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ポンコツ扱いされて仕事をクビになったら会社は立ち行かなくなり元カノが詰んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ

第20話:クビにした会社に起きている混乱とは


「専務! 今月売り上げが前年比で20%下がってます。」


 それは会計の事務員の佐藤さんからの報告だった。

 私、山本裕子は、青果仲卸業の株式会社森羅万象青果の専務だ。

 父が経営するこの会社に入社して20年は経過している。高校を卒業してすぐ入社して、そこからとんとん拍子に出世して現在は「専務」。会社によっては「副社長」という役職名のところもあるけど、いわば社長代理の地位まで上り詰めた。

 父はもうすぐ定年。多分、70歳になっても80歳になっても働けるのだろうけど、早めに引退したいと言っていた。

 多分、そのために私は会社のことを叩きこまれてきた。


 会社の売り上げは、営業が作ってくる。売上上位は2人いた。一人はまだ入社5年目の長谷川はせがわくん。年齢は私より下だけど、営業センスがいいのか売り上げは常にトップ。現在彼の役職は「リーダー」、営業10人のトップだ。

 2位は、狭間くんだった。会社に不正な口座を作って、売り上げを搾取する犯罪者。会社を潰す存在。最初は信じられなかった。でも、長谷川くんがその事実を見つけて教えてくれた。

 書類上は全く問題ないから分からない。お客さんに実際に納品した納品物を独自に会社がヒアリングしたら仕入れたものと内容が全く違った。品物が違うことは少なかったけれど、数量が全然違う。

 そして、中間に入っている「業者」とも言うべき取引先は彼の実家の名前だった。

 ここまで調べれば疑う余地もなかった。
 早急に彼を排除しなければならなかった。

 狭間くんは、高校卒業して入社直後は初々しかった。キラキラしていて眩しかった。いつも一生懸命で知恵を使って努力も欠かさなかった。それが、その知恵を悪い方に使うなんて……

 一時は良いと思って、付き合う可能性もあった。いや、付き合っていた。

 でも、所詮 歳が10も離れている男性。あの時を境に彼と私は違う道を歩くことになった……

 私は会社のことを考えたら、長谷川くんと付き合い、会社を引き継ぎ、更に盛り上げていくしか……


 それにしても、売り上げが前年比20%ダウンなんて……20%アップを期待していたから計画に対してだと-40%。普通に考えて会社存続が危ぶまれる数字……


「裕子さん、ちょっと……」


 長谷川くんに役員室に促された。


 *


「数字酷いんじゃないですか?」

「かなり絶望的な数字ね……」

「あいつが……狭間がかすめ取って行った数字じゃないのかな?」

「え  そんなに!?」

「あいつは碌なやつじゃない! クビにしてよかった」


 珍しく長谷川くんが建設的じゃないことを言った。過去のことはけりをつけなければならないけれど、私たちは未来を見なければならない。

 社員たちの生活を……未来を守らなければ……


「まずは、狭間を訴えて不正搾取した売り上げを回収しないとね。あとは、お義父さん、いや、社長と相談して……」


 違う。本当は違うと思っている。現社長に丸投げするのではなく、自分たちだけで解決できなければ、今後の会社を維持することはできないのに……

 人は焦ると思考が停止する。私は、この時まだこのことに気がつかないでいた。

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