子供に懐かれたら家政婦になりました。あれ?雇用主の様子がおかしいようです

ナナシ

94.不信

「騙されるな!そう言って私達はみんな連れ去られただろ?」


年上の女の子が近づこうとする他の子に警戒するように声をかける。


「ここだって、最初は優しくして騙して…売ったら扱き使われるんだ!」


ダンっ!と壁を強く叩いた。


「そんな事しないよ…」


興奮する子を刺激しないようにそっと話しかける。


「リナちゃん…大きな声がしたけど…大丈夫?」


すると心配したシモンさんが扉からそっと声をかけてきた。


「大丈夫です…ちょっと待って下さいね。あなたお名前は言える?」


リナはとりあえず腕にいた泣いてる子に話しかけると…


「リリ…」


「リリちゃんか、私はリナって言うの!名前似てるね」


リリちゃんに話しかけると少しだけ頬を緩めてくれる。


「あのお姉ちゃんについて行くと馬車ですっごく優しいシスターがいる家に連れてってくれるんだよ…そこにはご飯も暖かい寝る所もお友達も沢山いるの。お姉ちゃんもそこに居たんだ」


「お姉ちゃんも?」


「うん、そこに先にいっててくれる?私も後で必ず行くから…」


「……」


リリちゃんはどうしようかと迷っていた。


すると…


「リナ!」


シモンさん達の後ろからアリスちゃんが部屋に飛び込んで来た!


「アリスちゃん!?」


突然の事に驚いていると…


「あらあら~そこのお姉さん綺麗ね~何処の所属かしら~」


笑いながらフレア様とエーデル様がセーラちゃんを連れて入ってくる。


そしてコソコソと顔を隠すシモンさんをちらっとみる。


「主人から話は聞いてますよ。同じ女の私達なら手伝えるかと思って来てみたのだけど…必要なかったかしら…」


シモンさんとラキさんをみてクスクスと笑っている。


「リナ!アリスもてつだえるよ!」


アリスちゃんは駆け寄ると私に抱きついてきた。


「皆さん、アリスちゃん…ありがとう」


アリスちゃんの頭を撫でてあげると


「この子…だあれ?リナのともだち?」


アリスちゃんは私に抱きついているリリちゃんをみて首を傾げた。


「今からみんなで私のいた修道院に行くところなんだよ。そうだ!アリスちゃんみんなを修道院まで連れてってくれる?」


「わかった!リリちゃんだね!いこー」


アリスちゃんが笑顔で手を差し出すと


「いっていいの…」


「もちろん!シスターやさしくておいしいおかしつくってくれるよ!」


アリスちゃんの言葉にリリちゃんも心を開いていくようだった。


「おかし…たべたい」


「うん!たべたらあそぼ!アリスのオススメはおままごと!」


「おままごと…ってなぁに?」


リリちゃんはアリスちゃんの言うことに興味津々で後をついて行く…


「他にも行きたい子はいるかな?優しいお姉さん達が案内してくれるよ」


「わ、わたしも…」


「い、いく!」


小さい子達は同じくらいのアリスちゃんとセーラちゃんの姿にほっとしたのかついて行ってくれた。


修道院まで行けばシスターがいる…そうすればもう安心だ。


あとは…と部屋を見れば最初に言葉を発した女の子と他の二人が残っていた。


「皆さんも行きませんか?ずっとここにいる訳にもいかないし…」


またリナが一人となって彼女達に話しかけた。

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