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ポンコツ扱いされて仕事をクビになったら会社は立ち行かなくなり元カノが詰んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ

第28話:おじいさんの会社経営観とは


 無事に(?)外食から戻り、3階の和室でおじいさんの話を聞くことになった。

 大きなテーブルにおじいさん、おばあさん、高鳥さん、東ヶ崎さんが座り、俺も座った。


「若いの!会社経営をどう思う?」


 おじいさんに突然質問された。

 随分と漠然とした質問だ。雑談と言ったところか。東ヶ崎さんがみんなにお茶を出してくれていた。


「俺はずっとサラリーマンなので縁遠い存在ですかねぇ」

「はっはっはっ、正直でよろしい」


 水戸黄門みたいな笑い方。ちょっと場が和んだ。


「統計を見たら、新しい会社は1年後には3割が潰れとる。これはどう思う?」

「そんなに!? かなりリスクが高いと思います」

「そうか。わしは逆じゃ。よう7割も持っとるわ、と」


 ちゃんとした経営方針じゃないと潰れるって話かな?


「ほとんどのヤツが初めて会社を経営するのに、7割が1年持つのはすごすぎるじゃろ。普通に考えたらもっと潰れるのが普通じゃ」

「確かに!」


 学校で「会社経営」なんて習わないもんな。それだけ日本の教育は、サラリーマンを生産するようにできているという事か。


「つまり、既に経営しとるヤツが2社目以降を立ち上げたり、経営を分かっとるヤツから教えをこうたヤツがおるっちゅーことじゃ」

「そうですね」

「若いの、うちの孫が会社をやりたいって聞いてどう思った?」

「すごいな、と。俺にはなかった発想です」

「うむ。じゃあ、どうじゃ、その会社で働きたいか?」


 俺は無意識に高鳥さんの方にちらりと視線を送った。


「……」


 苦笑いしか出ない。


「……正直でよろしい」


 おじいさんはニヤリと笑った。俺の気持ちを察してくれたらしい。JKが思い付きで始めた会社と聞くと、すごいとは思うけれど、自分が働きたいかと聞かれたら二の足を踏んでしまう。


「すいません」

「じゃあ、会社を100以上経営しとる わしが経済的、頭脳的に支援すると言ったらどうじゃ?」


 おじいさんは、それじゃあ足りんかな、という表情をしたあと、更に追加で話してくれた。


「さやかの父……つまり、わしの息子も数社経営しとるし、最近ではコンサルとか言って他社の経営にアドバイスしとる。さらに、その兄も一社経営しとるぞ」


 おじいさんは、これでどうじゃとばかりにドヤ顔だった。

 誰かを想定して、「それならちゃんとした会社だ」と思わせることを考えているのかな? 俺はその実験台的な?


「そりゃあ、会社のスタートメンバーに入れるなら光栄なことで……」

「頑張って働く、と?」

「はい」


 それだけバックボーンがちゃんとしていれば、JKのお遊びではない。資金的にも補助してもらえるってことだから、軌道にも乗りやすいだろう。その「想定している誰か」も納得だろう。


「トラブルは絶対に起こるぞ? 一緒に頑張ってくれるかの?」

「まあ、そうでしょうね。でも、彼女は人から好かれますから何とかなるでしょう」

「若いの、すまんが、名前を何と言ったかな?」

「俺ですか? 狭間です。狭間新太と申します」

「狭間さん、孫を頼みます」

「え?」


 おじいさんが座ったまま頭を下げた。それを見て高鳥さんと東ヶ崎さんがぎょっとしていた。あれ? なんで? 俺には分からなかったので、とりあえずスルーした。

 孫娘の冒険を見守ってくれという事だろうか。いつもお世話になっているし、俺にできることくらいは全力で取り組ませてもらおう。


「あとは、社長の孫から」

「ん?」


 おじいさんが会話の主導権を高鳥さんに渡した。
 え? 社長? もう、高鳥さん社長?


「では、狭間さん、明日から狭間さんはうちの会社の役員として迎えます」

「は!?」


 高鳥さんがにやりといたずらっ子な表情をした。


「給料はとりあえず、1年間は従来の2倍は確保します。随時上げていきたいと思います」

「ええ!?」

「業種は、青果卸業です。現状、青果市場の購入権はまだありませんので、他から仕入れる必要があります」

「あ、はい、ん? あれ?」


 ダメだ。いま言われていることに頭がついていかない。


「あと、運搬に必要な保冷トラックですが、2t車を一台購入してください。どれがいいのかは私は分かりませんから、選定からお願いします」

「ええ!? 保冷トラック!? 中古でも1台2000万円とかしますよ!?」

「買取でも構わないですし、条件が良ければリースでも結構です。狭間さんが1年間自分で乗ると思って選んでください」

「あ、はい」

「東ヶ崎さんは、事務兼秘書として働いてもらいます」

「承知しました」


 え!? 東ヶ崎さんって、ただの家政婦さんじゃないの!?


「狭間さんは、農家さんを回りながら、空いた時間で仕入れ先と納入先候補のリストを作成してください」

「あっ、はい……」


 俺はいつの間にか高鳥さんの会社の社員になっていた。あれ? しかも、結構なところ俺に丸投げじゃね!?


「あの……質問良いですか?」


 俺がおずおずと手を上げて質問を申し出る。


「どうぞ、何でも聞いてください♪」


 実に生き生きしている表情。彼女は根っからのいたずらっ子なのかもしれない。


「会社名ってもう決まってるんですか?」

「当然! 既に正式に登記してます!」

「ちなみに、社名って……?」

「『株式会社さやか』です」

「株式会社……さやか……」


 さやか、は、高鳥さんの下の名前。自分の名前をそのまま社名に付けるって……


「狭間さんが全然下の名前で呼んでくれないので、強引に呼んでもらおうと思って」


 やられた……そんなんで社名を決めていいのかよ!?


「公私ともによろしくお願いしますっ」

「え  あ、はい……よろしくお願いします。社長……」

「そこは、『さやか社長』では!?」

「俺は芸人じゃないので、『お約束』は通用しないです……」


 なんか、俺の人生が変わっていく……どこでこうなったのだろう……「公私ともに」ってなんだろう!? 背中に変な汗を感じている俺だった。



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