TSロリとセンシティブノーで知識が時代遅れな女神の日常

下の蠍

俺、入院なう

目が覚めると見知らぬ天井。では無い。
昨日も少し見た。
「ふぁ~」
横を見ると女神が手を握りながら寝ていた
「よく寝たよく寝た」
スマホと思って確認したが見当たらない。
「あ、そっか風呂に必要ないから置いてきたのか」
どうしたものか、と長考していると看護師らしき人と医者が来た。
「お、目覚めましたか。万年さん僕の事覚えてますか?担当医の石見屋ですよ」
「あ、あぁ。多分」
「怪我の容態はどうですか」
「痛くも痒くもない」
その後もいくつか問診を受け、先生が記入していった。
「そうでしたか、では早ければ1週間で退院出来そうですね」
「まじかよっし」
「親御さんには連絡の、あれ」
寝ている女神を見つけ医者が困惑する
「夜の巡回ではいなかったのに」
「すいません、ママは自由人で」
「そ、そうですか。ではまた何かありましたら」
そう言って医者と看護師が部屋を後にする。
「そういや、あの団体は?!」
「ん、くぅ……まだ3時ですよ紫雨音……」
「はぁー、こいつのこの様子だと。まぁケリついたって感じか」
「はっ!」
「おぉー、起きたか起きたか」
「紫雨音!目覚めたのですね」
「なんだよ人を死んだ扱いして」
「ええ心配しました」
「所であの団体はどうしたんだ」
「派生を含む全世界での消滅を達成しました」
「おぉ、怖い」
「一応言いますが死滅ではありませんよ?あくまでもその狂った信仰の消滅ですので」
「あ、あぁだよな」
「姫ちゃんとそのおばぁちゃんはしっかり家に戻しました」
「姫には説明したか?」
「えぇ、2人には説明しました。納得したかは微妙でしたが」
「でも少しは気が楽になったんじゃないのか」
「ですね」
「そうだ、退院したらさ!みんなで焼肉でも行こうよ」
「なんですかそれ」
「焼肉屋さんだよ」
「鍋屋さんみたいなものですか?」
「あぁそんなところだ、知らんけど」
「え、えぇ」
「簡単に言うと生肉を店側が提供して、それを客が用意された網で焼くって感じ?だな。うん」
「そうですか、確かに良さそうですね」
「あぁ、楽しいぞ」
「そうですね、いいですね。紫雨音」
「なんだよ、そんな人の顔みて」
「いえ、昨日の夜は泣いていたので。こうして前向きに発言をしているとホッとすると言いますか。昨日の件は私としても思う所がありましたので」
「ちょっ、それは忘れろ」
「いえ、忘れません。忘れては行けません。今後繰り返さぬ為にも」
「なんだよそのなんかあれは」
「あれです」
「ふっ、はははは!!」
「ふふ」
「なんだよこの間は!」
「分かりません」
「でもホントに良かったです」
この時、女神の目頭に雫が溜まっていたが触れなかった。
「あぁ」
女神が帰宅したのでのんびり窓の外を見つめていた
「なんというか……不思議だな。あいつも思う節があったのか」
「未だに昨日の恐怖が体を支配してるが、そう思うと少し楽になるな」
朝ご飯を食べて伸び伸びとしていると面会時間になったのかちょくちょく隣の部屋等から親子の声が聞こえる。
丁度俺の所にもやってきた。初発がコイツなのは些か
風揺なびき さんっすよー!聞いたよ怪我したって」
「あぁ、マジで……なんでお前が初発なのか謎」
「それは朝たまたま紫雨音ちゃんのお母さんに会った時聞いたんすよ」
「そうか。で?お前前会った時に比べて元気そうだがなんかいい事でもあったのか?」
「よく気付いたっすね!実は紫雨音ちゃんのお母さんの言うとーり運命が別れたんっす!いい方向に進みまくったんですよー!」
「なんだよお前」
「なんとですよ?たまたま助けたおじいちゃんが有名企業の会長さんでなんやかんやで」
「省くな。そこが重要だろ」
「まぁ子供には分からないっすよー、でもあの日あぁして巡ったのはなにか運命と思いましてですね!是非お礼を」
「あぁ、律儀だな」
「ゴミみたいな親でしたが礼節は守れって何度も言っていたので」
「なのに~っすとか言うのか。礼節とはいかに」
「それは気にしたらダメっすよ」
「まぁともあれ、幸せそうなら何よりだ」
「幸せどころか最近好きな女性まで出来たんですよ!」
「また悪女か」
「いえ、学校の先生っすよ!校庭で元気よく走り回ってる姿をオフィスから見掛けて」
「その先生ってさ……一応聞くけどボールとか持ってた?」
「そこら辺はよく見てなかったっすけど確か何か追っかけてたような」
「それってさ昨日辺りか?」
「たしかそれくらいっすね」
「心当たりはあるぞ」
「ほんとっすか!」
「あぁ、あるぞ。ってか担任だし」
「な、なな!もしや紫雨音ちゃん一家は僕の神様だったのか?!」
「かも知らんな。良かったな先生結婚相手探してたみたいだし」
「待ってたら来るかな来るかな」
「知らねぇよ。とりあえず何だかんだ心配してくれたんだな、ありがとよ」
「今度何かあったら今度は僕が助けるよー」と言って帰って行った。
「あいつ中々あるな」
紙袋を置いていったようだが、その中には沢山漫画が入ってた。book・yasの格安シールが貼られていたのを除けば良い奴だ
「こーゆーシールってのは何故か剥がしたくなるんだよな、恥ずかしくて」
小一時間程時間を潰しているとまた誰か来た
「おっす、万年調子はどうだ?」
「あぁ、先生」
「いやー、病院なら面会に来てる独身居るかなって探したけど既婚者ばっかだな」
「いや、当たり前だろ。ってかここ小児科だぞ」
「あちゃーまじか」
「なんだ、おちょくりに来たのか?」
「いや、心配で来たんだよ」
「なぜ?」
「先生忙しくてな、土曜も学校出てたんだ。そしたら電話来るもんでなんだかんだと見たらお前の親で。何事かと思って聞いてみたら怪我して入院してるから来週いっぱい休みますって」
「要約しろ」
「だから心配で見に来たんだってば」
「ありがとよ」
「もー、先生また何かしたと思ったよ」
「いや、何か思う節があるなら今すぐ解決してこい。手遅れになるぞ」
「いやー万年にだけ宿題6倍したのがバレたかと思ってなー」
「初耳だがシバくぞ」
「でもどーせ終わってるでしょ?」
「あぁ、終わってるが?」
「ならいいじゃないか」
「良くねぇよ。クソくだらねぇな」
「へっ?先生にその態度はなんだね」
「なんだねってほら。ティーチャーって感じよりクリーチャーだろあんた」
「おっと、妙に聡い万年にひとつ教えてやろう。ゲームでは凄いえげつない物に使われるが意味は生物だかんな」
「ぐっ、そうだったあんた先生だったな……」
「あぁ、そうさ」
「私だってティーチャーである前に1人のクリーチャーなのさ」
「お、おう」
「まぁ、万年暇だと思ってな」
先生が紙袋をベットの上に乗っける
「お、漫画か」
「ほら、休んでる間にテストやるから予習にどうぞ」
「は、は、ははぁあぁぁぁぁ??ふざけんな!ぶっ──────」
わっつ?!センシティブ!!!
「ん?なんか言ったか?」
「これはなんだ!」
紙袋の中身をバンバンと叩く
「ドリルだよ!」
「いや、ドリルだよキリッじゃねぇよ!普通親がこういうのやるだろ!お前親か?」
「いや?ってかなんなら彼氏いない歴=年齢だぞ」
「おぉ、そうか。ならあんたに良い奴紹介してやるから黙れ」
「まじか?!どんなやつだ」
「20歳、大手企業の社員」
「そっちじゃねぇよ!人柄!」
「先生って見た目とか年収気にするタイプだと思ってた」
「あぁん?まぁそうだな。先生からしたらみんな同じ粘土。名前を呼んで初めて色付く、性格を知れて動き出す。そんなもんなんだよ」
「唐突自語りはキモイですよ」
「おぉそうか。万年、死にたいようだな」
「う、嘘ですよ」
「まぁあれだ恋愛ってのは好きではなく死ぬまで居たいだからな」
「それで、恋人が」
「ここ病院だからまだ傷増えても問題ないよな」
「訴えられるぞ!」
「ジョークだ。それと姫の件だが、すまなかった。結果としてこれならセンセーもクビ覚悟で動けばよかったとおもう」
「いや、いいよ。結果としてこうみんながまた揃えるなら」
「いい事言うねぇ!転校してスグの奴が」
「色々濃すぎて三年経ったと思ったわ」
「まぁ、なんだ。すぐ元気な顔出せよ!」
「ドリル解かなかったら宿題5倍な」と軽口を叩いて先生は出ていった
「荒らしかよ」
ドリルをめくるといくつかの問題に丸がついていた。
先生の字で何とは言わんと書かれていた
「へっ、あの先生らしいや」
昼飯を終えて微妙に光の入らない窓を眺めながら読書をしているとまたお見舞いが来た。
「どうやら携帯は要らないようですね」
女神が着替えなどを持ってきた。
「いや、スマホはいるよ」
「そうですか?では、あげます」
「あぁ、うひょー、俺のスマホちゃん」
「まぁまぁ、しっかり休養を取るのですよ?」
「わかってるって」
「ならよろしいです」
「まてよ、おい。充電ケーブルは?」
「え?」
「携帯電話って分かるよな?」
「はい。分かりますが?」
「携帯電話って携帯式だから充電要るのは勿論理解してるよな?」
「え、あ。はい理解してますよ?」
「あからさまに別方向向くのやめようか?」
「すいません。忘れていました」
「それでいい。全くよー」
「では、着替えも届けたので帰らせて頂きます」
「あぁ、おつかれ〜」
「それと夕食の支度がありますので」と女神は帰って行った。
「うーし、まぁせっかく貰ったしスマホはやめて漫画から消費するか」
時折現れる医者の問診、そして夜ご飯を終え就寝時間になった。
漫画を読み終えスマホで時事情報を見ていたが段々と眠気が襲い始めた
「早いな、まぁいいか眠てぇし。ふぁ~~」
色々考えることはあったが、眠たさが勝とうとしていた。まだ昨日の今日で脳ミソが事情把握出来てないのかもしれない。
「腐ってもおっさんだったんだがな……やっぱ勝手が違うか……」
ゴツン!というスマホが額に衝突する痛みを最後に意識が途絶えた。

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