ショートケーキは半分こで。〜記憶を失った御曹司は強気な秘書を愛す〜
4-3
「あ……」
羽美の息が詰まる。鼓動が速まり、動悸がした。目はうるうるしてくるし、大声で叫びたい衝動に駆られるがぐっと我慢した。
――やっと見つけた。ここに、ずっとずっと探していた人。
ちょうど肩甲骨の下にある繋ぐと三角形の形になる三つのホクロ。羽美は中嶋海斗に惚れていながら、本郷海斗にも惹かれていたのはやっぱり海斗本人だったからなんだと、なんだかすっと受け入れられた。自分は子供の頼りなくて自分の後ろをちょこちょこ着いてきていたような可愛くて素直な海斗も、大人で人を引っ張る力があって、少し強引で意地悪な事を言う海斗も、どちらの海斗も好きになっていたということ。それが今、ここにはっきりと証明された。
――海斗。
羽美はそっと海斗の背中にある三つのホクロに手を添えた。海斗の体温が温かい。今こうしてもう一度、生きて自分の前に現れてくれたことが奇跡のように感じた。胸がぐっと熱くなり込み上げる想いが目尻からゆっくりと流れ落ちていく。
「大倉?」
「――」
海斗は不思議そうに首をかしげた。涙をひっこめようと羽美は上を向き、なかなか声を発することが出来ない。震えている声なんて出したら泣いていることがバレてしまう。
「……薄くなっているとはいえ、やっぱり気持ち悪かっただろ?」
ガウンを着直しながらははっと小さく笑い海斗はくるりと方向を変える。涙をぽろぽろ流している羽美と目が合ってしまった。けれど目が合っているようで羽美の視界はぼやけてしまっていて海斗が今どんな顔で自分を見ているのか分からない。
「大倉、お前……」
大きな手のひらが羽美の濡れた頬を優しく包み込んだ。海斗の親指が羽美の頬をつたる雫をすくい取る。
「俺のために泣いてるのか?」
じぃっと見つめられ言葉にならずに羽美は海斗を見つめ返した。
貴方が生きていてくれてよかった。ずっと会いたかったと喉のすぐそこまで言葉が出かかってしまう。言いたい。貴方が私の探していた海斗です、と。でも言ってしまったらきっと忘れているはずの昔の記憶で海斗を苦しめてしまうだろう。言えない。言わない。この胸の中に閉まっておくのだ。
羽美はそう心に決め、声は泣いていて出せないものの、力強い眼差しで海斗を見つめ直した。
「……泣くなよ」
海斗の唇が羽美の小さく震える唇を包み込むように唇が重なった。さっき車の中でされたキスとはまた違う。泣いている羽美を宥めるようなキスだった。温かくて柔らかくて安心できてしまうこの温もりに羽美の堪えていた海斗への気持ちが爆発してしまいそうになる。
「んっ、……んぅっ……」
優しく重ねていただけのキスは次第に官能的なキスに変わっていき、頭を掻き抱かれ海斗の舌がきつく絡みついてくる。恋愛初心者、キスだって海斗としかしたことのない羽美には余りにも刺激的で息の仕方さえも分からない。全てを海斗で埋め尽くされてしまったように、だんだんと酸欠気味になり苦しくなってきた。キスの合間に声を絞り出す。
「か、ほ、んごうさんっ」
羽美は海斗の胸をポンポンと叩き、ゆっくりと離れた唇はお互いの唾液で光り、少し赤身を帯びていた。
「ごめん、無理。こんな可愛い大倉見たら止めらんないわ」
ゾクリと背筋に響く声。ギラついた瞳にはしっかりと羽美が映っている。
身体を見せてくださいなんて言った後、海斗の発言にこうなることは予想していたし決心もしたはずだ。今夜、もしかしたら抱かれるかもしれない、そう心の奥底では思ってはいたが実際に抱かれそうになると緊張と少しの怖さが身体少し強張らせる。けれど少しの硬さが海斗のキスによってどんどん溶かされているのも事実だ。
「あっ……本郷、さんっ……はぁっ」
ギシリとベッドが軋む。頭を抱えられながらゆっくりと身体を倒され目を開けば海斗が四肢をまたいで上に乗っていた。
「抱くよ」
海斗の甘やかな声に、羽美の身体がゾクリと反応する。海斗の大きな手がいとも簡単に羽美のスカートの中に入ってきて、優しく太ももを撫で回した。
「ま、まま待って!」
やっぱりまだ心の準備が出来ていない。羽美は海斗の胸元をぐいっと押し返し身体を起き上がらせた。
「なに、もしかして処女とか?」
海斗がけだるけに前髪を掻き上げながら羽美に問う。確かに羽美は処女だ。ずっとずっと海斗だけを求めていたら恋愛を拗らせこの年まで処女できてしまった。
処女? とだるそうに言われたことにあんたを思い続けてたからですけど? とプッチーンと腹がたち羽美はボンっと海斗を押し倒した。海斗はベットに仰向けの状態で羽美は海斗の上に跨いだ。
「しょ、処女ですけど? 処女だけど、貴方のこと気持ちよくしてあげられますから!」
羽美は海斗を上から見下ろし、彼の身体にある傷全てにちゅ、ちゅ、とキスを落としていく。海斗の存在を確かめるようにその傷を少しでも癒やしてあげられるように、念入りに何度も何度もキスを繰り返した。
「……っ、可愛すぎだろ」
海斗がボソリと呟く。羽美は気づかずに必死で海斗の身体にキスを繰り返していると急にギュッと抱きしめられ、バランスを崩した羽美は海斗の腹の上に乗っかってしまった。
「きゃっ、本郷、さん?」
海斗の裸にキスをすると大胆な行動をしていたはずなのに服越しに身体が隙間なく密着するだけで羽美の身体は緊張し、強張っている。
耳元に海斗の吐息がかかり「もう無理」と囁くと羽美の身体が反転し、いつのまにか羽美が下になり、海斗が羽美に跨っていた。
唇が勢いよく重なり唇の内側を舐め上げられ上唇を軽く食まれる。身体の芯に火がともったようにじわじわと熱くなってきた。
何度もキスを繰り返し、もう覚悟は出来た。羽美はそう海斗に伝えるように温かな体温にとけそうになりながら彼の首に腕を回し、身体を預ける。
もう、絶対に離さない。
羽美の息が詰まる。鼓動が速まり、動悸がした。目はうるうるしてくるし、大声で叫びたい衝動に駆られるがぐっと我慢した。
――やっと見つけた。ここに、ずっとずっと探していた人。
ちょうど肩甲骨の下にある繋ぐと三角形の形になる三つのホクロ。羽美は中嶋海斗に惚れていながら、本郷海斗にも惹かれていたのはやっぱり海斗本人だったからなんだと、なんだかすっと受け入れられた。自分は子供の頼りなくて自分の後ろをちょこちょこ着いてきていたような可愛くて素直な海斗も、大人で人を引っ張る力があって、少し強引で意地悪な事を言う海斗も、どちらの海斗も好きになっていたということ。それが今、ここにはっきりと証明された。
――海斗。
羽美はそっと海斗の背中にある三つのホクロに手を添えた。海斗の体温が温かい。今こうしてもう一度、生きて自分の前に現れてくれたことが奇跡のように感じた。胸がぐっと熱くなり込み上げる想いが目尻からゆっくりと流れ落ちていく。
「大倉?」
「――」
海斗は不思議そうに首をかしげた。涙をひっこめようと羽美は上を向き、なかなか声を発することが出来ない。震えている声なんて出したら泣いていることがバレてしまう。
「……薄くなっているとはいえ、やっぱり気持ち悪かっただろ?」
ガウンを着直しながらははっと小さく笑い海斗はくるりと方向を変える。涙をぽろぽろ流している羽美と目が合ってしまった。けれど目が合っているようで羽美の視界はぼやけてしまっていて海斗が今どんな顔で自分を見ているのか分からない。
「大倉、お前……」
大きな手のひらが羽美の濡れた頬を優しく包み込んだ。海斗の親指が羽美の頬をつたる雫をすくい取る。
「俺のために泣いてるのか?」
じぃっと見つめられ言葉にならずに羽美は海斗を見つめ返した。
貴方が生きていてくれてよかった。ずっと会いたかったと喉のすぐそこまで言葉が出かかってしまう。言いたい。貴方が私の探していた海斗です、と。でも言ってしまったらきっと忘れているはずの昔の記憶で海斗を苦しめてしまうだろう。言えない。言わない。この胸の中に閉まっておくのだ。
羽美はそう心に決め、声は泣いていて出せないものの、力強い眼差しで海斗を見つめ直した。
「……泣くなよ」
海斗の唇が羽美の小さく震える唇を包み込むように唇が重なった。さっき車の中でされたキスとはまた違う。泣いている羽美を宥めるようなキスだった。温かくて柔らかくて安心できてしまうこの温もりに羽美の堪えていた海斗への気持ちが爆発してしまいそうになる。
「んっ、……んぅっ……」
優しく重ねていただけのキスは次第に官能的なキスに変わっていき、頭を掻き抱かれ海斗の舌がきつく絡みついてくる。恋愛初心者、キスだって海斗としかしたことのない羽美には余りにも刺激的で息の仕方さえも分からない。全てを海斗で埋め尽くされてしまったように、だんだんと酸欠気味になり苦しくなってきた。キスの合間に声を絞り出す。
「か、ほ、んごうさんっ」
羽美は海斗の胸をポンポンと叩き、ゆっくりと離れた唇はお互いの唾液で光り、少し赤身を帯びていた。
「ごめん、無理。こんな可愛い大倉見たら止めらんないわ」
ゾクリと背筋に響く声。ギラついた瞳にはしっかりと羽美が映っている。
身体を見せてくださいなんて言った後、海斗の発言にこうなることは予想していたし決心もしたはずだ。今夜、もしかしたら抱かれるかもしれない、そう心の奥底では思ってはいたが実際に抱かれそうになると緊張と少しの怖さが身体少し強張らせる。けれど少しの硬さが海斗のキスによってどんどん溶かされているのも事実だ。
「あっ……本郷、さんっ……はぁっ」
ギシリとベッドが軋む。頭を抱えられながらゆっくりと身体を倒され目を開けば海斗が四肢をまたいで上に乗っていた。
「抱くよ」
海斗の甘やかな声に、羽美の身体がゾクリと反応する。海斗の大きな手がいとも簡単に羽美のスカートの中に入ってきて、優しく太ももを撫で回した。
「ま、まま待って!」
やっぱりまだ心の準備が出来ていない。羽美は海斗の胸元をぐいっと押し返し身体を起き上がらせた。
「なに、もしかして処女とか?」
海斗がけだるけに前髪を掻き上げながら羽美に問う。確かに羽美は処女だ。ずっとずっと海斗だけを求めていたら恋愛を拗らせこの年まで処女できてしまった。
処女? とだるそうに言われたことにあんたを思い続けてたからですけど? とプッチーンと腹がたち羽美はボンっと海斗を押し倒した。海斗はベットに仰向けの状態で羽美は海斗の上に跨いだ。
「しょ、処女ですけど? 処女だけど、貴方のこと気持ちよくしてあげられますから!」
羽美は海斗を上から見下ろし、彼の身体にある傷全てにちゅ、ちゅ、とキスを落としていく。海斗の存在を確かめるようにその傷を少しでも癒やしてあげられるように、念入りに何度も何度もキスを繰り返した。
「……っ、可愛すぎだろ」
海斗がボソリと呟く。羽美は気づかずに必死で海斗の身体にキスを繰り返していると急にギュッと抱きしめられ、バランスを崩した羽美は海斗の腹の上に乗っかってしまった。
「きゃっ、本郷、さん?」
海斗の裸にキスをすると大胆な行動をしていたはずなのに服越しに身体が隙間なく密着するだけで羽美の身体は緊張し、強張っている。
耳元に海斗の吐息がかかり「もう無理」と囁くと羽美の身体が反転し、いつのまにか羽美が下になり、海斗が羽美に跨っていた。
唇が勢いよく重なり唇の内側を舐め上げられ上唇を軽く食まれる。身体の芯に火がともったようにじわじわと熱くなってきた。
何度もキスを繰り返し、もう覚悟は出来た。羽美はそう海斗に伝えるように温かな体温にとけそうになりながら彼の首に腕を回し、身体を預ける。
もう、絶対に離さない。
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