子供に懐かれたら家政婦になりました。あれ?雇用主の様子がおかしいようです

ナナシ

71.朝の挨拶

「リナ…おはよう…」


目の前のルーカスさんは微笑みながら挨拶をする。


「は?えっ!あー…」


驚きのあまりに声を出そうとすると、唇を唇で塞がれた。


「んっ…」


たっぷりと吸い尽くされて力が抜けるとルーカスさんの上にぐったりと倒れ込む。


「アリスが起きちゃうからね…」


はぁはぁと呼吸を繰り返す私にルーカスさんが笑いながらキスした理由を囁いた。


「だからって…いきなり…急すぎます…それになんでこんなところで…寝てるんですか」


まさか足元で寝てると思わずに踏んでしまった。


「ベッドに入れなくてね…ならせめてそばで寝たくて…なぁリナ…」


名前を呼ばれて顔を向けると


「キスしていいか?」


そう言ってまたすぐにキスされた…










「もう!ルーカスさんたら!」


私はプンプンと怒りながら朝の支度をしていた。


「ごめん…リナが可愛くて…」


謝りながら後ろから抱きしめられる。


「だからってあんなに何度も…キ、キ、…」


「ん?なにかな…何度もキ…?」


ルーカスさんが意地悪げな顔をしながら真っ赤になった顔を覗き込む。


「知りません!」


ぷいっと横を向いた。


「いきなりはダメって言うから、ちゃんとキスしていいか聞いたんだけど…」


「いいって言ってません!」


「じゃあ次はいいって言われるまで待つよ。リナキスしていい?」


ルーカスさんは全く反省する様子もなくニコニコと笑いながら顔を近づけてきた。


「だ…」


「ダメ?」


シュンと凛々しい眉を下げて寂しそうな顔をしながら唇をいじられた。


寂しそうな顔が何だかアリスちゃん似ている気がする…


こ、こんな顔をされたら…ダメって言えない…


なんと言おうか目を泳がせていると…


「リナ…ルーカスゥ…」


アリスちゃんが欠伸をしながら起き出し部屋から出てきた。


「アリスちゃん!おはよう!」


私はいい所に!とアリスちゃんに駆け寄ると


「ふふ…アリスおはよう」


ルーカスさんも苦笑しながらアリスちゃんの元に歩み寄る。


「よく寝てたなぁ~」


ルーカスさんがアリスちゃんを抱き上げる。


「じゃあ二人とも顔を洗って来て下さい。その間に食事の用意をしておきますから」


「ありがとう、よしアリス行くぞー」


「うん!」


ルーカスさんはアリスちゃんを抱っこしたまま外に飛び出して行った。


二人の楽しそうな様子にルーカスさんとの甘い時間も終わりを迎えた。


三人でいつも通りの朝食を済ませると…


「じゃあみんなで騎士団に行こうか、多分昨日の事を聞かれると思うが言いたくないことは無理に言わなくてもいいからな…」


ルーカスさんが心配そうにアリスちゃんの頭に手を置いた。


「ううん…だいじょぶ」


アリスちゃんはルーカスさんの目を見てしっかりと頷いた。




私達は身なりを整えて騎士団に向かおうと家を出ると…


「お待ちしておりました」


外には大きな馬車が待ち構えていて、白髪混じりの執事と思われる年配の人と御者が私達を見るなり頭を下げた。


「ルーカスさん…こちらの方々は…」


私はサッとアリスちゃんを抱えるとルーカスさんの後ろに隠れた。


「あっ!!」


するとアリスちゃんが二人を見て声をあげた。











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