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ポンコツ扱いされて仕事をクビになったら会社は立ち行かなくなり元カノが詰んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ

第30話:JKの呼び出しとは


 保冷トラックは選定に時間がかかるし、納車までも時間がかかる。とりあえず、それまで使わせてもらっていたレクサスのSUVで農家を回ることになった。

 保冷トラックを調べるついでに、このレクサスについても調べてみたら、多分、最高グレードのヤツだ。

 さやかさん、見た目は普通に可愛いけど、すごいお金持ちの家の子らしい。家なんかもはやビルだし。車を運転する人が家にいないのに1階に6台も高級車が停まってるし……

 多分、おとうさん、おかあさん、お兄さんが帰って来た時用だろうけど。


 さやかさんは平日で普通に学校に行ってしまった。今日から彼女が社長なんだけど……ところで、会社ってどこだ!? 登記したなら会社の所在地があるはず。俺はどこに出社したらいいんだ!?

 とりあえず、今日は、久しぶりに佐々木さんの所に行く予定にしていたのでそちらにいくことにした。以前、さやかさんを連れて行ってことがある農家のおじいちゃんとおばあちゃん。

 結局、空心菜は好評で例のレストラン「シーガル」の他、八百屋、スーパーに納めることになった。まだ名刺がないので何もできないけど、以前取引があったレストランとかにも挨拶がてら持って行っても面白いだろう。

 もう、エリアとかないから行きたいところに行けるし、自分がさばける量を好きなだけ仕入れることができる。青果市場から仕入れられないのは痛いけど、とりあえず、以前取引があった同業他社から買うのもいいかもしれない。

 やりたいことがありすぎて、楽しみすぎて、無意識に鼻歌が出ていた。


『遠征してませんか?』


 約束の野菜をSUVに積んで納品先の八百屋に向かっている時に さやかさんからLINEが届いた。どうしたのだろう?


「今日は市内だよ」

『帰る時間頃に学校まで迎えに来てもらえないですか?』

「いいけど、またケガしてないよね? 今度は熱とか!?」

『ケガも熱もありません。でも、よろしくお願いします』


 メッセージの後に犬が土下座したスタンプが貼られた。うちの社長様よ……

 でも、なんだろう。

 前回、突然迎えに来てと言われたときは、足首の捻挫をしていた。なにもなければいいのだけれど……

 多少気になるので、少し早めに向かうことにした。


 *


 学校には着いたけど、ちょうど下校時間とぶつかってしまって校門付近には生徒が多い。幸い道幅も広いし、交通量も少ない。脇に停車させてもらって、さやかさんが出てくるのを待つか。

 もちろん、駐車禁止でも停車禁止でもない。標識は日常的にチェックする癖がついているのでこういう時も欠かさない癖がついている。


『ホームルームが終わったので、車から降りて待っていてください』


 新しい指令が来た。車から降りて待つ? 急いでいるってことだろうか? いまいち意図はつかめないが、俺にとって彼女兼社長のさやかさんが言うことに抗う理由はない。

 SUVのドアを開けて校門の方を見ながら さやかさんを探す。最後のメッセから10分くらい経過しても さやかさんは現れない。大丈夫かな?

 それよりも、校門を出ていく生徒にめちゃくちゃ見られるんだけど……そりゃあ、学校の校門に高級車停めて学校の中をキョロキョロ見てるもんなぁ。不審者かなんかと間違えられそう……

 事案になるか……と俺の心が折れそうになったころ、さやかさんが友達4人と一緒に出てきた。

 よかった。職務質問されたらアウトだった。自称会社員(?)いや、会社役員(?)……でも、自社の名刺すらない。怪しすぎる。俺が警察官ならそんなやつは信用しない。

 俺の顔が見えると、嬉しそうな表情で駆け寄ってきてくれた。


「迎えに来てくれたんですか? ありがとうございます」


 あれ? 自分で迎えに来いってメッセ送ってきたのに?


「高鳥さん、どなたですか? 彼氏さん?」

「へへへ、そうです」


 なんだこれ? 知らないJKに囲まれてきゃいきゃいなってる。おじさんノックダウン寸前なんですけど!?


「彼氏さんカッコいいですね! 高鳥さん ずっと誰とも付き合ってないと思ったら、こんな方がいらっしゃったんですね!」

「恥ずかしながら、片思いの期間が長くて……」

「馴れ初めは? 馴れ初めは? どこで知り合ったんですか?」

「では、今度ゆっくりお話ししましょう。今日のところは失礼しますね」

「あ、はい、ぜひ。それではまた」

「はい、また明日」


 流れ的に、ドアを開けてあげると静かに さやかさんがSUVに乗り込んだ。俺も運転席に乗り込んで静かに走り出した。

 ルームミラーではさっきのJKたちが小さく手を振っている。さやかさんに至ってはシートに座ったまま窓を開けて後ろを見ながら手を振っているほどだ。

 数分走ったところで、彼女が静かにパワーウインドウを閉じた。


「……」

「……」

「なんだったんですか? 今の……」

「ごっ、ごめんなさい! 本当にすいません! どうしても友達に彼氏を自慢したくてっ!」


 さやかさんが、いきなりミーハーになった。


「そんな、俺なんか自慢するほどのもんでは……」

「何を言ってるんですか! 私が好きになったんですよ! 背は高いし、カッコいいし、優しいし、腕の筋肉がすごいし、仕事できるし、今や会社の役員で高給取りですよ!? 高級車で私を迎えに来てくれて、逆にどこがダメなんですか!」

「そういってもらえると……」


 実際、色々ツッコミどころは満載だ。腕の筋肉は荷物を日々運んでいるから自然に付いただけだし、会社役員は彼女の会社だし、高級車は借り物だ。


「あ、すいません、つい……」


 そう言うと、さやかさんが静かになった。彼氏を友達に自慢したかったって……普段は大人びて見えてこういうところは高校生らしくて可愛いな、と俺もニヤニヤが止まらないのだった。

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