五月(Satsuki)

柊 ミチル

2:夏休み

「ちょっと…お母さん、学校着いた!」
とずっとハグする母
「あと1分……」
「もう…それで30分経ってるんだけど…」
「あれ?五月?」
と副部長が声をかける
「あ、おはようございます、お母さん仕事は?お母さんも遅刻するよ?」
「むぅー、今度の休み付き合ってね!?五月ちゃん!!」
と頬にキスして走っていく母

「五月の母さん凄いね…」
「すみませんお見苦しい所見せて…」
「いいけど、人前でキスって恥ずかしくない?」
「最初の頃は恥ずかしかったですけど慣れました」
「最初?」
「中学に上がるとき父は事故で亡くなって、母は音信不通で身寄りがなくて古閑家が引き取ってくれたんです」
「そっか…」と話しながら靴箱に向かう
「今思えばこれで良かったって思うんです。ここに入学決まったときも音信不通の実の母が迎えに来たけど古閑家が守ってくれたから」
とスッキリしたような笑顔をする

「さーつきちゃん!!」と靴箱から飛び出してくる雪兎
「ひゃっ?!!!…ケホッ」驚いて咳き込む五月
「大丈夫!?こらっ雪兎!」
「ご、ごめん」
と副部長から怒られる
「…お前、なにやらかしたんだよ…」じ~っと雪兎を見る白兎
「大丈夫?」
「…はい、大丈夫です、少し驚いただけですから」
「ならいいけど…」


「水着が自由で良かったー!」とはしゃぐ南海
「……」
「五月ちゃん、水着自由なのにそれなの?フリルとかいいんだよ?」とクラスメイトが言う
「うん…でもこれ気に入ってるから」
「そっか~お気に入りかぁ〜」
「五月ちゃんさっきはごめんね」と先程の事を謝る雪兎
「ううん、少し驚いただけだよ」と言ったあと耳を塞ぐ五月
「?」

「さっちゃんの番だよ?」と白兎が言う
「……いい…」
「ちょっと古閑さん!!早く入りなさい!!」と胸元を掴んでプールに五月を放り込む
「!!」ゴホッゴホッむせる五月
「五月!、…!!、誰か五月のタオル取って!!」と南海が泳いでくると胸元が破れてる事に気付く
隣のクラス委員長が慌てて五月のタオルを持ってくる
「…!男子はグランド向いとけ!!」と言われビクッとしてグラウンドの方に向く男子たち

「……傷、見た?」
「あ、うん…ごめん嫌だった?」
とプールから上がると小声で聞く
「嫌だったら水着着てないから…ただの確認…」

「ったく、あのセンコー何だよ!!」と怒る隣のクラス委員長
「うわぁー、明日香怒った……流石元ヤン……」
「…私のことはいいから……」
すると明日香が五月の頬を軽くむぎゅ~として
「駄目!五月は理由があって入らなかったんだよね?」活を入れつつも優しく話す
「…激しい運動は止められてるから……」と掛けられタオルを強く握りしめて言う
「!」

数分後
バンッ!!と勢いよく職員室のドアと開ける明日香
「教頭!あの体育教師どうにかしろ!」
『ちょっ!?委員長!ヤンキーになってる!!』と明日香のクラスメイトが影から注意する
「!?」驚く五月
「ほっとけほっとけ、あーなったら誰も止められないんだから」と慣れた対応する雪兎
「まぁ、クラスみんな、そこが気に入ってるんだけどね」って言う白兎 
と話しながら教室まで送る2人

プルルルッと五月のスマホが鳴る
「もしもし、うん」
と通話を切る
「電話、親から?」
「うん」
「あの人さっちゃんの親?」と朝のことを思い出す白兎
「うん、…あれ?」と探す
「どうしたー?」と声をかける副部長
「…ポーチが無い…」
必死に鞄を漁るのを見て聞く
「もしかして薬入ってる?」
「……はい」

「五月ー!!ポーチ落としてるーー!」
と走って来る南海
「!…ありがとう、南海」

「…」
「お母さんに電話してもいい?」と聞くとコクッとうなずく
「あ、五月さんのお母様ですか?」
『はい、そうですけど』
「五月さんお薬飲まれたのでお迎えお願いしてもいいですか?」
『はい、わかりました!』
慌てて返事をする母

通話を切ると「下で待ってようか」と五月を支えて下に降りる
「あ、そうだった…五月、夏休みも部活あるけど来る?」
「はい、行きます」
その言葉を聞いてホッとする副部長


数ヵ月後
「夏休みに入るが、羽目を外すんじゃねーぞ!」
『はーい』と返事する生徒

「五月も合宿行くの?!!」
と突然聞いてくる南海
「うん」

翌日…
「ちょっ、泉ちゃん!?お兄ちゃん!?なんでここー!?」
「勉強はどこでも出来るだろ!」
「伊月大丈夫!わからない所あったら教えてくれるから"先輩たち"が!!」
と押し問答で連れてこられる
「……その声、伊月ちゃん?」
と声をかける五月
「!!、五月先輩!」
と抱きついてくる伊月

数分後
「先輩、宿題の量少ないですね」と周りを見て言う伊月
「昨日学校から帰ってすぐに夏休みの宿題やってたからかな?」
「えっマジ!?」と驚く部長
「伊月ちゃん、ココ間違ってるよ…」 
「エッ!?」
と後ろを通った部長も会話に混じると"アンタはこっち!!"と引きずられる部長

「先輩がお兄ちゃん達と知り合いって初めて知りました」
「んー、大会のエキシビションで何度か相手してもらったってだけだよ」
と一段落した伊月と話す
「……教えて…五月!」
「わたしもー!!」
「えっ!?」驚くとさらに課題を見て更に驚く
「みんなココ…なの?」と聞くと皆がコクッコクっとうなずく
「ここ授業で習ってないー!!」
「えっそうなの?!」
「なんでわかったの!?」
「えっ、リハビリの合間に教科書の問題一通り解いてたから」
と夏休み初日は勉強会と化した

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