子供に懐かれたら家政婦になりました。あれ?雇用主の様子がおかしいようです

ナナシ

9.仕事

私達はシスターにまた改めて報告に来ると言ってとりあえず細かな話をする為にルーカスさんとアリスちゃんの家に向かうことになった。


行こうとする私にシスターが手招きする。


ルーカスさん達に先に行くように言うとシスターのそばに寄った。


「なんでしょうか?」


私が声をかけると


「あの二人はきっとあなたの力を必要としてます、あなたはあなたの思うように行動しなさい。私は何時でもあなたの味方ですよ」


そう言って手をギュッと包み込んでくれる。


「ありがとうございます…シスターの様にアリスちゃんを助けられるように頑張ります」


「ルーカスさんもね」


シスターが笑うが私は顔を顰めた。


「あの人は助ける必要がないくらい丈夫そうですよ」


シスターは目が悪いから良く見えてないのかも…


私が教えてあげるがシスターはニコニコと笑うだけだった。


シスターに挨拶をして私は二人の後を追いかけようと小走りに走った。


「あっ…」


すると角を曲がった所で二人が待っていた。


アリスちゃんは私を見つけるなり駆け寄ってくる。


「すみません、おまたせしちゃって…」


ルーカスさんに謝る。


「いや、アリスが待ちたい様だったから…それにあそこに女性一人で来させる訳にも行かないからな」


ルーカスさんの言葉に驚いて顔を見つめる。


「な、なんだ?」


じっと見られて落ち着かなそうに目をそらされた。


「いえ…すごく失礼な人で常識ないのかと思ってましたが…お優しいんですね」


私が笑うと


「なんか…貶されたのか褒められたのかわからんな…」


複雑な顔をしていた。


アリスちゃんはそんな私の手を掴むとまた家まで引っ張ってくれる。


「ふふ、ありがとう~でも走るとまた怪我しちゃうから気をつけてね」


アリスちゃんはハッとしてスピードを落とした。


二人で手を繋いで歩いていると後ろをゆっくりとルーカスさんがついてくる。


なんか…ストーカーみたいで怖い…


なので振り返って声をかける。


「アリスちゃん、ルーカスさんの手が暇そうだよ。アリスちゃんがもうひとつの手で握ってあげれば?」


私がそういうとアリスちゃんは自分の空いてる手を見つめた…そしてその手をルーカスさんに伸ばした。


「お、俺?」


私はルーカスさんに握れ!と顔で合図する。


ルーカスさんが慌ててアリスちゃんの手を掴むと…


「ルーカスさんが大きいからアリスちゃん浮かんじゃうね!」


囚われた宇宙人の様にアリスちゃんの足が浮いた。


アリスちゃんは楽しそうに足をばたつかせる。


そしてそのまま家まで三人で手を繋いで歩いて行った。


家の前に着くと…


「では改めて…リナさんここが我が家で仕事場になる…どうぞ」


扉を開けて招いてくれた。


「お邪魔します」


先程までいた部屋に来るとまだあのパンケーキが残っていた。


「じゃあ部屋はこっちを使ってくれ…」


そう言ってまだ入った事のない部屋を指さした。



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