子供に懐かれたら家政婦になりました。あれ?雇用主の様子がおかしいようです

ナナシ

111.挨拶

ほのぼのとした馬車の中、騎士団に到着すると…


「アリス、リナ。待ってたよ」


早速先に向かっていたルーカスさんが笑顔で出迎えてくれた。


「お前は…仕事はどうした?」


ブライアン様が呆れながらアリスちゃんを抱っこしたまま馬車を降りる。


「もう連絡事項は終わりました。書類も用意してあります、あとは団長の指示を待つだけです」


馬車を降りる私に手を差し出し手を添えながら答えると


「そ、そうか…まぁやる事をやってるなら文句はない。だがちゃんとリナの意思を尊重しろよ…」


「わかってます」


二人で何やらコソコソと話している。


「じゃあリナは少し待っててくれ。先に副団長と少し話してくる」


「はい、アリスちゃん。ブライアン様のお仕事の邪魔になっちゃうから向こうで遊んでようね」


私はアリスちゃんをブライアン様から受け取る。


「医務室で待っていても大丈夫でしょうか?先生に改めてお礼をしてきたいのですが…」


「ああ、構わない。話が終わったらそちらに向かおう」


ブライアン様から了承を貰い医務室に向かうことにした。


「じゃあ俺が送ってきます」


ルーカスさんが私達に近づこうとする。


「ルーカスさん、医務室はもうわかりますから大丈夫です。ご自分のお仕事を優先してくださいね」


「わ、わかった…じゃあ気をつけて…」


ルーカスさん達と別れて私達は医務室へと向かった。


トントン!


アリスちゃんが元気に扉を叩くと中から先生の声がする。


失礼しますと声をかけて扉を開く。


「おお、二人とも今回はお手柄だったみたいだな」


先生が笑顔で出迎えてくれた。


「いえ、私は…アリスちゃんが助けてくれて…」


アリスちゃんを褒めると誇らしそうに胸を張る。


「そうなのか!?いい子だな~」


先生がアリスちゃんの頭を撫でて大袈裟に褒めてくれる。


アリスは頬を赤く染めて嬉しそうだ。


「それでアリスちゃんにもこの仕事を手伝ってもらおうと思ってます」


「それはいいね。アリスちゃんもリナさんとずっと居れるなぁ」


「うん!」


先生がニコニコ笑いながらアリスちゃんの話を聞いている。


「先生、アリスちゃんの様子は大丈夫でしょうか?」


話を終えてアリスちゃんがひとり遊びをしている時に先生にそっと話しかける。


「うん、言葉もよく出てるし表情も明るくなったね。このまま君達と暮らしていくことに問題ないよ」


「よかった…」


それを聞いてほっと胸を撫で下ろす。


「リナさんもルーカスさんと婚約したんだってね。早いところ一緒になって安定してあげると尚いいだろうね」


「は、はい…ルーカスさんに相談してみます」


「それと…背中の傷は大丈夫かな?」


「はい…」


私は笑顔で頷く。


気を使ってではなく本当に笑うことが出来た…ルーカスさんに昨夜言って貰った言葉が頭に浮かぶ。


「なにがあったか想像できるね…まぁリナさんが幸せならいいけどね、定期的に薬は貰いに来なさいね」


「はい!よろしくお願いします」


先生にお礼を言って雑談していると、ブライアン様とセドナ様が医務室を訪れた。

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