TSロリとセンシティブノーで知識が時代遅れな女神の日常

下の蠍

俺、旧友と語る

国語の時間は予告通り道徳で開始した。
「はーい、紙集めるよ」
使わない紙の裏側の白い部分に、それぞれ書き込んだ。
「先生が回収してる間に今日の授業範囲見といてね」
教科書を広げ他のページを読んでた。
こんな漢字習うのか~。
こんな話もあったねぇ。
「あ、あの万年さん」
金上が話しかけてきた
「どうした?金上」
「よ、よければ教科書を見せて貰えないかな」
まだ少し上からだが彼なりの努力か少しはマトモになってきている。
「あぁいいが。忘れたんか?」
「親が勉強の時間を増やしてね……寝坊しかけできたから忘れてしまったのさ」
「そうか。ほら」
机を動かして教科書を広げる
「いいのか?あんなに迷惑を掛けたのに」
「安心しろのホントにムカついたら殺────」
わっつ?!センシティブぅぅぅぅ
「えぇーさっきの放課も話したがいないヤツも居たで再度伝えるが。金上も悪い所を少しづつ治してくそうだ。それと万年にごめんねもしたからもう掘り起こすなよ?これからはクラス一丸となって頑張ってもらいたいんだがな」
みんなもなんだかんだ理解したのか金上へ謝ったりする奴もいた。
「まぁ良かったな。早めに元に戻れて、中にはそのまま大人になる奴もいるんだぞ。いいか?お前らも例外じゃない、気を付けろよ。んじゃこの話おしまい!国語やるぞー!ノート開けー、黒板書いてくから」
範囲広すぎて追い付いてないからと言ってぱっぱと授業を進めていく先生。
「計画性ないなほんとに……」
「あぁん?万年お前、残りたいようだな」
「ひぇっ、なんでもありません。大人しくします」
先生の目が怖いせいか1日萎縮して過ごした。


「ただいまー」
ぺたぁと靴を脱いで玄関に倒れ込む
「汚いですよ?先にお風呂に入りなさい」
「オカンかよ。全く」
「保護者なのには変わりありませんよ?」
「あぁ、だったな。もう一人暮らしでもいいんだが……と言っても許してくれんもんな」
「ですよ?妄言を吐いている暇があるなら早く入ってきたらどうですか?気づいて無いようですが今日ゴッキー君の初陣だったんですよ?そこを汚すのですか?」
少し嬉しそうにぴょんぴょん飛びながらゴッキー君の凄さを語る女神。
「わかった、わかった。入るわ」
未だなお語る女神を他所に風呂に入りとっとと出て携帯に飛びついた。
「さーて、何しようかな」
「本日は来客があるのでだらしない格好をしないでください」
「えぇー、どーせまた隣の乞食だろ?」
「いいえ、とある筋の方と言っておきましょう」
「あー、だからさっきから魚とか切ってんのね」
「ええ、3人ほど来ますので」
「よーし、しゃーね。手伝うわ」
「大丈夫ですが?」
「盛り付けなら動画で学んだからな」
「ドーガ??よく分かりませんが、子供の可能性を潰す親には成りたくないので任せます」
「なんだよ、ガキじゃねぇぞ」
切り身を盛り付けて冷蔵庫に入れていく。
冷蔵庫の中に謎の黒い空間があってそこに入れろと言われていたから入れたがそれがなんなのか触れる勇気はなかった。
「予定より早く終わりましたね」
「だなー、なんかするか?」
「そうですね、オセロや将棋ならありますが」
「おっ、ボードゲームか。久々だが腕が鳴るぜ」
「どれをやりますか?」
万能型マルチ板の台紙を複数見せてくる。
「んー、オセロ!」
「ではやりましょう」
カチカチと白黒を4つ置きスタートした。
「じゃっ、俺黒だから初手な」
「えぇどうぞ」
どんどん進んでいく。
「あれっ?なんで負けかけてんだ」
「ふふ、まだまだのようね」
そして最終。
「くっ、まさか負けるとは……小さい頃は区の大会に出たレベルの俺がッ」
「コツがありましてね?」
女神が場面をまっさらにして置き方を教えていく
「なるほど、俺は楽々やれてるように見えて策にハマっていたと」
「そうですね、あえて誘き寄せて一気に乱獲ですよ?」
「よーし!次は将棋だ!」
「この流れですと普通再戦なのでは?」
「いいからいいから」
「もしかして将棋なら倒せると?」
「あぁ!そうだ」
「すごい地震ですね」
「お前玉将な!なんなら2枚落ちしても勝てるぜ」
「ハンデなしでやりましょう。それとやる前から相手の実力を見定めるのは良くないですよ?」
綺麗に並んだ将棋の駒を1つ、また1つと侵略させていく
「うっし!やっぱ俺強くねー?」
開始から数分程で女神の飛車を得た
「そうですね、ですが先程教えた事をお忘れですか?オセロだけじゃなくて将棋でも応用できますよ?」
「いや無理くね?だって主戦力取られてんだぜ」
「ほんとにそうですか?」
またしても策に乗っていた。打つ度に顔色の変わる俺。
「まじかよ……トキンが三体も侵入してる」
「えぇ、歩のない将棋は負けと言われるくらいですよ」
「いやっ!ここから巻き返すさ」
少しづつだが巻き返していき
「王手!」
「少しは学んだようですね」
女神が退軍を始める
「へへっこの勢で」
ピーンポーン
「あら、もう時間ですね。では勝負は御預けで」
「ん、まぁいい所だったがしゃーねか。あっちの方が先約だもんな」
女神が玄関で何やら話していたが終わったようだ。
「ではお上がりください」
「わ、我々に敬語など使うのはよろしく無いですよ!」
「お上がりします」
随分と萎縮した3人組が家に上がってきた。
スーツ姿、どこかで見たような顔。
「紫雨音、お客様に挨拶は?」
「ん?あ、よろしくです」
「よ、よろしくね?紫雨音ちゃんでいいのかな?これお菓子あるから」
スーツの1人が紙袋を手渡してきた。
「有難うございます」
一応女神の顔を立たせる為いい子を演じる
「では、立ち話もなんですので卓を囲ってお話致しましょう」
「「「は、はい」」」
「紫雨音、ちょっと配膳手伝えるかしら?」
「はーい」
運び終えると話が始まる。女神達はリビングにちゃぶ台を置いて食べているが、俺はダイニングのテーブルに隔離された。聞いちゃいけない話なら料亭でも行けやと思うも、こうしてみんなが床に座ってる中一人椅子でふんぞり返るのもありだなと納得をしていた。
話は分からないがスーツの声でなんとなく仕事なのか?とだけわかった。
「えぇ?!」「そんなに?」「その案は!」等、相槌だけめちゃくちゃうるさい。
別に話の内容も聞こえないわけじゃないが一応聞かないでおこうと食後は自室に向かった。
「ふぁ~何しようかな。ネッ友と垢繋がったし語るかな」
「えっと、あったあった。ロリコン同盟……やっぱやめとくか、なんで語り部屋10くらいはあったのにアクティブがこれなんだよ」
「うぇっ!招待来たじゃんか……まぁ出るか」
『おぉ!!セレヌ氏!亡くなったと風の噂で聞いて心配してたんだぞ!』
この界隈は何故か推しの名前で呼ばれることが多かった。セレヌ氏とは俺の推しでありおれの呼ばれ名だ。
「喋るのは流石にな、チャットにするか」
<すまんな、ちょっと話せないから俺はこっちな。久々ナナ氏
『おおそうであるか!いやー今ほかのメンバー達はライブでいないのですよ』
<ん?ライブ?あー、そうかアイツら
『実はですね、オフを開く予定なんですよ!!』
<おーそーか
『どうですか!確かミネ氏とは1度やっていたんですよね?今度はみんなでという話になって』
<あー、ミネ氏やばいよ。ホストかよってくらいな癖に二次ヲタなんだよな、1晩飲み明かした
『ますます気になる話題ですね!』
<まぁ盛り上がってるとこ悪いが俺はちっと用事でな……日本にゃ居ないんだ。すまないが参加出来ない。チャットだけなのもそんな所かな
『あれま……それは御気の毒に。確か自宅警備でしたな?やめたのですか』
<あぁ、最近だが辞めてな。次の職がなんと言っても過酷なんだがどこか愉しくてな
『はっはは!!!!流石セレヌ氏ですよ。では一応日時をお伝えするので通話を繋げて飲み会でもしましょう!』
ナナ氏は30歳くらいの会社員らしいが気配りが出来てこの同盟のリーダー格をしている。
問題も少なく相談にもよく乗ったりしていたが流石に今の状況は話せないだろうなと思い海外の設定をした。まぁ俺本体はもう死んでるんだがな……
『しっかしみんなセレヌ氏が死んだと思ってアワアワしてましたよ』
<どっからのリークだよ
『いやー、ミネ氏が急にあの狙撃されて死んだって人セレヌ氏だ!って言うもんで』
「ゲホッゲホ?!」
レシートの威力砂???
<そんな事件あったのか
『曰く海外の警察も参加してテロ警戒なども含めて大規模調査した程ですよ』
<最近ネットちろっとしか触れてなかったし、なんならテレビもあんま見てなかったからなぁ。そんな事にナナとは
『誤字ってるですよ!ではここで今日の誤字占い!2文字ミス!明日は晴れます!』
<相変わらず訳わかんねぇなそれ
『そうですか?意外と人気なんですが、会社でもよく部下のミスをこうやってノリでカバーしてるんですがね』
<へっ、お前らしいじゃねぇか
『そんな褒めても何も無いですよ!』
<そういえば最近こう、流行りのアニメとかあるか?こっちはそういう奴らいねぇーからネタが無いんだわ
『それでしたら絶望の────』
なんだよ、子供携帯かってくらい制限強いなァ??
<ん?
『絶望の────』
<念の為聞くが年齢区分は?
『R18ですよ』
<海外じゃ見れんなァ……
『一体どんな国に』
<ようわからん。まぁただ安心してくれ、なんだかんだ元気でやってるさ
『それなら良きですが』
<にしても、最近みんな羽振りが悪いな
『えぇ、結婚したりとかで趣味に注げない人が増えてるようで』
<それはいい事だな。同時に同士が減るって事でもあるが
『複雑ですよね、セレヌ氏はどうですか?最近めっきりブログの方もやってないようですが』
<死亡説濃くなったのもそれかー、あれな。また始めようかなとは思うけど前より質が下がりそう
『僕としては構いませんよ!またみんなでコメントパーティーしましょうや』
<だなー、またあの無駄で楽しい日々を
『あ、そういえば本日ミノ氏が撮ってきた収穫物見ますか?』
収穫物とは俺らが勝手に撮ってた写真だ、風景から人までアニメ風、またはそれに準ずる物を集めては絵に起こしたりして稼いでいた。
『今回はグレーだけど1級品ですよ』
<お?どんなのだ
『ミノ氏の近所に居た子らしいんですが』
送られてきた画像は登校中の俺の班だった
<んんんん?
『可愛いでしょ!特に真ん中の子、あったらハスハスしたいですね』
<あ、うん。捕まらないでね
俺!ではなく上野目、ミステリアス好きなナナ氏にとってはこのなんとも言えない雰囲気が。
にしても近所にミノ氏が居るのはかなり危ない
気軽に家の中を映せなくなる。
そう、今年のコレクション会不参加確定だ。
まぁ海外設定を押し切ればいいか?
『捕まりませんよ!ちなみにミノ氏とミネ氏はその隣の子だそうですが、セレヌ氏はどうですか?』
俺じゃねぇか??!!
<ふぁっ?!
『どうかしましたか?』
<いや、なんでもねぇ。んで?俺か?俺は居ないかな
『そうですか!』
<あぁ、さて。夜も遅いし落ちる
『夜明かししないなんて珍しいですね』
<ばーか、お前らと違って歳だわ
『でしたね、でしたね。お疲れ様~』
<あぁまたな
通話を終えて何もない壁を見つめる
「撮られる側の気持ちになると怖ぇぇ……でも今更辞めよとか言えねぇぇ」
ゴロゴロ転がりながら壁の端から端を行き来する
「このコミュニティはもう使えねぇな……」
「だぁぁ!どうしてこうもやることが無い!高校とかになると時間が恋しいのに……そうだ、筋トレでもするか」
─5分後─
「はぁはぁ……やべぇ……腹筋死んだぁ」
「さて、30分くらいは?ってまだ5分??」
「あーでもそろそろアイツ話し終わってるよな?」
階段を下り1階に着くがまだ話し声が聞こえる
「はぁ~まだか。ってか本当そんな話す事あるのか?」
結局日付が変わるまで話し合いは続いていたようだ。
眠さに負けた俺は朝起きまで知らなかった。
「でー、結局なんの話し合いだったのさ」
「それは言えませんね」
「言えないってなんでさ」
「では、貴方ならなんだと考えますか?」
「お前の金の出処」
「いえ、違いますよ?」
「政府とか?」
「そろそろご飯出来ましたので、お話はまた夜に」
はぶらかされたが、多分そういう事だ。
「あぁわかったよ。確かに俺が聞いていい話じゃねぇわな」
「理解が早くて助かります」
「ただなぁ、わざわざ家じゃなくて料亭とかでもさ?」
「料亭なんて筒抜けの場所でやっては危険です」
「御用達の店とか向こうあるだろ」
「あったとしても私は好まないので。それに貴方としても久々の旧友との対談楽しんだのでは?」
「対談って……いやー、それがアイツらやべぇなって思ってよ」
「えぇ知ってますよ」
「改めて見ると予備軍だろって」
「でも実害がないのでいいではありませんか」
「客観的だなぁ~まぁ俺としても捕まらない程度にやってくれって思う」
「ですね」

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