嘘と微熱〜甘美な一夜から始まる溺愛御曹司の愛執〜
四章 甘い微熱/三、真夜中の甘美な抱擁【2】
* * *
優しい声に呼ばれている気がする。
確かめたいのに瞼が重くて、目を開けられない。
このまま微睡みの中に閉じこもっていたいくらいの心地好い温もりが、私を再び夢へと誘ってくる。
「茉莉花」
刹那、オミくんの声が聞こえてパチッと目を開けると、微笑む彼が目の前にいた。
「おはよう、茉莉花。初めてお泊まりをした朝はどんな気分?」
からかうような楽しげな声音で、すぐに思考が覚醒する。
「嘘っ……! もしかして朝!?」
慌てて飛び起きれば、オミくんがクスクスと笑った。
「茉莉花、いいの? 俺には絶景だけど、茉莉花は恥ずかしいんじゃない?」
「えっ……?」
彼の視線を追った先にあったのは、一糸纏わぬ自分の肢体。
叫び出しそうになった私より一瞬早く、オミくんが私の手首を引っ張ってキスで唇を塞いだ。
「さすがに朝早いから、ね? まぁ、ここは防音対策は万全なんだけど」
にこにこと笑う彼を余所に、私は恥ずかしいやら幸せやら……。どの感情に浸ればいいのかわからなくて、羞恥を隠すようにもう一度ベッドに潜り込んだ。
「だから、どうして恥ずかしがるの? 今までもっと恥ずかしいこと――」
「オミくんっ!」
膨れっ面で抗議すると、オミくんが楽しげな声を上げる。
窓から優しい光が差し込むクリスマスの朝は、くすぐったくて穏やかで、なによりも愛と幸せで満ちていた。
「先にシャワーを浴びておいで」
自分のシャツを着せてくれた彼に促され、バスルームに連れて行かれる。
お言葉に甘えてシャワーを借りてからリビングに行くと、いい匂いが漂っていた。
「パンケーキ、好きだろ? シロップはないから蜂蜜でいい?」
「うん……」
「あ、いちごがあったな」
カフェのような生クリームはなかったけれど、蜂蜜といちごで彩られたパンケーキはとてもおいしかった。
「オミくんって料理も上手なんだね」
「それはパンケーキの粉があったから、混ぜて焼いただけだよ」
「オミくんは食べないの?」
「俺は朝はコーヒーだけなんだ」
「でも、おいしいよ?」
「じゃあ、一口ちょうだい」
にっこりと微笑まれて、それがなにを意味しているのかを察する。
すぐにパンケーキを切り分けてフォークに刺し、オミくんの口元に持っていった。
「『あーん』って言ってくれないんだ?」
悪戯な笑顔の彼が可愛くて、胸がきゅうぅっとなる。
「……あーん」
このままだとドキドキしすぎて、心停止しそうなのに……。オミくんがあまりにも可愛くて、つい彼の言葉に乗ってしまった。
「甘……。蜂蜜、かけすぎたか」
パンケーキをパクッと食べたオミくんが、子どもみたいに無邪気に笑う。
「おいしいよ」
「こんなのでよければ、毎日でも作ってあげるよ」
どうやら彼は、今まで以上に私を甘やかそうとしているようだった。
たっぷりの蜂蜜よりも甘やかしてくれそうだからこそ、オミくんに甘えてばかりじゃいけないと思う。
それなのに、今すぐに彼に抱きつきたくてたまらなかった。
優しい声に呼ばれている気がする。
確かめたいのに瞼が重くて、目を開けられない。
このまま微睡みの中に閉じこもっていたいくらいの心地好い温もりが、私を再び夢へと誘ってくる。
「茉莉花」
刹那、オミくんの声が聞こえてパチッと目を開けると、微笑む彼が目の前にいた。
「おはよう、茉莉花。初めてお泊まりをした朝はどんな気分?」
からかうような楽しげな声音で、すぐに思考が覚醒する。
「嘘っ……! もしかして朝!?」
慌てて飛び起きれば、オミくんがクスクスと笑った。
「茉莉花、いいの? 俺には絶景だけど、茉莉花は恥ずかしいんじゃない?」
「えっ……?」
彼の視線を追った先にあったのは、一糸纏わぬ自分の肢体。
叫び出しそうになった私より一瞬早く、オミくんが私の手首を引っ張ってキスで唇を塞いだ。
「さすがに朝早いから、ね? まぁ、ここは防音対策は万全なんだけど」
にこにこと笑う彼を余所に、私は恥ずかしいやら幸せやら……。どの感情に浸ればいいのかわからなくて、羞恥を隠すようにもう一度ベッドに潜り込んだ。
「だから、どうして恥ずかしがるの? 今までもっと恥ずかしいこと――」
「オミくんっ!」
膨れっ面で抗議すると、オミくんが楽しげな声を上げる。
窓から優しい光が差し込むクリスマスの朝は、くすぐったくて穏やかで、なによりも愛と幸せで満ちていた。
「先にシャワーを浴びておいで」
自分のシャツを着せてくれた彼に促され、バスルームに連れて行かれる。
お言葉に甘えてシャワーを借りてからリビングに行くと、いい匂いが漂っていた。
「パンケーキ、好きだろ? シロップはないから蜂蜜でいい?」
「うん……」
「あ、いちごがあったな」
カフェのような生クリームはなかったけれど、蜂蜜といちごで彩られたパンケーキはとてもおいしかった。
「オミくんって料理も上手なんだね」
「それはパンケーキの粉があったから、混ぜて焼いただけだよ」
「オミくんは食べないの?」
「俺は朝はコーヒーだけなんだ」
「でも、おいしいよ?」
「じゃあ、一口ちょうだい」
にっこりと微笑まれて、それがなにを意味しているのかを察する。
すぐにパンケーキを切り分けてフォークに刺し、オミくんの口元に持っていった。
「『あーん』って言ってくれないんだ?」
悪戯な笑顔の彼が可愛くて、胸がきゅうぅっとなる。
「……あーん」
このままだとドキドキしすぎて、心停止しそうなのに……。オミくんがあまりにも可愛くて、つい彼の言葉に乗ってしまった。
「甘……。蜂蜜、かけすぎたか」
パンケーキをパクッと食べたオミくんが、子どもみたいに無邪気に笑う。
「おいしいよ」
「こんなのでよければ、毎日でも作ってあげるよ」
どうやら彼は、今まで以上に私を甘やかそうとしているようだった。
たっぷりの蜂蜜よりも甘やかしてくれそうだからこそ、オミくんに甘えてばかりじゃいけないと思う。
それなのに、今すぐに彼に抱きつきたくてたまらなかった。
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