TSロリとセンシティブノーで知識が時代遅れな女神の日常

下の蠍

我が家、来客有り

なんやかんだで食事を終え夜ご飯の買い出しをしていた
「あそこは神です」
「神って場所じゃねぇだろ。存在提議だろ」
「比喩ですよ?」
「もっとマシな比喩しろよ。女神が神とか言っても訳分からんだけだぞ」
「そんなものなんですかね?」
「だよ、たっく」
「でも、本当に美味しかったです」
「だろー?」
「あの味なら再現可能ですね」
「それは嬉しいな。ん?待てよアレって」
高い!安い!とゴネている人を見つけた。見た事のある奴とその親2人
「これで500円?安いじゃないか!」
「だからアホか!うちは今ヤバいんだよ!なんなら1食500円でも高いわ!」
「わ、悪かったよパパ……」
金上が親に怒られていた。
「なんだアイツ」
「どうやらいいお灸になったようですね」
「それはどうかね……」
「あ、万年様、お見苦しい所を」
ぺこりと金上父が頭を下げる
「いえ、お気になさらず」
「やぁマイハニー」
「な?変わってねぇだろ」
「こら、お前はふざけてねぇで頭下げときゃいんだよ。すいません息子のやつが」
「な、なんだよ!」
「いいか?この人は倒産しかけたウチの会社を建て直してくれたんだぞ!」
「へ?」
「株主たちから訴えられそうになったりしたのを全部この方の敏腕でぱぱっと解決してくれたんだ!」
「よく分からないよ!だってパパ社長でしょ?」
「いいか?会社ってのは足先だって頭だって偉さは変わらないんだよ!責任が増えるだけなんだ」
「難しいよ!」
「あれは思ったより残念脳?ですね……」
「だろ?父親はまともっぽかったがな」
「まぁまぁ、息子さんには難しいでしょう。とりあえず今回の事で恩義を感じる必要はありませんよ?」
「いえ、それは」
まぁマッチポンプみたいなもんだもんな
「お見苦しい所をお見せしました。ほら行くぞ、たっくやっぱ教育方針を間違えたな。これを機にママにも叱ってもらわないとな」
そのまま連れてかれた。
「まっ、結果オーライ?」
「ですね」
「しっかしなぁー、どうしてあーも凝縮還元されたヤツらが湧くんだろうな」
「仕方ありませんよ?一定量のストレスをかけないと皆様発狂なさるので」
「まじか?!アレおまえが作ってんの?」
「いえ、ジョークです」
「なんだよビビらせんなよ」
「でも、一定値は存在するようになってますね」
「まぁたしかにあれ程のは見た事ないけど、昔っから居たよな」
「ほら、そんな関係の無い話は置いといて早めに買って先程言ってた番組というのを見て見ましょう!」
「だぁ、わかったよ、わかったから」
食事の際に今日買ったテレビには番組が沢山あって見るのに飽きない程暇つぶしが出来ると教えたせいか、思い出したようにキビキビ動きだした
「施工は15時からだぞ!今早くおわらせた所で」
「いいですか?今もう14時ですよ?」
「え、まじか。くそっ、あのゴ────」
「センシティブですよ?」
「だぁぁ!!」
周りの人達からジロっと見られた。
「ですから買いませんって」
女神が少し大きい声で怒ってきた。どうやら援護してくれるようだ。
「やだ!買って!買って!」
近くにある商品を手に取る
「絶対この除菌シートかうん……」
「ば、馬鹿ですか??せっかく恥をかかない様にって私も合わせたのに」
女神が小刻みに震える
「わ、笑うなよ……別にいいだろ!」
「え、えぇ。でも除菌シート欲しがる子供って、ふふ」
「もういいよ!なんとでも言えよ」
「はいはい、じゃぁ買ってあげるから。はやく買い物終わらせましょ?」
「はーい」
レジに着いた。時間帯的かすんなり通れたようだ。
「お会計3269円になります」
「ほら、紫雨音?先に荷物袋に入れといてくださいね」
カゴと袋を受け取って台に置いた所で気付く、高さ足んねぇ。
「まぁいいか、待つか」
「あら、身長が足りませんのね」
「あぁ、俺もすっかり忘れてたわ」
「よく台に載せれましたね」
「転生者特権って奴かな!」
「ありませんよ?そんなの。あるとしたらスーパーに行く度セールになるくらいですかね?」
「ま、まじかよ……」
絶望の紫雨音ちゃん様を他所に女神がせっせと荷物をまとめて歩き出す。
「おいてくなって。ってかお前俺がおらんと電車乗れねぇじゃん」
「いえ、もう覚えましたよ?」
「いや、金だよ。カードじゃ乗れないってば」
そう、何を隠そうこの女神はマナカやスイカをタッチする場所にカードを当てて通れないと言ってきたのだ。
結局お小遣いとしてもらっていた1500円を切り崩して2人分買う事態になったとかなんとか……
「でも不思議ですよね?全てカードで行ける訳じゃないのに妄想通貨とか流行らせてしまうなんて」
「アホか、仮想通貨な?それと現金は廃れねぇからな」
「そんなものなんですかね?」
「そんなもんだよ。ほら、キップ」
家に着くなりチャイムがなり息をつく間もなく取り付けが始まった。
「そそ、それはここら辺において」
1部ベランダから入れる事態になったが18時には全て終わり女神が飯を作っている間に入浴の準備を始めた。
「でー、コンロの使い方わかったのか?」
「はい、これ便利です!それと冷蔵庫ですか?冷たくて気持ち良いですね」
「お、お前アホか!冷蔵庫はまだ使えないぞ」
「へ?」
「まぁいいか……とりあえず中が完全に冷えるまで置いとかにゃかんのですよ」
「最新とか言うので即冷えると思っていましたが、氷使わないだけなんですね」
「あのなぁ……」
「いえ、とりあえず分かりました。それと着替えでしたら脱衣場のタンスの中ですよ」
「あ、まじか。センキュー」
ほぼ何も置かれていないリビングをウロウロしてたせいか心境を読まれたようだ。
「別におっさんがいる訳じゃないので服なんてあとでもよろしいのでは?」
「前からの癖で拭いたあとすぐ着たいんだよ」
「しっか拭き取れてないと汗疹とか出来ちゃいますよ?」
「わかってるってわかってるって」
一通り洗い終わり湯船に入ろうとして気付いた。
「おーい、お前さ。湯沸し押したかー?」
ガチャと浴室の扉を開けて叫ぶ
「押し忘れてました」
んにゃろう!
「まぁ中から押せるんだけどね。今思い出したから」
ピロンっとなって放出音が聞こえ始める。
「まだ入るには冷たいな」
何もやることが無かったのでシャンプーを使い髪の毛で遊ぶ事にした。
「おぉ!カブトムシ!」
「シチサンわけ!」
「お化け!!」
「トサカ!」
「何してるのですか?」
「うわっつ?!」
「騒がしいから見てみたら……子供じゃないんですから」
「悪かったよ、もう少し静かにするわ」
「はい、ご近所さんに迷惑なので」
「まって、目が!目がぁ!!染みるぞ」
はぁはぁ……死ぬかと思った。
まさかシャンプーが目に入るとは……俺も歳をとったもんだ。
結局お湯が湧くまでシャワーヘッドから落ちてくる水滴を上手く殴る遊びをしていた。


「1度のみならず2度も騒ぐなんて、相変わらず馬鹿ですね」
「うるせぇよ。ジャンプが目に入ったんだよ」
「あら、普通は目を開けずに洗う物ですが?」
「人によって違うんだよ!それにその、髪で遊んでたから……」
「次やったら身ぐるみはいで足ヒモで縛って逆さに吊るしますよ?」
「おぉ、怖い。センシティブにかからないのが余計に怖い」
「まぁ、でも気をつけてくださいよ?失明なんてしたら洒落になりませんから」
「なんだ、そこら辺は気にしてくれるんだな」
「えぇ、わざわざ新しい生を得たのに無駄にしてしまう人を止めないで神とか言えますか?」
「お、おう。よくわからんが圧がすごいから落ち着こうか」
「そうですね、せっかくの料理も冷めてしまいますし、食べましょうか」
「だなー、味噌汁は冷めてもうまいが塩味に他の味を消されがちなんだよなー」
「そうなんですか?」
「あぁ、とりあえず早く食べよ!いただきます!」
「いただきます」
「あ、せっかくだしテレビ付けていい?」
「いいですよ、そのくらい確認とならくても良いのでは?」
「意外と気にする人はするんだよ、飯作ってやったのに味わって食べずテレビ見よんか!ってな」
「私は仮にも女神ですよ?寛大なので」
「あーはいはい。んー、お笑いか。つまらん、動物バレエティー、テンプレ。おっ神話についてやってるぞ」
「やはり不思議ですね、この壁に人が入ってると思うと」
「入ってねぇよ。いいか?高速で動き付きの絵を書いて流してるだけだからな?」
「割っても小人とかも出てきませんか?」
「出ねぇよってか小人って居るのか?!」
「いますよ。人々が関心を持たないだけで世の中には色々なもので溢れています」
「じゃぁさ、いま神話特集でやってたゼウスとかも?」
「えぇ、でも昔の話です」
「と言うと?」
「色々あります。でも殆どのことを知らずに終えるのもまた人の運命」
「急に悟るな」
「簡潔に言いますと人には理解できないって事ですね」
「まぁそうなのか。ならいいか」
「でも凄いですねー、ここまで調べあげるなんて」
「ん?」
「神話ですよ、多少違いはありますがほぼほぼ原本のようなものです」
「まぁ言い伝えとかから有力視な内容を掻き集めて形成してるからな。逆を言えば今後内容が違ったまま進むやつもあるかもしれないってことさ」
「無駄に詳しいですね」
「まぁな、ざっと40年生きてりゃな」
「40過ぎても口にものを付けるんですね」
女神が口を拭ってきた。
「後で吹くから気にすんなよ」
「服でですか?」
「ちゃんとティッシュで吹く!俺の生活力舐められてねぇ??」
「えぇ、少なくとも後5歳はしたでも通用したでしょうね」
「おうおう、言ってくれんじゃねぇか!お前だってテレビみて箱の中に人!とか、冷蔵庫に氷が居るとか騒いでた癖によ!」
「あら、別に知ってましたよ!試したんですよ?」
「なら今からこの番組録画してみろ!」
「それは知ってますよ?」
スマホを取り出してパシャパシャとし出す女神
「内カメになってんぞ」
「あら、ほんとですわ」
何となくそんな気がして聞いてみると内カメだったらしい。
CMに入ったタイミングでドヤってきた。
「出来ましたけど何か?」
「声は?映像じゃないの?」
「ぐぬぬ」
「ほらみたことか!!」
「悔しいです……」
「よーし、な俺は5才下でお前は年増ば───」
ピーンポーン
「はーい」
ボタンを押さずして女神が声を出しながら玄関の方へ向かう。
家の中ではーいって今どきしねぇぞ
「どうもっす、初めましてかな?隣の雲雀ひばり 風揺なびき いやーマジ勘弁っす!今日だけは静かに頼めますかっ!!」
「あ、あの筋が見えないのですが」
「あね、僕ね!ずっと働いてるの!今日せっかくの休みだったから寝てたんだ!だから」
グゥ~と風揺の腹が鳴る。
「あ、あの大丈夫ですか?」
「こ、これは失礼っす」
「よろしければ食べていきますか?」
「そ、それは流石に」
「大丈夫ですよ?多分うちの子も喜んでくれますから」
「な、ならお言葉に甘えて、すいません。ホントのこと言うと借金で首が回らなくって、昨日からずっと寝込んでました。幸せを見ていると不幸になれって!思うくらいっす」
「は、はぁ……語りたいのであれば聞きますよ?なんなら道も示してあげますよ?」
「め、女神様ァ」
「どうもっす!隣の雲雀風揺っす!20歳絶賛バイト中です」
大学生くらいだろう。茶髪ショートで細め、中性的な見た目のせいかいまいちパッとしない奴だ
「お、おう。紫雨音だ。まぁバイトでも立派な職だ頑張れ」
「すごい娘さんっすね!もしかしてあっち系すっかぁぁ」
べたぁーと力なく倒れ込む。
「ほらほら、騒ぐ気力もないのに騒がないことですよ」
「かたじけないです」
「ほら、俺のコロッケひとつ分けてやるよ」
「ここは神っすか?!もう僕死んでもいいっすよ!」
「なぁー、あんさんや、ひとつ言ってやろうか?──────」
「センシティブですよ?」
「どうしたんすか?紫雨音ちゃん」
「いえ、この子時々フリーズするんですよ」
「あー!分かるっす僕もよく言いたいこと忘れるっす」
お前にわかられてたまるか。
食べ終わった所で女神が話を切り出す。
「で、過労死しかけな程働いている用ですが何かあったのですか?」
「それがねぇー、僕女運悪すぎて。最初に付き合った彼女がそれ系の愛人でお金持ってかれて……その後も色々……それと死んだ親父の残した借金が理解に及ばない程あるっす!」
「お前男だったのか」
「そうっすよ?」
「よろしければ聞きますよ」
「肩代わり!なんて無理っすからねぇ!話聞いてくれるだけでも感謝っす!逆にお金払いたいくらいです!ご飯まで貰っちゃって!」
「気にする事はありませんよ?」
「そんな、いつかお礼するっすよ」
「で?お前の苦労話聞けるんだろ?聞かせろよ」
「さっき言った経緯でお金が無いどころか借金が増えて……~って事があって~で~なんすよね……」
「それは辛かったですね」
「そんな辛いならとりあえず家とか売って足しにしろよ」
「それは無理っすよ!」
「なんでだよ」
「事故物件に10年住んで何も無かったという保証のアルバイトしてるんで!」
「どんなバイトだよ……」
「募集要項には霊感の無い人、基本寝てる人もしくは家に居ない人ってあったす。だから借金生活してても住める一軒家として丁度いいなって。光熱費も無料っすよ?」
「幸せなのか不幸なのかよくわからんなお前」
「安心してください、今日が運命の分かれ道ですよ?」
「えっ?!」
「何かいいことがあるかもしれません。強く前向きに生きれば良いのです」
「ほんとっすか?!もう藁にもすがる思いだったすよ!」
「今日ピンポンしたのほんとは夜飯強請りだったろコイツ……」



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