107.寝顔

アリスちゃんはルーカスさんに抱っこされたままいつの間にか眠ってしまっていた…


「ふふ、こうやって寝顔を見るとまだまだ小さい子ですね」


可愛い寝顔を見つめて可愛いほっぺを触ってみる。


「本当だな、こんなに小さい体でどんだけの事を我慢しているんだか…」


ルーカスさんが真剣な顔でアリスちゃんを見つめている。


「これからはアリスちゃんのご両親に変わって私達がたくさん甘やかしてあげればいいんじゃないでしょうか？」


「そうだな…」


ルーカスさんと気持ちよさそうに眠るアリスちゃんをベッドに運ぶとそっと下ろす。


しかし…


「ア、アリス…離してくれよ…」


アリスちゃんはルーカスさんにガッシリと掴まっていて離れそうに無かった。


仕方なく無理に離そうとすると…


「んっ…んんっ！」


顔が険しくなり泣きそうな声をだした！


私達は慌ててその手を離すと…


ギュッ！


アリスちゃんは更に強くルーカスさんにしがみついてしまった。


「ふぅ…仕方ない。ルーカス今夜は家に泊まりなさい」


「えっ！？いいんですか？」


ブライアン様が仕方ないと頷くと、ルーカスさんは嬉しそうに顔を輝かせた。


ルーカスさんを離さないアリスちゃんはルーカスさんと客間に寝る事になり、私は一人用意された部屋で寝る事になった。


「では、おやすみ」


「おやすみなさい」


ブライアン様夫妻と挨拶を済ませると各自部屋に向かう…エーデル様は帰宅なさった旦那様とセーラ様とご自宅の屋敷に戻っていった。


私も用意してもらった部屋に向かおうとするが…足が止まる。


そしてクルッと向きを変えるとルーカスさん達が寝る客間へと向かった…


トントン…


軽くノックをするが返事がない…もう寝てしまったかなとどうしようか迷っていると…


「ん…」


中から声が聞こえた。


「ルーカスさん？入りますね…」


アリスちゃんを起こさない程度の音量で声をかけて部屋へと入るが二人がベッドから動く気配がない。


どうやら寝言か何かに反応して入ってしまったみたいだ…


失礼だし部屋を出ようとすると…


「ん～…」


アリスちゃんが苦しそうな声を出した。


「アリスちゃん！？」


私はそっと近づくと顔を覗き込む。


アリスちゃんは眉間にシワが寄り添うになるほど難しい顔をしていた…


よしよし…大丈夫だよ…


心の中で声をかけて眉間を優しく撫でてあげると次第に顔が穏やかになる。


よかった…とほっとするとサラサラの髪を優しく撫でた。


「いい夢見てね…」


声をかけると本当にいい夢でも見てるのかニコッと笑った。


その顔をみて安心してその髪にキスをすると、部屋を出ようと立ち上がる…そして隣で眠るルーカスさんに目がいく。


整った顔で穏やかに寝ながら逞しい腕でアリスちゃんを抱きしめていた。


そして夜のデートの事を思い出し一人赤面する。


恥ずかしかったでも…こんな自分を受け入れ愛してくれる人…


大好きです。


声を出さずにルーカスさんの可愛く出ていたおでこに軽くキスをした。


おやすみなさい…


二人を見下ろして微笑み離れようとすると…


バッ！っと腕を掴まれ驚きに声を出そうになる。


口を押さえてどうにか声を出さずにすむと…


「こら、寝てる時にそれは狡くないか？」


ルーカスさんが笑いながら見上げていた。