島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪
85. 追いかけっこ
※バルナバ視点
あれから毎日、城の執務の合間を縫ってカリーヌを運動させるべく監獄へ通っていた。でも彼女は一向に走ろうとしない。ダラダラ歩いてベンチに座って水をがぶ飲みして、くだらないお喋りを一方的に喋って……僕は暇潰しに付き合わされてる感があって二、三日放っておいたら、またヒステリックにわめき散らすという進歩のない日々を繰り返していた。
カリーヌは何一つ反省する姿勢もなく、見た目も明らかに太っていた。それを指摘すると逆ギレして開き直るからタチが悪い。
「今日走らないのなら、もう外へは出さない」
「バルナバ、中庭飽きたな。あっちの広い場所へ行こうよ!」
あっちとは囚人の職業訓練のために用意してある農園や牧場、建築技術を習う屋外の敷地だ。中庭より遥かに広い。でも、そこには囚人も居るから鉢合わせはよくないと思っていた。
「あそこなら走れそうだよ!」
「お前のその言葉に散々騙されてきたんだ。全く信用できないな」
「も~お! じゃあさー、チュウしていいから!」
「か、揶揄うんじゃない!」
これだ。時々彼女は色仕掛け的な誘惑で、僕から何かを得ようとする。最初はアニエス様にそっくりだったからドキッとしたことは否めない。僕にはコリーヌという恋人が居るけど、アニエス様には憧れの様な気持ちも正直あるからね。
だけどアニエス様を彷彿させる彼女から、そんな言葉は聞きたくない。
「よし! じゃあ、追いかけっこしよっか!」
「えっ!?」
突然、彼女は農園に向かって走り出したのだ。
は、走れる! あいつ、走れるじゃないか! いや待て、今はそこじゃない!
「い、いかん! おい、カリーヌ!」
何て勝手な行動を取るんだ。僕は許可してないだろ!
「捕まえろーーっ!」
警護の者二名と僕は彼女を追って走り出した。意外とカリーヌは速い。どこにそんなチカラがあったのか不思議で仕方ない。
「キャハハハハハハハ……!」
彼女は僕たちが必死に追いかける姿を振り返りながらはしゃいでいた。
「楽しんでる。ったく、信じられないオンナだ!」
幸い、農園の訓練場には囚人が居なかった。でも何を思ったのか、カリーヌは急に立ち止まった。
「はぁはぁはぁはぁ……お前な……」
振り返った彼女は表情が険しい。何か嫌なことでもあったかの様に。すると……。
「バルナバぁ……くっさ~~い!」
気がつけば肥料の匂いがプンプンしている。そりゃそうだ。ここは農園なんだから。
「前にお姉様が居たあの場所と同じだあ……わたくしこの臭い、耐えれな~~い!」
警護の者に担がれた彼女は鼻を手で押さえて足をバタつかせていた。
「あのな、カリーヌ……」
「何よ、くっさいトコって言っといてよね! 鼻が曲がるかと思ったじゃん!」
僕は我慢の限界を超えた。
「もう、お前のことなど知らーーん! 一生、独房でブクブク太って過ごせばいいっ!」
そう怒鳴って、その場を後にした。
あれから毎日、城の執務の合間を縫ってカリーヌを運動させるべく監獄へ通っていた。でも彼女は一向に走ろうとしない。ダラダラ歩いてベンチに座って水をがぶ飲みして、くだらないお喋りを一方的に喋って……僕は暇潰しに付き合わされてる感があって二、三日放っておいたら、またヒステリックにわめき散らすという進歩のない日々を繰り返していた。
カリーヌは何一つ反省する姿勢もなく、見た目も明らかに太っていた。それを指摘すると逆ギレして開き直るからタチが悪い。
「今日走らないのなら、もう外へは出さない」
「バルナバ、中庭飽きたな。あっちの広い場所へ行こうよ!」
あっちとは囚人の職業訓練のために用意してある農園や牧場、建築技術を習う屋外の敷地だ。中庭より遥かに広い。でも、そこには囚人も居るから鉢合わせはよくないと思っていた。
「あそこなら走れそうだよ!」
「お前のその言葉に散々騙されてきたんだ。全く信用できないな」
「も~お! じゃあさー、チュウしていいから!」
「か、揶揄うんじゃない!」
これだ。時々彼女は色仕掛け的な誘惑で、僕から何かを得ようとする。最初はアニエス様にそっくりだったからドキッとしたことは否めない。僕にはコリーヌという恋人が居るけど、アニエス様には憧れの様な気持ちも正直あるからね。
だけどアニエス様を彷彿させる彼女から、そんな言葉は聞きたくない。
「よし! じゃあ、追いかけっこしよっか!」
「えっ!?」
突然、彼女は農園に向かって走り出したのだ。
は、走れる! あいつ、走れるじゃないか! いや待て、今はそこじゃない!
「い、いかん! おい、カリーヌ!」
何て勝手な行動を取るんだ。僕は許可してないだろ!
「捕まえろーーっ!」
警護の者二名と僕は彼女を追って走り出した。意外とカリーヌは速い。どこにそんなチカラがあったのか不思議で仕方ない。
「キャハハハハハハハ……!」
彼女は僕たちが必死に追いかける姿を振り返りながらはしゃいでいた。
「楽しんでる。ったく、信じられないオンナだ!」
幸い、農園の訓練場には囚人が居なかった。でも何を思ったのか、カリーヌは急に立ち止まった。
「はぁはぁはぁはぁ……お前な……」
振り返った彼女は表情が険しい。何か嫌なことでもあったかの様に。すると……。
「バルナバぁ……くっさ~~い!」
気がつけば肥料の匂いがプンプンしている。そりゃそうだ。ここは農園なんだから。
「前にお姉様が居たあの場所と同じだあ……わたくしこの臭い、耐えれな~~い!」
警護の者に担がれた彼女は鼻を手で押さえて足をバタつかせていた。
「あのな、カリーヌ……」
「何よ、くっさいトコって言っといてよね! 鼻が曲がるかと思ったじゃん!」
僕は我慢の限界を超えた。
「もう、お前のことなど知らーーん! 一生、独房でブクブク太って過ごせばいいっ!」
そう怒鳴って、その場を後にした。
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