子供に懐かれたら家政婦になりました。あれ?雇用主の様子がおかしいようです

ナナシ

102.二人っきり

「じゃあアリスちゃん…いい子でね」


アリスちゃんの頭を撫でて、そのまま下に下がりぷっくらとした頬を撫でた。


アリスちゃんは気持ちよさそうに目を細める。


「うん!リナとルーカスもいいこにね」


元気に手を振りながらアリスちゃんに逆に言われてしまい苦笑しながら手を振り返した。


馬車が動き出すのを見送る…アリスちゃんは見えなくなるまで窓から顔を覗かせて手を振り続けていた。


その様子をハラハラしながら見ていた、そして馬車が見えなくなってしまうと…


「じゃあ俺達も行こうか」


ルーカスさんにそっと手を絡め取られた。









馬車の中ではアリスちゃんは二人が見えなくなるまで手を振り続けていた。


身を乗り出すのをフレアは落ちないようにと気をつけながら体を掴んでいた。


二人の姿が見えなくなると…


ストン…


アリスちゃんは元気なくなり椅子に腰掛けた。


「アリスちゃん?どうしたの?」


セーラも心配してアリスちゃんに声をかける。


アリスちゃんはブンブンと首を振ってなんでもないと下を向いた。


その様子からなんでもないとはとても思えなかった。


「リナさん達がいなくて、寂しくなっちゃった?」


アリスちゃんは少し悩んでからこくりと力なく頷いた。


「まぁアリスちゃん!ならリナと一緒に行けばよかったのに…」


セーラがなんで行くのを断ったのかと聞くと


「だって…ふたりにしてあげたいと…おもったの…」


「アリスちゃん…」


健気なアリスちゃんにエーデルとフレアはアリスちゃんを抱きしめた。


「アリスちゃん、そんな顔をしてたらリナさんが帰ってきた時に悲しむわ」


「そうね、きっとリナさんとルーカスさんはアリスちゃんにそんな顔をさせてまで一緒に居たいと思わないと思うよ」


アリスは二人の顔を見上げる。


「次はわがままを言ってごらん、二人はそんな事でアリスちゃんを嫌うかな?」


ブンブン!


アリスは二人の顔を思い浮かべて違うと首を横に振る!


「私もそう思うわ!次は一緒に行きたいって言えるといいね」


「うん…」


「でも気遣いができてアリスちゃんは本当に偉いわ!いい子だから帰ったらリナさん達が戻るまでお菓子パーティーをしちゃいましょ!」


フレアの提案にエーデルとセーラが賛成する。


「それはいいわね!今夜はいい子なアリスちゃんの為に美味しいお菓子を沢山用意しましょう」


「やった!アリスちゃん一緒にいっぱい食べようね!セーラのお気に入りを教えてあげるね」


「うん!」


少し笑顔を取り戻したアリスちゃんにフレア達はホッと胸を撫で下ろした。







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