婚約破棄されたのだが、兄上がチートでツラい

フジミヤ

後日譚

 姉である我が母を大好きな叔父上--陛下が我が家にやってきて、謝罪とその後を語って帰った。

 思えば昔から--私が生まれた時から、姪である私をとにかく可愛がっていた陛下は、私にも謝罪の言葉を繰り返した。
あまりにも落ち込んでいたので、叔父上のことは大好きですよと何度か返すと、ようやく気を取り直して帰城したのだが、とにかく背中が煤けていた。

 イヴァン殿下は廃嫡され、子孫を残せないように処理された上で側室さまの実家に据えたと。芸術伯の子息と魔術師長のお孫さんも似たようなものだそうだ。

 あの令嬢については、皆口を閉ざしている。
 まあ、つまりはそういうことなのだろう。皇家公爵家への不敬、侮辱行為、妄言、罪状は枚挙にいとまがない、というものだし、何より、兄上のあの微笑みが。

 …存外、兄上の再教育プログラムで、お国のお役に立てるナニかになっているかもしれない。
 デッド・オア・アライブ。
 どちらが幸せなのか、私にはわからない。
 
 その兄上は、絶賛別館に引きこもっている。私があの茶番劇の最中に考えていた、場面をクローズアップするための術式を構築中だ。

 その発想はすごいよローズ、そう口にした後はポエミーな言葉を続けて続けて続けてから引きこもったので、そのうち私が思いついたことが現実になるだろう。何しろ兄上は天才なので。
 
 私は慰謝料として提示された目録を眺めながら、あの茶番劇をとは言わないが、私が思い浮かべた場面の切り取りを活かした何かがつくれないものかと考えている。

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