TSロリとセンシティブノーで知識が時代遅れな女神の日常

下の蠍

俺、アニメを見る

「うりゃ!えい、てい!」
バコッと、音を立てそこが抜けるダンボール。
「紫雨音危ないですよ?ダンボールなんて殴ったら」
「サンドバッグサンドバッグ!殴って楽しむ為にあるんだぜ」
「はいはい、そんな無駄なことしないの。紫雨音たらほんと」
女神がダンボールを掴むとそのままグシャグシャと握り潰し流し台にパラパラと粉を振りまいた
「な、何したんだおまえ」
まるで魔王が現れた、と言わんばかりに怯える紫雨音に優しく返答をする
「そうですね、握って圧縮したあと分子単位まで粉々にしましたよ?遊ぶのならこのくらい余裕ではないですか?」
「いや、普通じゃねぇよ?」
ダンボールを潰し終わる、元いい消しさった女神は御満悦の様子だ
「女神ー、夜ご飯までテレビ見てていいか?」
「良いですよ?なぜ一回一回確認する必要があるのですか?」
キョトン、と首をかしげる女神
「まぁ礼儀みたいなもんだろ?2人いるのに1つしかないなら片方に同意を得てから見た方が」
「確かにそうですね、私が美杉町太郎生さんのテレビを見たかったら大変です」
「納得の仕方が違うんだが、まぁいいか。そんなところだ」
「紫雨音は何を見るのですか?」
「マジカルキューティー♪ハニハニパーティーだが?第5話と第6話、それと……(中略)……だな」
「は、はぁ?1つの物語なのにそんなに飛ばし飛ばしで見ても良いのですか?」
「推しが出てる話を見るんだよ、まぁちなみに5話は冒頭に黒い影で4秒出て終わるんだがな」
「おし?でも他の話は飛ばすのにたった4秒しか出ないお話を見るなんて少し感覚がズレてる気がします」
「お前に言われたかねーよ、まぁなんだ。お前も見るなら1話から見るぞ?俺一人で見るんならそりゃ推しのシーンしか見ないがな」
「良いですね、見ましょう見ましょう!私もあにめぃしょんなる動く絵に心を打たれていたところです」
「どーする?1章から見る?それとも6章からでも良い?」
「1と6は何が違うのですか?」
「あー、そうだなぁ。1章は赤咲あかさき ミナミ含む3人のヒーローだったんだが。6章はその赤坂達は大人になっていて、新しく6人のヒーロー物になるって感じかな」
「そうですね、紫雨音が見たいのは6章。6章からでもお話が理解できそうなら6章からでも良いですよ?」
「なら決まりだなー、まぁマルハテ検定1級持ちの俺にかかりゃ知らん知識なんて無いからな。なんでも聞いてくれ」
あらすじが始まり、今までの説明がスラーっとされていく
「紫雨音、この人たちはどうして変身するのですか?」
「そりゃ学校とかにバレたくないからだ。ほら、髪の毛が伸びて仮面もつくだろ?」
第1話、主人公達が普通の生活から魔法の世界に入り込むシーンが流れ始める。
「いいですね!まほー、私も撃ちたいです」
「やめとけ、お前なら悪役になりかねんぞ」
町中を闊歩する怪物たち、魔法で次々と建物を壊していく。
『きゃっ!危ない……』主人公の日菜ひな 耀子ようこ が狙われ逃げるシーンが流れる
「危ないですよ!そこは空まで飛んで一掃ですよ!」
「できる訳ねぇーだろ!一般人だぞ。まぁ正確に言うなら普通の人より魔力量が多くて、敵幹部に材料として目をつけられて……(中略)……だな」
「一時停止するなんて、語ったら止まらない自覚があるのですね?」
「あ、あぁ……これで友達を何人失った事か」
後ろめたい過去が蘇り意気消沈しかける紫雨音
「はあ、まぁ続きみるか。どーせ今となってはアイツらもおっちんでるだろ」
うさぎのような変な生き物が主人公、耀子の前に現れた。
「可愛いですね!なんですか?このうさぎさんは!」
「あー、たまに人気出るけどブサイクだろそいつ。ミルネラウっていう魔法能力を活かせる方法を伝える物語のキーパーソンだ」
「なるほどです、でもブサイクじゃないですよ!こんなに愛らしいのに」
「お前はJKかよ。美醜感覚が離れ過ぎてて訳わかんねぇよ」
「じぇいけい?なんですかそれは、それと私は全てを慈愛しています。醜いか醜くないかは関係ありませんよ?」
「あーあ、女神様は寛大なこった。まぁJKってのは女子高校生な?なんでJK見たいかっていうとアイツらはなんでも可愛いって言うおかしな奴らだ。正確には可愛いって言ってる自分が可愛いなんだがな……」
「長々と大変ですね、紫雨音。怨恨を墓まで持っていくタイプですよ?新しい生を受けたのに過去を引き摺るのは悲しいものです」
「だぁぁ!知っとるわい!ほら、戻るぞ」
ミルネラウと契約した耀子はリボンを特徴とする衣装に包まれ、髪が伸び目元を隠す仮面が形成される。
「おぉー、凄いですね。紫雨音もこういうのに憧れたりしますか?」
「んにゃ。まぁー変身願望はあるんだが、別にプリティーにはなりとうない。なるんならかっこいい系だな」
「前に見てた復讐者みたいなやつですか?」
「あー、そんなところだ。憎しみで変身して他者を排斥する姿こそ至高だろ」
「ちゅうにびょうというやつですね?知っていますよ」
「なんでそこら辺の知識は無駄にあるんだよ!よく妄想はするけどな」
『私の力はみんなを幸せにする為に!マジカルキューティー!レッド、あなた達の悪は見過ごせないわ』
テレビ画面では耀子が変身を遂げ、敵と睨み合っている
「不思議ですね、どうして彼女は先程まで逃げていたのに立ち向かうのでしょうか?逃げるのは本質的で最も正しい選択肢ですよ?」
子供向けアニメと伝えていなかったからだろうか、細かい所に指摘を入れ出す女神
「そりゃそうだろ、力が手に入ったからだよ。強くなったから勝てるって」
『マジカルキューティー!レッドスプラッシュ』
杖から放たれる螺旋状の花びらたちは敵に渦巻くようにまとわりつく
『バカな、マジカルキューティーはとっくの昔に滅びたはず』
「えぇ?!滅びたんですか!マジカルキューティー」
飛び起き慌てふためく女神。紫雨音は一瞬ポケーと思考停止する程に驚いていた
「滅びてねぇーよ。ってかレッドスプラッシュじゃなくてそっちに疑問持つのかよ」
「れっどすぷらっしゅは私も似たようなこと出来ますので!それよりもですよ?滅びたんですか?」
「いや、この敵達を壊滅させ引退しただけさ。大人になるにつれ魔力は下がるしな」
「なるほどです、でもこの子だけなんですか?流石にあの人数は骨が折れますよ?」
画面を指さす女神。確かに耀子、もといいマジカルキューティーレッドは囲まれていた
「いや、見ときな。ヒーローがピンチに時にやってくるものそれは、またヒーローなりってな」
『ふーん、貴方が新入りね?私の欲しかった赤を手に入れるなんて。まぁいいわ?同じマジカルキューティーとして手助けしてあげる』
マジカルキューティーブルーが現れ、敵を一掃していく
「なんか新しいの来ました!誰ですかあの子!見たことない子ですよ」
「当たり前だろ、アイツはっと。ネタバレになるから伏せておく」
「なんですか?その生殺しみたいな意地悪は」
「お前みたいなヤツらが作品の先を調べるせいで作者達がイヤーな思いをするんだぜ」
「そんな……せっかく予知で全話知った後の自分の脳内を見ようとしていましたのに」
「サラッとすげーことするな!いいか、先を楽しみにするのが正しい嗜み方だ。いいか?」
「はい、分かりましたよ?私もそこまで言われるほど落ちてはいません。ただ、ちょっと魔がさしかけただけですよ?」
「あぁ、分かりゃいいよ。ほれ、続きみようぜ」


数時間後


「あ、紫雨音大変ですよ!夜ご飯を作る時間がありません」
「そうじゃんか。すまんなー、見だしたら止まらんのだわ」
「そうですね、何か食べに行きますか?」
「そうだなー。出前とってもいいけど、まぁ食うもんにもよるかな」
「そうですね、食べに行きますか。では車に行きましょう」
椅子に着くと、車が走り出した。
「バーガー食べに行きたい!アパメジャリン行こうぜ、あそこの六丁目の角ある場所」
「良いですね、私まだそのバーガーなるものを食べた事がありません。よく聞くので気にはなっていましたよ?ですが、その」
「あー、わかるわ。確かに初見入りにくいよな」
「ですです!あのオプションのお肉とかも物凄く美味しそうでし」
お店に入ると人が沢山並んでいた。
「うげー、この時間で普通混むかー?」
「そうですね、ぎゃうぎゃうずめですね」
「だなー、ならモバイルで先に頼むもん決めとくか。どうせこの並びだと10分は待つだろうし」
「モバイル?なんですか、すまーとふぉんに話すと出てくるんですか!私はあのテレビで美杉町太郎生さんが食べてたあれがいいです!」
ぴょんぴょんと跳ねながらスマホに話しかける女神。だが反応はない
「あれ、おかしいですね?紫雨音どうしたら注文を出来ますか?」
紫雨音は恥ずかしさのあまりゆでダコのように真っ赤になり固まっていた。
「紫雨音?モバイル何とかは何をするんですか?」
「あ、あぁ。簡単に言うとだな、アプリを入れて注文をするを押すんだ」
「アプリ?この変なやつですか?」
「俺ので出来るからそっちでやろうか?で、レッドファイアーでいいんだな?ほかなんかオプションは」
「あれです!ポテトとチキンとあともう1つありませんでした?テレビで出てたやつです!」
「そんなに食えるのか?まぁいいけど。飲みもんは何に飲むんだ」
「紫雨音と同じでいいですよ!」
「コーラにするか。んで、俺は王道中の王道!萌音良モネラ バーガーだな」
チャチャッと打ち込み、送信を押す紫雨音。それから20分程で番が来た。
「よっと、届かねぇーな。女神すまん、あげてくれ」
両脇に手を入れ軽々持ち上げる女神。
「あー、モバイルやってます。番号1633ですけど」
「はい、お待ちしておりました。あと2分ほどお待ちください、御会計はどうされますか?」
「そうですね。カードでお願いします」
支払いを済ませ、商品を受け取り車に戻る紫雨音
「不思議です、店内で食べるとお金が追加でかかるのですね?」
「まぁな、混んでるのもあるが少しでも浮かして損は無いだろ?」
「はい、そうですね。では早速いただきますか?」
包装されたバーガーに手を触れてヨダレを垂らす女神。
しっぽと耳が見えた気がして紫雨音は首を振る
「いやいや……まぁいいか。なんつーかお前が色々なものに興味を持って接するのを見ると頼もしいなって思うしな」
やれやれと女神を見るともう包みを開けかけていた。
「おーい!待てよ、いただきますは一緒にするって約束だろ?」
「はっ?!そうでした。ごめんなさいね?紫雨音」
バーガーを食べ始める女神、何をしても様になると言うがCM顔負けだな。と見惚れる紫雨音
「紫雨音は食べないのですか?」
「あ、あぁ食べるよ。はむはむ……うーん!美味い!俺もこんなガキになってからはジャンクフードとかあんま食べなかったけど久々に食うからか元々かは知らないけどバカうめぇ」
紫雨音の食べる萌音良バーガーはアバメジャリンの社長である木蛹きさなぎ 萌音良が開発したお子様セットのようなバーガーである。
中身はテリタマ、チーズ、テリタマとかなりのハイカロリー。
「紫雨音、そんなに大きい物を良くまぁ食べれますね?色々な作法を身に付けている私ですらこのバーガーに苦戦しているというのに」
女神は口周りを赤くしながら愚痴を呟いていた
「おま、ちょっ、口周り!マジでそれてこっちむくなよ!ま、ほんと!」
あまりにもダサくて笑う紫雨音。
「良いですか?あまり人を見て笑ってはいけませんよ?それにしてもこちらのバーガーはかなり辛めでね。喉が乾きました」
女神がコーラを口にする。その直後黒い噴水が発生し、なかった事のように消えていく。
「あぶなかったです。危うく車を私の唾液まみれにすることろでした」
不思議そうに女神はコーラを見つめる。
「アン?お前酒飲むくせに炭酸無理なのか?」
「い、いえ。口の中で未知の体験をしました、それで驚きが隠せなく」
「まぁいいけど。飲めんなら一応紅茶も買ってあるぞ?」
紫雨音がもう1つジュースを取り出す。
「いえ、食べれない物ではありませんし美味しいので大丈夫ですよ?」
食べ終わり車を発進させる女神
「紫雨音、ドライブに出ませんか?最近この世界を見ていて思ったんです。空気も悪く風景も死滅したそんな荒廃した世界と、でも色々なところに未知が隠れていました。それになんですか!あれ、高速道路というものですが!夜は全然車がいなくてビューって飛ばせるんですよ?!」
後部座席を覗き込むように体を傾け熱弁する女神。
「お、おい!危ねぇーから前向け!それと別にいいぞ、俺も飛ばしてる車に乗るは好きだ」
10分後それを後悔することになるとはまだ知らない紫雨音であった



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