子供に懐かれたら家政婦になりました。あれ?雇用主の様子がおかしいようです

ナナシ

91.ピッタリ

ルーカスさんが名残惜しげにリナの元を去っていくと…


「はぁやっと邪魔なでかいのが居なくなったな」


シモンさんが喜びながら近づいてくる。


「それで、リナちゃんから直々に俺とラキをご指名らしいが…何をすればいいのかな?なんならルーカスが出来ない様なサービスするよ」


「サービスって…すみません、今回の事に二人は適任かと思いまして」


リナはセドナ様から預かっている書類を二人に渡すと、シモンは顔を引き締めた。


「彼女達を私のいた修道院に連れて行く予定なのですが、男性を怖がるようなので…」


「男が怖いか…確かにこんな酷い目にあったら嫌になるな…」


「酷いっすね…」


二人書類に目を通しながら眉間に皺を寄せた。


「ルーカスさんは体格も良くて男性的なので彼女達は特に怖く感じるのかも知れません。それでお二人にお手伝いをお願いしたいと…」


「リナちゃん…それって遠回しに俺達が男らしくないって言ってない?」


「そうスっね…ちょっとショックッス」


「え!?いやそんなつもりないです!お二人は物腰も柔らかで女性から見ると警戒心も薄いと思いまして……でも不快にさせたらすみません…」


リナはシュンと頭を下げた。


「いいよ、さっきセドナ副隊長が俺達を見て笑った意味がわかった気がしたよ」


「まぁある意味女性にモテるってことスっよね!」


「え?ええ…まぁそんな感じです」


「でもいくら俺達が男っぽく無くても彼女達からしたら男になるんじゃないか?」


シモンさんが首をひねった。


「そうですね、まずはその騎士の服が良くないかも…もしお二人が嫌でないなら…スカートなんて履いてみませんか?」


「「スカート!?」」


二人は声を大にする。


「しー!彼女達に聞こえちゃいます!その…お二人なら線も細いし似合うと思うんです」


「グッ…まさか女装する日が来るとは…」


「俺…まだ彼女も出来たことないのに…女装なんてしたら…」


二人の顔がみるみる曇る。


「あっ…すみません!やっぱり無理ですよね…無理言いすぎました…彼女達は私が一人ずつ運ぶのでサポートを頼みます」


「サポートって…?」


「部屋に男の人が入らないように見張る…とか?」


「それってルーカスでも出来るよな…俺達が呼ばれた意味がないだろ」


シモンとラキは顔を見合わせると覚悟を決める!


「わかったよ!女装でもなんでもしてやる!」


「こうなったら徹底的にお願いします!」


「お二人とも…やっぱり男らしいですね!」


「女装して男らしいってどんなだよ…」


「女性に褒められて嬉しくないのは初めてっス」


二人は嬉しそうにスカートを用意するリナの後をトボトボとついて行った。

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