島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪
49. お城
わたくしはベルティーユに連れられ、お城へ来ている。ジェラール様と面談のためだ。
「あー、ドキドキするう」
「大丈夫です。とてもお綺麗ですよ」
入口エントランスの鏡に写る自分の姿が目に入った。ニュートラルブラウンのロングヘアーは彼女の魔術とも言える手捌きで美しく結って貰っている。そしてナチュラルなお化粧が施され、何処で調達したのか分からない素敵なドレスを着飾って、それなりの装いに自分でも驚いていた。
今日は監視役が居ない。バルナバさんは朝から施薬院建設につきっきり。薄唇さんはソフィアと牧場のお世話をしてるのだ。
いつもと違う日常と、これから何を話そうかココロが定まってない心境に不安しかなかった。その気持ちを紛らわすかの様に、初めて訪れたお城に興味をぶつける。クリスタル・ガラスの高価な彫刻や素敵な美術品など目を惹くものが多々あり、その一つ一つを彼女に解説して貰った。
「ベルティーユはお城に詳しいのね」
「はい、元職場ですから」
そういえば、城の中で働く方々が彼女を見て会釈してるけど何処かよそよそしい。罪人のわたくしが居るからかな。でも、怖がってる様にも見える。
「私、嫌われてますの」
「そう……なの?」
「はい、殿下の執事として周りに厳しすぎたのかもしれませんね」
そう彼女は微笑を浮かべる。
──えっ、執事って!?
皆が怖がってるのは何となく分からなくもないけど、その前に「殿下の執事」だったことに驚いた。つまり彼に詳しいってことだ。
「今日は何をお話されるのかな……」
「殿下はシャイですが真はお強い御方です。何かお考えがあると思います。大丈夫ですよ、きっとお味方になってくれます」
ベルティーユは優しく励ましてくれるけど、よく考えたらお屋敷の皆んなは正直、わたくしのこと、どう思ってるのだろう? だって元王太子の婚約者で悪役令嬢の誹りを受けて島流しされた前代未聞のオンナ、罪人なんだよ。優しく接してくれるけど本当は……?
いかん。マイナス思考だ。今、クヨクヨ考えるべきではない。
そうココロが葛藤してるうちに、螺旋階段の先にある応接室へたどり着いた。ノックしてお部屋に入るが、まだ殿下は居ない。暫く一人で待つことになった。扉の向こう側にベルティーユが控えている。
やがて、コンコンっとノック音が聞こえた。
「アニエス様、殿下が来られました」
ああっ、いよいよだわ! 緊張する!
ベルティーユがガチャっと扉を開ける。そこにはグレーの制服に上品な装飾が眩い殿下がおられた。お付きの者は居ない。たった一人だった。
わたくしは緊張しながらも、まじまじと彼を見つめてしまう。以前に屋敷でお会いした時はまともに見れなかったけど、この土壇馬の度胸は自分でもよく分からない。
でも、気づいたことがある。彼は益々素敵な男性になられていた──
「あー、ドキドキするう」
「大丈夫です。とてもお綺麗ですよ」
入口エントランスの鏡に写る自分の姿が目に入った。ニュートラルブラウンのロングヘアーは彼女の魔術とも言える手捌きで美しく結って貰っている。そしてナチュラルなお化粧が施され、何処で調達したのか分からない素敵なドレスを着飾って、それなりの装いに自分でも驚いていた。
今日は監視役が居ない。バルナバさんは朝から施薬院建設につきっきり。薄唇さんはソフィアと牧場のお世話をしてるのだ。
いつもと違う日常と、これから何を話そうかココロが定まってない心境に不安しかなかった。その気持ちを紛らわすかの様に、初めて訪れたお城に興味をぶつける。クリスタル・ガラスの高価な彫刻や素敵な美術品など目を惹くものが多々あり、その一つ一つを彼女に解説して貰った。
「ベルティーユはお城に詳しいのね」
「はい、元職場ですから」
そういえば、城の中で働く方々が彼女を見て会釈してるけど何処かよそよそしい。罪人のわたくしが居るからかな。でも、怖がってる様にも見える。
「私、嫌われてますの」
「そう……なの?」
「はい、殿下の執事として周りに厳しすぎたのかもしれませんね」
そう彼女は微笑を浮かべる。
──えっ、執事って!?
皆が怖がってるのは何となく分からなくもないけど、その前に「殿下の執事」だったことに驚いた。つまり彼に詳しいってことだ。
「今日は何をお話されるのかな……」
「殿下はシャイですが真はお強い御方です。何かお考えがあると思います。大丈夫ですよ、きっとお味方になってくれます」
ベルティーユは優しく励ましてくれるけど、よく考えたらお屋敷の皆んなは正直、わたくしのこと、どう思ってるのだろう? だって元王太子の婚約者で悪役令嬢の誹りを受けて島流しされた前代未聞のオンナ、罪人なんだよ。優しく接してくれるけど本当は……?
いかん。マイナス思考だ。今、クヨクヨ考えるべきではない。
そうココロが葛藤してるうちに、螺旋階段の先にある応接室へたどり着いた。ノックしてお部屋に入るが、まだ殿下は居ない。暫く一人で待つことになった。扉の向こう側にベルティーユが控えている。
やがて、コンコンっとノック音が聞こえた。
「アニエス様、殿下が来られました」
ああっ、いよいよだわ! 緊張する!
ベルティーユがガチャっと扉を開ける。そこにはグレーの制服に上品な装飾が眩い殿下がおられた。お付きの者は居ない。たった一人だった。
わたくしは緊張しながらも、まじまじと彼を見つめてしまう。以前に屋敷でお会いした時はまともに見れなかったけど、この土壇馬の度胸は自分でもよく分からない。
でも、気づいたことがある。彼は益々素敵な男性になられていた──
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