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ポンコツ扱いされて仕事をクビになったら会社は立ち行かなくなり元カノが詰んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ

第9話:オール・オア・ナッシングとは


 俺の転職活動は難航していた。

 その理由として、LINEで色々な人から連絡が来まくっていたことがある。

 これまでのお客さんでも仲良くなったらLINEのアカウント交換していたので、気軽に連絡していた。

 今でも○○が欲しいとか、珍しい野菜入ってないかとか、問い合わせは来ている。

 これらの連絡は退職した今、答えることができない。退職したので、会社に連絡をお願いします、と連絡先を知らせるくらいしかできなかった。

 そっちらはまだいいのだけど、野菜を買って欲しいというのがある。

 仲卸は、市場から野菜を買うのもあるけれど、農家から直接買うこともある。

 そうなると、ある程度の量とコンスタントに出荷してくれる必要があるけれど、そんな農家などあるはずがない。

 そこで、俺は小さな地域に代表を立てて、その人のところに野菜を集めてもらっていた。

 もちろん、こちらが欲しい野菜は事前に伝えてあるので、目的の種類を作ってくれていた。向こうが準備してくれている分、こっちも答えないと農家さんも生活がかかっている。

 会社には少量の取引をする制度がないので、例によって俺口座で仕入れて会社として販売していた。そうしないと個別の農家さんに支払いができないのだ。

 以前、会社としてその代表の人に一括で振り込んでいたことはあったのだけど、数人分の物を振り込むとやっぱり悪いことを考える人が出てくる訳で……

 そのコミュニティ自体が崩壊したり、つまはじきにされる人が出てきたり、代表の人がなんだか偉くなってきて農家さん同士にいじめが発生したり……とにかくトラブルが多かった。

 1農家に対して1支払い。これが俺のやり方だ。

 ただ、何件も回るのは大変なので、1件に野菜を集めてもらっている感じ。今のところこの方法ならほとんどトラブルなくうまくいっている。


「狭間さん、会社は大口を取りこぼしているみたいですよ?」


 今日は、高鳥さんが夕飯の時間に会社の近況を教えてくれた。

 ちなみに、夕ご飯は豚の生姜焼き。家政婦さんも一緒のテーブルで食べるのがこの家のスタイルらしい。


「なんかホテルとか、大量に野菜が必要なところの分の野菜が集まらないみたいなんです」


 ああ、そうか。俺たち仲卸は欲しいところに欲しいだけ野菜を届けるのが原則だ。

 ホテルなどでは、急に大量の品物が必要になることがある。そう言った時は、数社ある取引先の中から、全量を集められるところから買うことが多い。

 2か所、3か所で買えばそろうかもしれないけれど、事務手続きは数倍必要になるし、価格が揃わないと社内でなぜ高いところで買ったかなどツッコまれたり大変らしい。

 そういう意味では、俺たちは他社とも協力する。商品を融通し合ったりするけれど、これは横のつながりが必要だ。日ごろから持ちつ持たれつ。

 ある時は、こちらが有利に融通してもらったり、またある時は、相手に都合をつけたりする。

 自分たちが仕入れてない商品で、お客さんのニーズ的に価格が合わない時など、直接他社を紹介することもある。この場合、自社の利益は全くないし、手間の分マイナスともいえる。

 それでも、お客さんは問題が解消できるのでいいし、他社の担当とも仲良くなれる。

 ただ、人と人のコミュニケーションは段々希薄になってきていると言われている。

 他社の担当との連絡を嫌がるメンバーも多い。いつの間にか俺が担当みたいになっていた。

 情報が来ないと商品を他社に融通することもできないし、自分のエリアで大量発注が出ても手持ちが足りないと売れないこともある。

 つまり、オール・オア・ナッシング全てか無かの厳しい世界なのだ。

 マズイなぁ。大量発注は売り上げが伸びるチャンスなので、それを落とし始めると数字が落ちていく。


「気はすすまないけど…困ってるかもしれないから、担当の中野さんに連絡してみるか……」


 食事が終わった頃、まだ中野さんがまだ寝ていない頃に電話をしてみた。


『お、狭間か! お前失業中らしいな。その年でニートとかウケる。あ、これって「ざまぁ」ってやつ? 給料泥棒は俺たちの分の利益も食いつぶしてたわけだからな』


 ……LINEのグループチャットを見て、俺がメチャクチャ悪く言われているのは知っていた。

 退職後、益々悪く言われているのも知っているけど、ここまで言われて、教えてあげる気にはならないな……


「頑張ってください」


 それだけ言って、通話を終了した。


「声が漏れ聞こえていたんですけど、中野さん酷くないですか!?」


 俺の代わりに高鳥さんが怒ってくれている。

 中野さんのエリアでの大量発注の時なんか、商品はみんなで集めても、売り上げは中野さんにあげてたのになぁ。

 会社の方は、気持ちが離れてしまったので、俺はもう1件の方の対応をすることにした。

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