人までが楽しむゲーム機として、世界中で親しまれ遊ばれている。

 三代目として跡を継いだ新城暁しんじょうあかつきも、経営者として評価が高い。

 更には180cmを超える長身に甘いマスクの暁は、経営者としてだけではなく、イケメン御曹司としても女性達から騒がれている。

 業績が上がれば上がるほど注目度が増し、暁の機嫌は業績と反比例して下がっていく。

 日々注目され、隙を見せようものなら、女性が集まってくる。イライラが募る日々。簡単には近寄れないオーラを放っている。

 もちろん、社長秘書も秘書課も男性と徹底している。とにかく甲高い声で騒がれるのが嫌なのだ。

 本当は、自分と関わる人間は全て男にしたいと思うほど、女性には今まで嫌な印象しかない。

 外出先から、社のエントランスに戻って来た。エントランスに常駐する警備員が後部座席のドアを外から開け、頭を下げる。

 秘書の稗田駿ひえだしゅんが助手席から降り、暁が降りるのを待っている。

 暁が降りたのを見届け、駿が暁の半歩前を歩く。前を歩くのは、暁に接触しようとする者を阻止するため。秘書なのだが、SPと言った方がしっくりくる。両方の能力を兼ね備えている。

 駿は、暁の父親の有能な秘書だった稗田の息子で、幼き頃から暁の秘書になるべく一緒に育った。更には、暁を守れるように柔道、剣道、空手を習い有段者なのだ。ちなみに、暁も自身の身を守れるようにと一緒に通っていた。暁自身も有段者という最強のふたりだ。

 駿はがたいがいいため少しいかついイメージはあるが、暁とは違ったタイプのイケメンなのだ。そして、暁の素の姿を知る唯一の存在と言える。

 いつも冷静に対応する駿は、暁にとってなくてはならない存在なのだ。

 

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