TSロリとセンシティブノーで知識が時代遅れな女神の日常

下の蠍

俺、夏を楽しむ3

朝の目覚めは微妙だった。汗ばむ服が妙にうっとしい。
「朝ぶろでも入るか」
一階に降りてエアコンをつけた。女神はソファーで酒瓶と寝ているようだった。
「あぁぁぁ生き返る」
水を頭からかぶる。
「しっかし、かれこれ一か月くらいか?」
暑さから分離され少しさえた頭でのんびり考え事をしていた。まぁ意味はないが。
「夏休みの課題でもするかなぁ」
「あーでも夏ってたら縁側でスイカもありだし、海じゃなくて川もいいな」
風呂から出ると女神が洗面台に顔を突っ込んでいた。
「何やってんだお前」
「顔を洗っていました」
「そうかてっきり────────────────」
わっつセンシティブ!!
「センシティブですよ?」
「だぁっぁ」
「紫雨音こそ、朝からお風呂ですか?」
「熱すぎるもんでな。真夏って感じだわ。お前は暑くねぇのかよ。汗もかいてねぇしよー」
「でしょうね、なんせ私の来ている神衣は特殊ですもの。それと暑さに関してですが、今日は30度超すそうですよ」
「まじかー、ならなおさらだな」
「どうかしたんですか?」
「山と川のある場所に行こう」
「どうしてまたそんなところに」
「木々が日光を遮るし、水辺だからすごい涼しいぞ」
「そうですね、あ!そういえば姫ちゃんのおばあちゃんが、もし遊びたけりゃうちの裏山いいよ。いく時は是非うちの姫を頼むっておっしゃってましたね」
「まじ?!でも急に行って大丈夫かな」
そんなこんな話しているとチャイムが鳴った
「はーい」
「叫んでも聞こえないぞ、そこのボタン押して応対しろ」
「そ、そうでしたね」
女神がインターホン越しに客人を確認する
「頭だけですね」
「だ!か!ら!通話ってボタンを押せ!!!」
「あ、すいません」
ボタンを押して応対を始める
「はーい、どなたでしょうか」
『紫雨音ちゃんいますか?』
インターホンのスピーカーから聞きなれた声が鳴る
「あ、姫ちゃんですか」
『あ、はい!おはようございます!おばあちゃんがお世話になったからバーベキューでもしよっかって』
「タイムリーだな」
「ですね。お誘いありがとうございます。本日は特に予定がないので差し支えなければ今すぐいーーーー」
『今から来れるんですか?!!!』
女神の言葉を遮るように姫が食いつく
「え、えぇ。ではすぐに支度します」
女神がどたどたと家じゅう駆け回る。
「スマンな姫少しここで待っといてくれ」
玄関に行って姫を家に上げた
「急にごめんね?おばあちゃん言い出したら止まらなくて」
「まぁ孫が世話になって、なおかつ自分らのせいで子供に被害が出てんだ。色々思うところがあるんだろうよ」
「そうなのかなー」
「保護者ってどこか子供のことになると不器用になるんだよ」
「ふふ、紫雨音ちゃんおっさんくさいよ」
「あぁおれはおっさんだ!!」
「はっはは」
「はっはは」
なんとなく笑いが込み上げてきた。
姫としばらく話していると女神がどこから用意したのかTシャツと丈の無いデニムパンツを着て出てきた
「紫雨音ちゃんんのお母さんめっちゃかっこいい!!おねぇさんって感じ」
「お、おまえなんだその恰好は」
「えぇ、私も色々調べましたよ!夏はこれと」
「あぁ、数年前の流行りだよ……まぁ似合ってりゃよしか」
「姫ちゃんは走ってきたんですか?」
「うん!朝のいい運動だよ」
車で10分はかかるしって行きは下りか
「どうします?姫ちゃんどうよう走りますか?」
「やめとけ、熱中症で倒れるぞ」
「ねっちゅうしょう?」
「あぁとにかく車!ほら姫乗るぞ」
後ろに姫と乗った。
「車の中サウナじゃんか」
「しょうがないよ紫雨音ちゃん」
「だな、まぁすぐにクーラー効くだろ」
女神が車を走らせる
「いやーでもほんと急でごめんなさい」
「いいさ、気にすんな。みろアイツの顔、楽しそうだろ」
鼻歌を歌いながら一般道をすっ飛ばす女神
「だね、でも少し怖いかも」
「毎晩ヤケ酒してるからなぁ」
「紫雨音ちゃんなんかしたの?」
「してねぇよ、大人の事情ってやつだろ。多分」
「大人の事情!!かっこいい響き」
「聞こえはいいがただの逃げの手だぞ」
キキィー――とブレーキ音と体を揺さぶる振動。
「な?!」
「ん?紫雨音ちゃんなにが」
「すいません。最近みたドリフトとやらを試したくなりまして」
「このあほがぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
なんだかんだで姫の家に着いた。
女神と姫のおばあちゃんは買い出しに出た。
その間姫と俺は森の中の川で遊んでいた。
「じゃぁあぁぁぁんぷ!!」
少し高い岩から水に着水。
どっぱぁーんと水しぶきを立て付近を水滴が潤す
「次私も!!」
保護監督官なしで遊ぶのは、と考えたが。仮にも元大人とこの付近の地形を熟知してる姫、心配なんぞない
「うらぁぁ!!」
「うぇっぷ、やったな!!仕返し!!」
今度は水の掛け合い
びしゃびしゃ!と水が飛んでくる
「おっと、うらぁ!!」
だいぶたったころ姫がもぐりだしたので今度は一緒に潜水をして遊んだ
「ふいー、だいぶはしゃいだな」
「だねー、実はここで誰かと遊ぶのは二回目なんだ!」
なんのカミングアウトかは知らないが少し誰だよというモヤがかかった気がした
「だ、誰だ?同じクラス?」
「なにー紫雨音ちゃん気になるの~?」
「ま、まぁな!姫の破天荒ぶりのについてこれる強者を一目拝んでやろうかなって」
「えぇー知りたい?」
「あぁ」
「なら紫雨音ちゃんの好きな人教えて」
「?!好きな人か」
「うん!気になる」
「意外と多いぞ!」
「え、そうなの?」
「あぁ、姫や美乃、同じ班の奴とかみんな好きだよ」
「そ、そいうのじゃなくてオンリーワンっていうか……その」
「ん?」
「いや、ここね。美乃ちゃんと一回来たことあるから今度は三人で行きたいなって」
「なんだ美乃か。男かと思った」
「ふぇ?!まさか!それよりなに安心した顔してるの紫雨音ちゃん」
「べ、別に。少し安心しただけだよ」
「え?もしかして」
「あぁ、姫に先越されちゃいかんだろ!」
「もう!紫雨音ちゃんのばか!」
岩の上に居たが姫に押されて川に落ちる
「ぷはっ!強く押しすぎだぞー」
「あはは!ごめんごめん」
どっぱぁーんと隣に姫が下りてきた
「いやー冷たくて心地いいな」
「ここの水飲めるんだよ」
「まじで?!」
「うん、体にいいらしい。でも飲みすぎると下るっておばあちゃんが言ってたよ」
「何事も適量ってか、どれ少し」
飲もうとしたら姫が川上のほうにいった
「姫汁たっぷり!!」
「ぶふっ!!ちょっ!ごほ」
急に姫が笑わせてきてむせていた
「ごほっ、それは反則急だわ。なら俺も!!うれぇ」
思いっきり水をすくってかけた
「こっちも!!」
食材調達の終わった保護監督官二人に水をぶかっけるテンプレ展開を堪能したところで昼の準備に入った。
「紫雨音、次やったら瀬戸内海のサメにあげますよ」
「ひぇ」
「姫、ほどほどにじゃぞ」
「はーい」
それぞれ叱られたのは言うまでもない。
近くの石を組んで薪を組んだ。
「紫雨音ちゃん火つける?姫はいっつもやってるから」
「ならやるかな」
マッチを受け取って牧の中心にある新聞紙に着火させた。
順調に火が燃え移りいい火力になったから焼き始めた。
「自然の中でこう原始的なことするのは楽しいな」
「ほれ、あんたら先食べなさい」
姫のおばあちゃんが焼けた分をさらによそってくれた
「いや、俺後でいいですよ」
「なに若いもんが遠慮しとんじゃ!食べてなんぼよ」
「あ、はい」
笑顔で言われてはどうしようもない。
「まぁいいか。よーし姫!!たらふく行くぞ!!」
食べて、遊んで、食べてを繰り返しながら満喫していた。
女神は姫のおばあちゃんとゆっくり何か話しながら食べていた
「よーし!水切りでバトルだ!」
「紫雨音ちゃん負けて泣いても知らないよ!!」
「望むとこさ!」
姫が先手を切った。タン、タン、タン、タン、と四段刻んだ
「まぁ様子見よ」
「なら俺も!!ほれ」
タン、タン、タン、カツッ、タン、タン
「うっし!岩はね覗いて五段!」
「よーし、姫流!!」
タン、タン、タン、タン、タン、タン、!、!、!、!!
「10段!!最後のほうはわからないから10で我慢しとくよ!さぁ次紫雨音ちゃんだよ」
「うそだろ、まぐれの13段使うしか勝てねぇか……」
手首にかけれるだけの捻りを入れて投球した。
タン、タン、カッ
勢いが強すぎて跳ね幅が広くすぐに川を渡り切ってしまった。
「くっそ、あの威力なら行けたのに」
「ちっちっち甘いね!強さだけじゃない!ぎじゅちゅ力もいるのさ!」
「負けたぁぁ、うっしサイダーチャージ!!!」
川につけてた2リットルペットボトルを引き上げコップに移して一杯あおった。
「くあぁぁ!!げっふ。よーしチャージ威力を!」
タン、タン、タン、タン、タン、タン、カツ
「くぅー6段が限界か」
「でもすごいよ!水切りできる人少ないから」
「ンなもんかね?こんなの直感だろ」
そのあとは葉船や葉笛をして自然を堪能していた。
「あぁもう14時ですか」
「あぁそうじゃのぅ」
「農作業のほうは大丈夫ですか?」
「えぇもとより夏は15時くらいまで家でゆっくりしてますので」
「えぇそうですか」
「うーし!あっち行こうぜ」
「まってよ紫雨音ちゃん!!」
「走りの速さは俺の勝ちだな!!」
「そんなぁ~」
はっは!!あんな事件があったとは思わないな!!最高だぜぇぇ!!









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