ここって天国?BLの世界に転生しました!

ナナシ

お揃い

んん~…


マリーは明るい陽射しに目を覚ますと…


「おはよう…マリー」


目の前には美少年のお兄様が幸せそうに微笑んで見つめていた…


ここは天国か?


マリーは一瞬自分の立ち位置がわからなくなり固まる。


「マリー?どうしたの?」


そんな私にお兄様は綺麗な眉を少し下げて心配そうにおでこを撫でた。


「熱は…ないね。気分でも悪い?」


誰か呼ぼうかとお兄様が立ち上がろうとすると…


「だ、だいじょぶ、お兄しゃま…おはよー」


兄ににっこりと笑いかけると、ほっとした顔をした後また微笑んで挨拶を返してくれた。


驚いた…そうだった昨日は一緒に寝たんだったなぁ~


せっかくテオドールお兄様の寝顔を拝顔しようと思ったのに…まぁ朝からあのスマイルが見れたからいいとしよう。


あー早くあの笑顔を王子と主人公に見せてあげたいなぁ~


マリーはそんな事を考えながらモゾモゾと服を脱ぐ…


そんな様子をテオドールはじっと見ていると


「マリーは自分で服を着替えるのかい?」


そんな事を聞いてきた。


「えっ?」


私は兄を見ると…テオドールが近づいてくる、そして服を掴むと脱がし始めた。


「お兄しゃま?」


「マリーはまだ小さいんだから着替えば私が手伝ってあげるよ」


嬉しそうにボタンを丁寧に外していくと


「じ、じぶんでやるの!」


テオドールお兄様にそんな事をさせられない!


慌てて手を退かせる。


「マリーは…私に甘えてきてくれないんだね…」


テオドールの行き場の失った手がストンと下に落ちた。


そ、そんな、妹の着替えが出来ないくらいでそんなに落ち込む?


マリーは悲しそうな兄の顔に慌ててその手を取ると


「や、やっぱり…お兄しゃまにおきがえしてもらおうかにゃ~」


伺うように下から覗き込むと…


「喜んでお姫様」


さっきまでの悲しそうな顔が一変してキラキラと輝くような笑顔を見せる…


私はほっとしてなすがままにお兄様に着替えをさせてもらった。


お兄様の服のこだわりは半端なく…リアズさんに色々と指示を出して何着か服を持ってこさせる。


「うーん…マリーにはこの色の方が似合うかな…いや、マリーは何色でも合うから…」


真剣に服と向き合いなんかブツブツと喋っている。


私なんか服なんざ着れりゃいいと思うんだけどなぁ…そんなのにお金を使うなら…推しやゲームに使いたい!


ベッドに座ったまま足を動かして暇そうに待っていると…


「ねぇマリーはどっちがいいかな?」


どうやらお兄様は最終的に二択までに絞ったようだ。


青い服と黄色い服を持って笑って立っている。


あっあの青ってテオドール様のイメージカラーだな…


そんな事を思い出して、私は青い服を指さすと


「お兄しゃまとおしょろいのこっち…」


そう言うとお兄様は何も言わずに固まっている。


「お兄しゃま?」


どうしたのかと兄のところまで行ってつんつんと服を引っ張ると…


「あっ…うん。私とお揃いにしようね」


ギュッと抱きしめて今まで一番の笑顔を見せた。

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