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ポンコツ扱いされて仕事をクビになったら会社は立ち行かなくなり元カノが詰んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ

第13話:売れるタマネギと売れないタマネギとは


 一通り空心菜の料理を試食させてもらって、一段落したので、今度は縁側に座って「打ち合わせ」という名の井戸端会議だ。


「それで、狭間くん、どうなの? 会社辞めちゃって大丈夫?」

「あ、はい。大丈夫じゃないけど、みなさんと約束したし、これからは個人的に野菜を仕入れて、とりあえず、八百屋とかスーパーに納めようと思ってます。しばらく買い取れる量が少なくなるかもしれませんけど、頑張りますので!」

「いいよ、いいよ! こっちは老後の暇つぶしだからゆっくりで」


 そうは言っても、この家の重要な収入源になっている。「暇つぶし」は俺に気を使わせないように言っただけだろう。


「それにしても酷いねぇ、急にクビなんて」

「まぁ……俺も足りないところがあったんだと思います。勉強になりました」

「そんなぁ、狭間くんが悪いとこあるんだったら、世の中みんな悪い人だよぉ!」

「いやいや、そんな」


 冗談を言いながら、ちょっとした会話。楽しい時間でもある。ただ、楽しいだけではいけない。


「空心菜は、何束かサンプルで もらって行っていいですか? 八百屋さんとスーパーはすぐに卸せるけど、以前行っていたレストランにも挨拶がてら顔を出してみようと思って」

「そりゃあ、助かるよ。私ら野菜作りは専門でも、売るのはとーんとだめだから。狭間くんみたいな人がいると心強いよね」


 おじいさんに背中をバシンと叩かれた。痛いって! 70歳を超えたと言っても農作業をしていて力が強いんだから。


「お野菜だったら農協とかが買ってくれるんじゃないんですか?」


 高鳥さんがおじいさんに質問した。


「そうだねぇ、農協さんは安定して買ってくれるから、取引すると収入は安定するね」

「じゃあ……」

「ただね、買ってくれる野菜と買ってくれない野菜があるのよ」

「え?」


 高鳥さんが驚いていた。多分アレを知らないんだろう。
 俺は庭に置いてあったタマネギが入った段ボールから2つタマネギを拝借して持って来た。


「あ、さすが狭間くん、良いのを選んでくるね」


 おじいさんに褒められた。ちょっと嬉しい。


「高鳥さん、この2つのタマネギどっちがいいと思いますか?」


 俺は縁側の上に新聞紙を敷いて、まだ泥がついたままのタマネギを2個置いた。


「えー……色はおんなじくらいですし、大きさがちょっと違うくらい?」

「おー、賢い娘さんじゃねぇ!」


 おじいさんが褒めた。基本的にこの夫婦褒め上手なんだよなぁ。


「こっちの小さい方は農協が買ってくれる大きさで、大きい方は規格外になるから買ってもらえないか割安になる可能性が高いね」

「え? 育ち過ぎで味が落ちてるってことですか?」

「いやいや、流通の関係で農協が扱う野菜にはサイズが上限・下限が決まってるんだよ。この大きい方はそれから外れただけ。味はどっちもおいしいと思う」

「えー、そんなのあるんですか?」


 高鳥さんが2つのタマネギを見比べていた。


「狭間くんは大きさよりも色艶とか、味とかで選ぶからうちの野菜ならどれでも買ってくれるかなぁ」

「確かに、レストランとかでも人気ですからね。佐々木さんのタマネギ」

「え?誰が作ったとか関係あるんですか?」

「ほら、付加価値をつける時の鉄則は?」

「……名前をつける」

「そう!俺は、『狭間チョイス』の中に『佐々木さんのタマネギ』をよく入れてたよ」

「そうなんですね!」

「何気ない言葉でも、その背景を説明して、味で確かめてもらったら、ちゃんとした料理人は次もまたそれが欲しくなるもんなんだ」

「へー」


 高鳥さんが大事なものを触るように、佐々木さんのタマネギを手に取って見ていた。

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