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ポンコツ扱いされて仕事をクビになったら会社は立ち行かなくなり元カノが詰んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ

第26話:おじいちゃんが遊びに来るとは



「狭間さん! 今度おじいちゃんが来ます!」


 LINEを見ていた高鳥さんがふいに言った。


「え  ここっておじいちゃんも住んでるの 」

「おじいちゃんは住んでいません。遊びに来るだけです」


 そういえば、俺がここに住ませてもらってから随分になるけど、まだお父さんともお母さんともご挨拶ができていない。

 そういう意味では、高鳥さんの保護者に初めて会うことになる。

「娘に付いた悪い虫」的な誤解を受けない様にしないと!

 はっ! 手土産!? いや、むこうが来るんだから、俺が手土産を準備していたらおかしいだろ。帰りがけの荷物になっても良くないし。

 出迎えの料理!? いや、俺は思いっきり居候だ。出迎えの料理を出す立場にない! 

 料理は家政婦の東ヶ崎さんの仕事。いいとこ俺ができるのはいい材料を集めることくらい。


「高鳥さん!おじい様が来られるのはいつですか!? 東ヶ崎さん!出迎えのご馳走のメニューを教えてください!」

「どうしたんですか?狭間さん。おじいちゃんが来るって聞いて急に張り切って。もしかして~、『お孫さんをください』的なイベントを期待してますか~!?」

「違うわー!」

「ぶー、違うんですかぁ~↓」


 急にテンションが下がる高鳥さん。この子ノリだけで生きているのでは!? 

 対応を間違えると無職でヒモの俺は社会的に抹殺されてしまう! 俺の目の前の光景は、すぐに通報されてしまう事案なのだ。

 薄氷を踏み破らない様にそーっとそーっと進むしかないとてもデリケートな事柄なのだ。


 ***


 そのおじいさん訪宅の日はすぐに来た。来てしまった。


「おー、さやかー元気にしてたかのー?」

「おじいちゃん久々ー!」


 運転手さんがドアを開けて高級車から降りてきたのは、やけに軽い感じのおじいさんとおばあさん。ご夫婦での登場だったか!

 おじいちゃんとおばあちゃんに抱き着く無邪気な高鳥さん。こういう光景を見せられると、この子も高校生なんだと思い出させられる。

 なにしろ、普段はとても綺麗で大人びて見えるので、俺との年齢差は感じさせないのだ。

 一緒の職場で働いていたからか、俺の精神年齢が残念な感じだからか、できれば、俺としては前者であって欲しい。実は、俺が子供っぽいだけなのか 


 1階の駐車場はまだ2台分空きがあるので、いつでも来客が迎えられる。

 それどころか、車を詰めて停めれば1階の半分に全部が収まりそうなので残りの半分でキャッチボールくらいは出来そうな広さがある。

 お金持ちってすごいなぁ。俺の以前住んでいたアパートなんて、この1階のエントランスだけで十分に広さで負けている。


「初めまして! 現在、理由わけあって5階に居候させていただいている狭間と申します。お孫さんにはいつも大変お世話になっています」


 90度の最大お辞儀であいさつした。


「なんじゃ、さやか、この人をお世話しているのか 」

「あっ、いやっ、おじい様! そんな変な意味では…ございません……でっ 」


 おじいさんが、高鳥さんの方を鋭い目で見て、責める様な事を言ったので俺は慌てて止めに入った。


「……さやか、彼は若いのに、冗談が通じんな?」

「おじいちゃん、狭間さんは とてもまじめな方なのです」


 ……高鳥さんとおじいさんの関係もなんとなく分かる会話だった。そして、俺は揶揄われていることもすごく分かった……


 ***


 この日は、このビルの中で初めて行った3階の和室でおじいさんを出迎えた。

 3階の和室はテレビで見るみたいな本格的な和室で、俺の感覚からしたら旅館の大宴会場みたいな広さだった。


「この建物、和室もあったんですね……」

「なんじゃ、知らんかったのか? 行くのは孫娘の部屋ばかりか?」

「もうその辺で……俺、揶揄い耐性ないので遊ばれ放題ですから……」

「おじいさん、若者を揶揄ってはいけませんよ? いつか動けなくなった時に思わぬ報復を受けますから」


 おばあさんも止め方が怖い!

 今日は、なぜここに来たのだろう? 俺のことを聞きつけて見極めとか、追い出しとか……


「なぜ、わしらがここに来たのか気になるような目をしておるな」


 なぜ分かったし!? 確か、おじいさんも会社をやっているんだったか。経営者のカンとはそこまで鋭いのか⁈


「まあ、事前にさやかから聞いていたんじゃがな」


 俺は正座の姿勢のまま、頭の中の想像の俺は盛大にズッコケている。聞いてたんかーい!


「祖父母が孫に会いに来るのがそんなに変かの?」

「いえ、全然そんなことないです……」

「孫が欲しいもんがあるというから、買うために来たのじゃよ。お金を送るのは簡単じゃが、どんなもんが欲しいのか一緒に見ることを口実に孫に会えるじゃろう?」


 それ、本人の前で言っちゃったらダメなやつじゃ……
 お金持ちの考えはどこまでも分からない。


「もし、どこかに行かれるのであれば、俺 運転手しますので、申しつけてください」

「お、そうか。じゃあ、夕ご飯は外食の予定じゃ。お前さんのお勧めのお店に案内してくれ。店のジャンルは問わん」

「あ、はい。分かりました」


 簡単に言われたけど、意外とハードルが高い要求が来てしまった……さて、どうしようか。

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