ポンコツ扱いされて仕事をクビになったら会社は立ち行かなくなり元カノが詰んだ
第12話:JKが田舎の家に行くとは
「佐々木さん、おはようございます」
「おはよう、狭間くん。こんな高級車で来るなんてびっくりしたよ!儲かってるの?」
「ははははは、やめてくださいよ。彼女からの借りものです。俺はこんな車なんてとても買えませんよ」
車の窓越しにちょっとした挨拶をした。
田舎の一軒家で平屋建て。家の中には犬が1匹飼われている。典型的な田舎の農家という感じ。出迎えてくれた佐々木さんはご夫婦とも70歳を超えた老夫婦。いつも仲が良く、一緒に畑仕事をしているようだ。
「おはようございます」
高鳥さんが助手席から降りた。
「あらあら、今日は可愛い子を連れて! 彼女さん?」
「あ、だからか! 今日は狭間くんがいい車に乗っとるのは!」
「いやいや、違いますから! 佐々木さん! こちらはお世話になっているお宅の娘さんですって」
佐々木夫婦に揶揄われて焦る俺。真っ赤になる高鳥さん。
「あ、結婚か! だから会社辞めちゃったんだ!」
「あらあら、それはおめでとう!」
「いや、だから違いますって!」
完全に揶揄われっぱなしだ。多分、俺がクビになったって言ったから賑やかしで盛り上げてくれようとしているに違いない。
「あの……今日は、よろしくお願いします」
高鳥さんが深々と頭を下げた。
「あれまー、いい子だね」
「ゆっくりしていって」
佐々木さん夫妻は、歓迎ムードで高鳥さんを迎えてくれた。
***
俺たちは、畑に行くって知っていたので、Tシャツとジーンズみたいにラフで汚れてもいい格好をしていた。対して、佐々木夫婦は農作業から帰ってきたばかりみたいで作業服だった。
「狭間くん、空心菜見て!」
「あ、立派ですね! 大きい!」
空心菜を受け取ると、一葉ちぎって口に含む。
「あ、苦みは少な目ですね」
「そうそう、土から作り直して、シュウ酸を減らしたのよ」
「お浸し作ったから、ちょっとこっち食べてみて」
佐々木おばあちゃんが、タッパーとお箸を持ってきてくれた。
「よかったら、彼女さんも」
「あ、あの、私……はい……」
高鳥さんは、言い返したいことはあったみたいだけど、飲み込んだみたいだ。大人だなぁ。
「あ、美味しい! 苦みとかないです!」
「確かに、これは味付けもいいですね」
「ホント? 田舎料理が口に合えばいいけど」
そう言いながら自慢気のおばあちゃん。たしかに、美味しい。
「これはどうやったんですか?」
「カツオ出汁で炊いて、味付けして、最後にゴマを振ったの」
「へー、出汁が美味しいのかな。すごくおいしいですね!」
「アクがある野菜には、カツオ節とゴマが良いってテレビで言ってたから試してみたのよ」
テレビもたまには良いことを言う。
「あ、こっちもできたよ!」
おじいさんがカセットコンロで炒め物を作ってくれていた。
「あ! 食感がおもしろい!」
「そうなんだよ。空心菜は茎の中が空洞だから、炒め物にした時の食感が面白いんだ」
佐々木さんが作ってくれたのは、空心菜にニンニクスライスと鷹の爪が一緒に炒めてあった。
「今日は野菜が主役だから入れてないけど、これにベーコン入れても美味しくなるな」
「あ! それ好きかも。聞いただけでおいしそう!」
高鳥さんも調子が出て来たみたいだった。
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