島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪
15. 地引網漁
※ブリス視点
「ベルティーユ。アニエスは港か?」
「はい。早朝、いつもの様にバルナバ様とコリンヌを連れて、地引網漁へお出掛けになりました」
「相変わらずだな。何が面白いんだか。……おい、腹が減った。何か食わせろ」
「かしこまりました。ブリス様」
罪人の屋敷で当然の様に飯を食う。侍女のベルティーユをまるで使用人の如く扱う。俺は監視官だ。それくらい当然だと思っている。
にしてもだ……。
ああ、次の船まであと三日。全く、月に数回しか定期便がないなんて孤立した島だな。観光客お断りの囚人島だから仕方ないか。
ケヴィン様にそろそろ罪人の近況を報告しなければならない。それにあの御方にも会わないと……。まあ、だいたい島のことは把握した。だが、もっと島民と話がしたいな。気になることもある。
「どうぞ、お召し上がりください」
ベルティーユが給仕してきた。焼きたての魚と野菜たっぷりスープ、それに黄身がトロ~っとした半熟卵にバターパン。いい匂いだ。思わず、がっつく。
「お味はいかがですか?」
「ん? まあまあだな」
いやいや、滅茶苦茶美味い! この侍女は天才だろ? それに大衆食堂の何だっけ……あのお魚スープも絶品だ。この島で口にするもの、何でも王都より断然素晴らしいぞ!
「ご馳走さん。さてと、港でも行くか」
「はい。お気をつけて」
「うむ」
港まで歩く。通りすがりに畑の世話をしてる百姓らしき爺さんを見かけた。
「おい、そこのお前?」
「へ、へえ……何でしょうか?お役人様」
「生活で困ったことはないか?」
「いえ、特には」
「何かあるだろう?」
「いえ、本当にないのです。領主様が良くしてくださるんで」
「領主? 王子がお前らに直接、何かする訳でもあるまい」
「いえ、わしら、困ったことがあれば城で話を聞いてくださるんです」
「なに? 王子が直接?」
「へえ。誰にでもお会いになられます。わし、元囚人ですが、島民分け隔てなく相談に乗ってくれるんです。ありがたいことでございます」
まさか……いや、そういえば、時々城内で島民を見かけるな。何かの手続きだろうと思ってたが、殿下は自ら民の困りごとを聞いていたのか? とても信じられない話だ。王都だったら門前払いか、捕まるのがオチだろう。
腑に落ちないまま港へ着いた。地引網漁をしてる集団が目に入る。黒装束の漁師に混じってド派手なピンク色の装束を纏った女が二人労働していた。
「あっ、あれはアニエスとコリンヌか!?」
泥だらけじゃないか。何やってるんだ。疲れるだろう。
「彼女は本当に公爵令嬢なのか……?」
罪人でなければ次期王妃だった由緒正しきご令嬢が地引網漁してる。しかも好き好んでだ。俺には到底理解出来ない。
「監視官殿」
「ん? おう、バルナバか」
チャラ男は魚の入った箱をせっせと運んでいる。「お前は漁港関係者か!」とツッコミたいがやめた。コイツも付き合わされて大変なんだろうな。
「食堂の仕込み用と、お屋敷へ持って帰る分です」
「あ、そう。ご苦労さん」
「もう直ぐ終わりますよ。何か御用ですか?」
「いや別に。ただ監視してるだけだ。この後も着いて行く」
「は、はあ……」
王都で詳しく報告する気はないが、俺は何故かアニエスの行動が気になっていた。
「ベルティーユ。アニエスは港か?」
「はい。早朝、いつもの様にバルナバ様とコリンヌを連れて、地引網漁へお出掛けになりました」
「相変わらずだな。何が面白いんだか。……おい、腹が減った。何か食わせろ」
「かしこまりました。ブリス様」
罪人の屋敷で当然の様に飯を食う。侍女のベルティーユをまるで使用人の如く扱う。俺は監視官だ。それくらい当然だと思っている。
にしてもだ……。
ああ、次の船まであと三日。全く、月に数回しか定期便がないなんて孤立した島だな。観光客お断りの囚人島だから仕方ないか。
ケヴィン様にそろそろ罪人の近況を報告しなければならない。それにあの御方にも会わないと……。まあ、だいたい島のことは把握した。だが、もっと島民と話がしたいな。気になることもある。
「どうぞ、お召し上がりください」
ベルティーユが給仕してきた。焼きたての魚と野菜たっぷりスープ、それに黄身がトロ~っとした半熟卵にバターパン。いい匂いだ。思わず、がっつく。
「お味はいかがですか?」
「ん? まあまあだな」
いやいや、滅茶苦茶美味い! この侍女は天才だろ? それに大衆食堂の何だっけ……あのお魚スープも絶品だ。この島で口にするもの、何でも王都より断然素晴らしいぞ!
「ご馳走さん。さてと、港でも行くか」
「はい。お気をつけて」
「うむ」
港まで歩く。通りすがりに畑の世話をしてる百姓らしき爺さんを見かけた。
「おい、そこのお前?」
「へ、へえ……何でしょうか?お役人様」
「生活で困ったことはないか?」
「いえ、特には」
「何かあるだろう?」
「いえ、本当にないのです。領主様が良くしてくださるんで」
「領主? 王子がお前らに直接、何かする訳でもあるまい」
「いえ、わしら、困ったことがあれば城で話を聞いてくださるんです」
「なに? 王子が直接?」
「へえ。誰にでもお会いになられます。わし、元囚人ですが、島民分け隔てなく相談に乗ってくれるんです。ありがたいことでございます」
まさか……いや、そういえば、時々城内で島民を見かけるな。何かの手続きだろうと思ってたが、殿下は自ら民の困りごとを聞いていたのか? とても信じられない話だ。王都だったら門前払いか、捕まるのがオチだろう。
腑に落ちないまま港へ着いた。地引網漁をしてる集団が目に入る。黒装束の漁師に混じってド派手なピンク色の装束を纏った女が二人労働していた。
「あっ、あれはアニエスとコリンヌか!?」
泥だらけじゃないか。何やってるんだ。疲れるだろう。
「彼女は本当に公爵令嬢なのか……?」
罪人でなければ次期王妃だった由緒正しきご令嬢が地引網漁してる。しかも好き好んでだ。俺には到底理解出来ない。
「監視官殿」
「ん? おう、バルナバか」
チャラ男は魚の入った箱をせっせと運んでいる。「お前は漁港関係者か!」とツッコミたいがやめた。コイツも付き合わされて大変なんだろうな。
「食堂の仕込み用と、お屋敷へ持って帰る分です」
「あ、そう。ご苦労さん」
「もう直ぐ終わりますよ。何か御用ですか?」
「いや別に。ただ監視してるだけだ。この後も着いて行く」
「は、はあ……」
王都で詳しく報告する気はないが、俺は何故かアニエスの行動が気になっていた。
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