子供に懐かれたら家政婦になりました。あれ?雇用主の様子がおかしいようです

ナナシ

40.39笑ルーカス視点

※少し話が戻ります。








リナ達と家の事をしていると団長が訪ねてきた。


リナに怪我を負わせた令嬢と話をつけてきたと報告に来てくれたのだ。


そしてその時に団長がリナを俺の婚約者と言って誤魔化したらしい。


団長様!なんて素晴らしい方なんだ…


元から尊敬していたがこの時ほど感謝した事はなかった。


俺はすぐに了承するがリナは俺との立場の違いから答えを渋る。


ならばと騎士の立場を捨ててリナと同じ立場になろうと提案するとリナはようやく俺の本気に気づいてくれた。


そして団長はそれならばと養子にする事を提案してくれた。


それならリナの気にしていた立場も無くなる。


リナは自分にそこまでしてくれる団長に戸惑っているようだが、それだけリナが人を惹きつける魅力があると言うこと自分で気がついていない。


だが最後はアリスの素晴らしい働きによりリナがようやく婚約者になる事に頷いてくれる…まぁ仮だが絶対に手放す気はない。


喜びのあまり怪我をしている彼女に抱きつこうとしてしまった…すると恥ずかしそうにしながら俺の胸にその小さい体を預けてくれた。


怪我の事を考えると思いっきり抱きしめられない事がこんなに歯がゆいとは…アリスも足にしがみつき喜んでくれた。


なんて可愛い二人なんだ…




そしてアリスが少し声が出せるようになった事を一度医師に見せようと騎士団の診察室に向かう事にした。


団長は先に行っててもらい、用意をして俺達もあとから向かう。


早速怪我をしているリナを抱きかかえて行こうとするとリナが首を振って言うことを聞いてくれない。


「大丈夫です!一人で歩けますから」


「駄目だ!怪我がこれ以上酷くなったらどうする?」


「薬のおかげで昨日よりだいぶ楽になってます!ゆっくり歩くくらい平気ですから…」


そういう事を言うならとアリスを見つめると


「アリス、どう思う?リナは怪我をしてるのに一人で歩こうとしてるんだぞ」


ブンブン!


アリスはダメだよと言うように首を振ると、顔の前で手でバッテンを作った。


「で、でもアリスちゃん…私歩けるよ…」


アリスの攻撃にリナがたじろぐ、もう一息だな。


「やっぱり俺が抱いて行った方がアリスも安心だよな」


うん!


ニコッと笑ってそうしてと笑顔を向けるアリスにリナはクッと息を飲んでお願いします…と俺に頭を下げた。


俺はニヤけるのを抑えてリナを優しく抱きかかえる。


怪我に触れたら元も子もないから気をつけて腰に手を当てた。


リナの折れそうな細い腰に手を回すと軽く抱き上げる。


「リナ、落ちないようにしっかりと掴まっててくれ」


「はい…お願いします」


リナは恥ずかしそうにしながら俺の首にギュッと抱きついた。


リナの体温を近くで感じながらいつもより短く感じる騎士団への道を歩いていると、リナが突然頭を俺の胸にくっ付けた。


そしてすりすりと頭を胸に擦り付ける…いい香りのする髪が頬に触れた。


なんだ…その可愛い仕草は…


俺は腕に…いや、全身に力が入るのを感じた。


リナはそのまま俺の胸に顔を埋めている…


リナの怪我がなければその場で抱きしめているところだった。


しかし人の目があるところでこれは良くない、こんな可愛い姿を見たら他の男が目をつけるかもしれない!


よく見れば街を歩く男達がみんなリナを見つめている気がしてきた。


これは…気をつけなければ…


俺はキッと睨みを効かせてリナに注意すると警戒しながらその足を進めた。

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