ショートケーキは半分こで。〜記憶を失った御曹司は強気な秘書を愛す〜
5-3
出社一日目は安藤にパソコンの使い方や物のある場所などたくさんのことを教えてもらいメモを録っていたら一日があっという間に終ってしまった。就業時間は夕方六時。今日は会食などの予定もなく安藤は定時時刻になると「お疲れさまでした」と風の如くさっそうと帰っていった。なんでも下の階で旦那さんと待ち合わせをしているらしい。
社長室には羽美と海斗の二人だけ。
「お、お疲れ様でした……しゃ、社長はまだお帰りにならないんですか?」
朝からデスクに張り付いたまま、たくさんの書類を確認していた海斗は疲れているようで目頭を抑えている。
「ん、後少しで終わるからそしたら帰るよ。大倉も出社初日で疲れただろ? やってみてどうだった?」
「安藤さんもとても気さくな方で教え方も凄く丁寧でわかりやすかったです。社長も凄く忙しそうで、これから少しでも社長のお力になれるように精進いたします」
「ははっ、仕事モードだと大倉って凄く真面目なんだな」
んん〜っと背伸びをしながら海斗は椅子から立ち上り、部屋の中央にある対面式になっているソファーに腰を下ろした。
「仕事モードって、プライベートでは真面目じゃないみたいじゃないですか」
羽美はむすっと口を尖らせた。
「ははっ、ごめんごめん。今日は早く帰ってゆっくり休めよ。明日も仕事なんだから」
せっかくふたりきりになれたのにも関わらず海斗は羽美を早く帰そうと促してくる。
「お疲れ様でした……ってことで、今からプライベートってことでいいですか?」
羽美は海斗の座るソファーの対面側ソファーに座った。せっかくの二人きりのチャンスを逃してたまるか、と羽美は息を呑んだ。
「まぁ仕事も終わったしね。どうした?」
「私、考えたんです。これからのこと」
「これからのこと?」
何のことだろうと海斗はキョトンとしている。そんな顔も可愛いしカッコいい、と叫びたい。
「そう、これからの私達のことです。か、本郷さん」
「ん」
「今日は仕事初日なんで、恋愛にうつつぬかせている場合じゃないと思われるのは嫌なので控えめにしますね」
羽美は真剣な表情を海斗に向ける。
「え、何? 改まられると怖いんだけど」
海斗は今から何を言われるのだろうと疑問の目を羽美に向ける。しっかりと海斗に見られていると緊張からかバクバクと心臓が盛大に動き壊れそうだ。でも、言う。言ってやる。羽美はふぅと大きく深呼吸をした。よし、言う。
「本郷さん、私貴方のことが大好きです。私これから毎日貴方に好きって伝えますから! 覚悟しててくださいね!」
安藤に期待してしまうようなことを言われて羽美も少し海斗の気持ちに期待して強気に出てしまった。
「……」
鳩が豆鉄砲をくらったような顔、海斗は驚きを隠せていない。
(あ、やばい、引かれた?)
羽美は少し眉を下げて不安そうに海斗を見た。これからどうしようなんて具体的なことは実際のところ何も考えられていない。ただ、どうしても自分の気持ちが本気なのだとわかって欲しくてこれから毎日好きな気持ちを伝えたいと羽美は昼間の安藤の言葉で気付かされ、行動に早速うつしてみた。
「っ、ははっ! あ〜やっぱり大倉って面白いわ。うん、今日から毎日俺に告白してくれるんだ。そっか〜楽しみだな」
海斗はご満悦に笑ってから両肘を膝に置いて手を組んだ。この顔、絶対に今の状況を楽しんでいるに違いない。
羽美は海斗をビシッと指差し口を尖らせた。
「そ、そのうち本郷さんも私のこと好きっていっちゃうんですからね! そして結婚するのはこの私ですからっ!」
ガバッと立ちあがった羽美は鞄を胸元に抱きしめて逃げるように社長室を出た。
社長室には羽美と海斗の二人だけ。
「お、お疲れ様でした……しゃ、社長はまだお帰りにならないんですか?」
朝からデスクに張り付いたまま、たくさんの書類を確認していた海斗は疲れているようで目頭を抑えている。
「ん、後少しで終わるからそしたら帰るよ。大倉も出社初日で疲れただろ? やってみてどうだった?」
「安藤さんもとても気さくな方で教え方も凄く丁寧でわかりやすかったです。社長も凄く忙しそうで、これから少しでも社長のお力になれるように精進いたします」
「ははっ、仕事モードだと大倉って凄く真面目なんだな」
んん〜っと背伸びをしながら海斗は椅子から立ち上り、部屋の中央にある対面式になっているソファーに腰を下ろした。
「仕事モードって、プライベートでは真面目じゃないみたいじゃないですか」
羽美はむすっと口を尖らせた。
「ははっ、ごめんごめん。今日は早く帰ってゆっくり休めよ。明日も仕事なんだから」
せっかくふたりきりになれたのにも関わらず海斗は羽美を早く帰そうと促してくる。
「お疲れ様でした……ってことで、今からプライベートってことでいいですか?」
羽美は海斗の座るソファーの対面側ソファーに座った。せっかくの二人きりのチャンスを逃してたまるか、と羽美は息を呑んだ。
「まぁ仕事も終わったしね。どうした?」
「私、考えたんです。これからのこと」
「これからのこと?」
何のことだろうと海斗はキョトンとしている。そんな顔も可愛いしカッコいい、と叫びたい。
「そう、これからの私達のことです。か、本郷さん」
「ん」
「今日は仕事初日なんで、恋愛にうつつぬかせている場合じゃないと思われるのは嫌なので控えめにしますね」
羽美は真剣な表情を海斗に向ける。
「え、何? 改まられると怖いんだけど」
海斗は今から何を言われるのだろうと疑問の目を羽美に向ける。しっかりと海斗に見られていると緊張からかバクバクと心臓が盛大に動き壊れそうだ。でも、言う。言ってやる。羽美はふぅと大きく深呼吸をした。よし、言う。
「本郷さん、私貴方のことが大好きです。私これから毎日貴方に好きって伝えますから! 覚悟しててくださいね!」
安藤に期待してしまうようなことを言われて羽美も少し海斗の気持ちに期待して強気に出てしまった。
「……」
鳩が豆鉄砲をくらったような顔、海斗は驚きを隠せていない。
(あ、やばい、引かれた?)
羽美は少し眉を下げて不安そうに海斗を見た。これからどうしようなんて具体的なことは実際のところ何も考えられていない。ただ、どうしても自分の気持ちが本気なのだとわかって欲しくてこれから毎日好きな気持ちを伝えたいと羽美は昼間の安藤の言葉で気付かされ、行動に早速うつしてみた。
「っ、ははっ! あ〜やっぱり大倉って面白いわ。うん、今日から毎日俺に告白してくれるんだ。そっか〜楽しみだな」
海斗はご満悦に笑ってから両肘を膝に置いて手を組んだ。この顔、絶対に今の状況を楽しんでいるに違いない。
羽美は海斗をビシッと指差し口を尖らせた。
「そ、そのうち本郷さんも私のこと好きっていっちゃうんですからね! そして結婚するのはこの私ですからっ!」
ガバッと立ちあがった羽美は鞄を胸元に抱きしめて逃げるように社長室を出た。
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