子供に懐かれたら家政婦になりました。あれ?雇用主の様子がおかしいようです

ナナシ

49.キス

「ルーカスさん?どうしました?」


私は固まってしまったルーカスさんの腕を掴んで揺すった。


「はっ!す、すまない!嬉しさのあまりに思考が停止してしまった…まさかリナも同じ気持ちだったなんて…どうしよう…式は何時にしようか…リナの気持ちが落ち着いて改めてキチンとプロポーズしてからと思っていたが…これはもういいのでは?いや…その前に団長にリナを養子にしてもらって…そうだ!シモンに手配を頼まないと…」


「ルーカスさん!ルーカスさん!大丈夫ですか!?」


なんか突然ブツブツと真剣な顔で悩み出してしまい心配のあまりに大きな声を出した。


「リナ…ああ、心配ないよ。全て任してくれ」


ルーカスさんは私を見つめると嬉しそうに頷いた。


「そうですか?ならいいですけど…」


なんか鼻歌でも歌い出しそうにご機嫌になったルーカスさんに少し不安になった。






アリスちゃんが先生から貰って来てくれた包帯を巻いて、私の傷の手当ても終わるとルーカスさんは鍛錬に向かう時間となった。


「休憩時間になったらまた来るよ」


私とアリスちゃんにニコッと笑顔を向けると…屈んでアリスちゃんの頬にキスをした。


「いい子にリナの手伝いをよろしくな!」


ぐっ!


アリスちゃんは親指を立てた、すごく可愛いが令嬢の仕草としてどうなのかな…と思いつつその幸せな光景を見つめていると、今度はルーカスさんが私に近づいてきた。


「じゃあ行ってくる、無理をしないでくれよ」


「はい」


過保護で優しいルーカスさんに心配ないよと笑顔を向けると、ルーカスさんの顔が微笑みながら近づいてきた。


えっ…と思う暇もなくアリスちゃんと同じように頬にキスをされる…


あの寝ぼけていた時とは違いじっと熱い瞳を向けられた。


そして離れながら耳元で囁かれた…


「二人の時は、その口に…」


そう言って頬を触りながら軽く口を撫でられた。


ボワッ!と一気に顔が真っ赤になった!


「ほらほら、早く行かないか…」


先生が行くのを渋るルーカスさんを追いやると…


「リナ…大丈夫かな?いや…ちょっと休んできた方がいいな、その顔でみんなの前に出ない方がいいよ」


先生に顔を覗き込まれて苦笑される。


私はコクコクと頷くとアリスちゃんに手を引かれてベッドに連れていかれた。


心配そうにするアリスちゃんが顔を覗き込む。


「アリスちゃん、大丈夫だよ。ルーカスさんにキ、キスされて…ちょっと驚いただけ、アリスちゃんもされてたもんね」


アリスちゃんは自分がされた場所を触るとコクンと頷き何か思案している。


そしてコイコイと私に手招きした。


私はアリスちゃんに顔を近づけると…


チュ!


アリスちゃんがルーカスさんとは反対の頬にキスをしてくれた!


「アリスちゃん…」


アリスちゃんはどう?と言うように首を傾げている。


か、可愛い!!


ルーカスさんとのやり取りが一気に吹き飛んだ!


「アリスちゃん!」


私はアリスちゃんを抱きしめて同じようにその頬にキスをする!


スベスベでぷにぷにのほっぺは気持ちよく食べちゃいたいくらいだった!


「アリスちゃん、可愛い!食べちゃいたい!」


私は何度もアリスちゃんを食べるふりをしてキスをするとアリスちゃんがくすぐったいとベットの上で笑い転げている。


「アリスちゃんありがとう…」


私は最後にもう一度だけ…アリスちゃんの頬に愛おしい気持ちを込めてキスをした。

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