島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪

鼻血の親分

24. お泊まり

 ※ジェラール視点

「いや~、可笑しくて、可笑しくて……ぷぷぷ……だってアイツ、全然リズム感ないんだも~ん!」

 ご機嫌な報告だな。だが、そんな話どうでもよい。問題はその後だろう。

「子供たちが楽しんだのなら良かったな。で、その日はお泊まりしたって?」
「あ、はい。皆んなで大の字になって寝ました」
「お前もか?」

 そう突っ込むと、バルナバは少し困った表情を見せた。

「実はですね……」

 彼の長々とした言い訳じみた回想が続くので割愛する。要約するとこうだ。お食事した後、ニワトリと触れ合って遊んでいたけど、夕方になって「帰りたくなーい」と子供たちが言い出したそうな。で、泊まってもいいよって話になり夕飯は外でバーベキューして盛り上がったらしい。因みに焚火を起こす時、ブリスが偉そうな振る舞いで活躍したので、その愚痴が長くて長くて鬱陶しかった。

 さて、本題だ。

「一緒に寝よう~」と子供たちに纏わりつかれたアニエスとコリンヌだったが、それは男子であって女子はバルナバとブリスに纏わりついたそうだ。で、仕方なく大人四人、子供八人で窮屈ながらリビングで寝たと言う経緯だった。

「子供が居たとはいえ、同じ部屋で寝たんだな」
「はい。あー、そう言えば薄唇殿の寝相が悪くて困りましたよ。アイツ、寝てても我儘なんだから」
「彼の寝相など興味がない。それより寝床の配置はどうだったんだ?」
「えっと、どうだったかな」

 おい、報告で一番大事なところだろ。

 彼の辿々しい記憶によれば、端っこからアニエス、コリンヌ、バルナバ、ブリスで、それぞれに子供が二人、左右に居たと言う。

 なるほど。アニエスとブリスがそれだけ離れていたのなら安心だな。それが一番聞きたかったのだ。

「殿下、心配しなくても大丈夫ですよ」
「な、何が?」

 私の気持ちを見透かされた様で少々イラッとする。

「え? アニエス様のことですよ。何もありませんから」
「いや、私は別に……」

 ブリスが彼女を見る目がどうとかって、お前が言うから気になってるんじゃないか。全く。

「殿下も一度、お屋敷にいらしてくださいよ」
「だから、行く理由がないだろ」
「理由ですか……。まあ領主様が一介の罪人に軽々しくは会えないですよねえ」

 そうだ。良く分かってるじゃないか。お前にしてはまともな思考だ。

「うーん。では特定の罪人、囚人と定期的に面談するってのはどうですか? 公務としてですよ」
「面談?」
「はい。特別待遇の人や模範囚と会って、今後の話やココロのケアを領主様自ら行うのです。きっと感動しますよ。監獄にも良い影響をもたらすのでは?」

 ほう。何だこいつ。唐突に良いこと言うな。まあ、ちゃらちゃらしてるけど島内一の秀才だったから、私が事務官として雇ったのだが。

「考えておこう。バルナバ、すまないが一人にしてくれないか」

 アニエスと公務で話が出来るか……。彼女の罪って本当の話なのか聞いてみたいな。そして、その面談とやらで、もう一つ浮かんだことがある。特別室のあの御方にも話がしたい。

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