急ぐとろくなことがない

「麻衣子！いい加減になさい！遅刻するわよ！」


母の怒鳴り声に麻衣子は急いで飛び起きた！


やばい！完全に寝坊だ！


麻衣子はカバンを掴むと机やベッドに広がった教科書を放り込んだ。


ダッダッダ！


勢いよく階段をかけおりると、怒りの表情の母が出迎える！


「あんたいつまでも夜遅く起きてるから朝起きれないのよ！早く食べてさっさと学校に行きなさい！」


「は、はい！」


麻衣子は握ってあったおにぎりを噤むと急いで口に突っ込む、モグモグと口を動かすと…


「うっ…」


口に含みすぎて喉に詰まる！


「んっ！んっ！」


胸を叩くと、お母さんが味噌汁を持ってきてくれた。


ガシッと奪い取るように掴むとズルズルと流し込むで


「ふー死ぬかと思った…」


はぁと息をつくと


「そんなにのんびりしてる暇ないでしょ！早く行きなさい！」


「は、はい！行ってきます！」


麻衣子は逃げるように家を飛び出した！


いつも使っている自転車にのると力の限り足を動かす。


どうにか飛ばしてこのまま行けば遅刻は免れそうな時間になると、スピードを落とした。


信号が赤になり止まっている間にカバンの中身を確認する。


大体の教科書は入ってる…ん？なんだ？


何か硬い感触に取り出すと…


「あっ…ヤバッゲーム持ってきちゃった」


そこには遅刻の原因となりそうになったBL乙女ゲームが入っていた…


「あー教科書に紛れて持って来ちゃった…」


見つからないようにしようと奥にしまうと信号を確認する。


すると目の前に綺麗な白い猫がトコトコと横断歩道を歩いて来た。


えっ…危なくない…


今は車は通ってないが信号は赤…まぁ猫に交通ルールを守れとも言えずハラハラしながら早く渡ってくれるのを待っていると…信号の点滅…すると


ブー！！


急いで通ろうとする車がスピードをあげて走ってきた！


あぶない！あのまま行けば猫が…


そう思うと体が動いていた…自転車を漕ぎながら手を下に伸ばして猫を掴むと…ブンッ！


思いっきり放り投げた！


猫は弧を描き見事に向こうがわに着地する。


やった！


と思った瞬間、車は見事に私にぶっかってきた…


激痛が走り、車にはね飛ばされてその瞬間思った事は…


あーこの買ったばっかりのゲーム…まだチュートリアルしかやってないのに…だった。