嘘と微熱〜甘美な一夜から始まる溺愛御曹司の愛執〜
三章 嘘の代償/四、愛情 Side Masaomi【2】
『親父のやってることは異常だと思う。会社でも茉莉花は相当肩身が狭いはずだけど、茉莉花は俺たち家族には絶対になにも言わないし、全部溜め込むからな』
兄である裕人から見ても、浩人さん自身の言動が常軌を逸していると強く感じているのなら、茉莉花が今のようになったのも頷ける。
幼い頃から繰り返し縛り付けてこられれば、それはもうある種〝呪縛〟と変わらないに違いない。
そんな彼女をきちんと正しい方向に目を向けさせたいが、それにはまず浩人さんの目を覚まさせなければいけない。
茉莉花を襲う呪縛は、彼女の父親である浩人さんのせいなのだから。
(さて、どうするかな。とりあえず、さっさと宣言でもしておくか)
色々と決め兼ねていたが、悠長なことは言っていられない。
手遅れになる前に本人の前で公言しておく方がいいだろう。
「茉莉花。そろそろ送っていくよ」
「ん……もうちょっと……」
俺にしがみついてきた茉莉花の顔は、出会った頃のようにあどけない。
寝惚けているときにはこんな風に甘えてくるくせに、俺に捕まってくれないのだから嫌になる。
それでも、うんざりしたって諦められないほどに彼女のことが好きなのだから、もう自分でもどうしようもないのだ。
「起きないなら、このままもう一回抱くよ? 茉莉花の身体は、きっと俺を受け入れてくれるだろうし」
込み上げてくる劣情を隠し、茉莉花の腰を抱き寄せて囁く。
「っ……! 起きる! すぐ起きるから……!」
刹那、瞼を開いた彼女が、弾かれたように上半身を起こした。
「……いい眺め。誘ってる?」
「きゃあっ……!」
上掛けを引っ張った茉莉花の手首を引き、腕の中に閉じ込めてしまう。
「も、もうダメだよ! できないからね……!?」
「しないよ」
クスクスと笑って、彼女の唇を優しく奪う。
本当はしたいけどね、と耳元で囁いてやれば、茉莉花の顔がますます赤くなった。
可愛くて、愛おしくて、本当にどうしようもない。
こんな風に自然と笑えるのも、なにげない瞬間に癒されるのも、心と身体を満たしてくれるのも、相手が他の誰でもない彼女だから。
俺を幸せにしてくれるのは、世界中を探しても茉莉花しかいないと断言できる。
もっとも、俺は自分のことなんかよりも彼女を幸せにしたいのだけれど。
兄である裕人から見ても、浩人さん自身の言動が常軌を逸していると強く感じているのなら、茉莉花が今のようになったのも頷ける。
幼い頃から繰り返し縛り付けてこられれば、それはもうある種〝呪縛〟と変わらないに違いない。
そんな彼女をきちんと正しい方向に目を向けさせたいが、それにはまず浩人さんの目を覚まさせなければいけない。
茉莉花を襲う呪縛は、彼女の父親である浩人さんのせいなのだから。
(さて、どうするかな。とりあえず、さっさと宣言でもしておくか)
色々と決め兼ねていたが、悠長なことは言っていられない。
手遅れになる前に本人の前で公言しておく方がいいだろう。
「茉莉花。そろそろ送っていくよ」
「ん……もうちょっと……」
俺にしがみついてきた茉莉花の顔は、出会った頃のようにあどけない。
寝惚けているときにはこんな風に甘えてくるくせに、俺に捕まってくれないのだから嫌になる。
それでも、うんざりしたって諦められないほどに彼女のことが好きなのだから、もう自分でもどうしようもないのだ。
「起きないなら、このままもう一回抱くよ? 茉莉花の身体は、きっと俺を受け入れてくれるだろうし」
込み上げてくる劣情を隠し、茉莉花の腰を抱き寄せて囁く。
「っ……! 起きる! すぐ起きるから……!」
刹那、瞼を開いた彼女が、弾かれたように上半身を起こした。
「……いい眺め。誘ってる?」
「きゃあっ……!」
上掛けを引っ張った茉莉花の手首を引き、腕の中に閉じ込めてしまう。
「も、もうダメだよ! できないからね……!?」
「しないよ」
クスクスと笑って、彼女の唇を優しく奪う。
本当はしたいけどね、と耳元で囁いてやれば、茉莉花の顔がますます赤くなった。
可愛くて、愛おしくて、本当にどうしようもない。
こんな風に自然と笑えるのも、なにげない瞬間に癒されるのも、心と身体を満たしてくれるのも、相手が他の誰でもない彼女だから。
俺を幸せにしてくれるのは、世界中を探しても茉莉花しかいないと断言できる。
もっとも、俺は自分のことなんかよりも彼女を幸せにしたいのだけれど。
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