遥か夢こうのデウス・エクス・マキナ

兎月あぎ

第九章 第一話 光撃時々流星

吉兆を
示す六柱
廻る時
落つる光は
流星也

禍ツ星
飲み込みたるは
夢の跡
そのいで立ちは
死兆星




光に飲み込まれた直後、爆音と共に爆風が襲い掛かる。あの超大型反重力車が転がされるほどの衝撃が辺り周辺へと伝わりわずかに生えていた草木はなぎ倒され地面は抉れる。反重力車が一回転したところで停止し楓はマキナのあった方向を見る。
マキナのいた場所には光の奔流が徐々に粒子に変化し光が消えていくところだった、その光の中から片膝をついた状態でマキナが姿を現す。すぐさま楓は無線でイゼの安否を確認する。
「イゼ!無事なの?」
「問題ないけど…警報音がまだ鳴ってる!」
すぐさま楓は多機能ゴーグルをかけマキナの頭上を凝らして見る。その先に見えるのは月と太陽、そして太陽にかぶさるように出現している謎の星?である。
さらに倍率を上げ太陽に覆いかぶさっている謎の星?を観察する、ここから見える範囲ではあるのだが紫色に光っておりどうやら球体に大きな6本の棒のようなものが付いているのが確認できる。
「星…ではなさそう。衛星…?でも見たことがないな」
楓が画像をイゼに共有する。
「あれって…禍ツ星?ひょう爺が話してたおとぎ話の?すごく似てる…」
「禍ツ星?私は聞いたことないな…」
そう話しているとはるか上空で再び光が瞬く、そしてマキナが光の柱に包まれる。
「ぐっ…」
再び吹き飛ばされそうになるも今回は耐える反重力車、そして光の柱が消えると。そこにマキナの姿は無くなっていたのであった。
「イゼ!?」
楓が驚愕しているその時通信が入る、イゼからだ。
「楓、ハッチ開けて!中に入るから」
「それよりもイゼあなたどこいにるの!?」
「光に飲み込まれたところだよ、今はステルス機能を開放してるから見えてないだけだから安心して。さっきからマキナばっかり狙ってくるから多分狙いはマキナだと思う、しばらくの間ステルス機能を持続させるから今のうちに逃げよう」
「わ、分かった。とりあえずハッチを開けるね…」
ハッチを開け姿の見えないマキナを反重力車の格納庫内へと招き入れる、マキナが足を踏み入れたのかガコンと軽く反重力車が揺れ少し後に固定装置にマキナが繋がれた表示が出る。
楓は空の禍ツ星と呼ばれるものを観察し次なる攻撃がないか観察していると、操縦席の扉が開き中にイゼが入ってきた。
「マキナはどうなの?」
「ステルス機能は持続させたままにしてるよ、ただ光学迷彩は切っちゃったけどね。降りるとき足ひっかけそうで怖くて」
「了解、それじゃあこの場からすぐさま移動するよ!」
反重力車を起動させその場からすぐさま離脱する、禍ツ星なるものから追撃は…無かった。視認できている状態ではないと攻撃はしてこないのかそれともステルス機能が働いているからなのか。恐らくかなりの高高度、それも倍率からして衛星軌道上に浮いているであろう禍ツ星なるものは細かい射撃を行うのは向いていないのだろうか。
何にせよ反重力車に直接攻撃がこないのはありがたい、そう思いながら反重力車を走らせる。金田おじさんの家から離れ大都市ヤマト中枢付近まで移動してきた、だが街の景観に違和感を覚える。何故か人が一人たりともいないのだ、しばらく車を走らせているにもかかわらずだ。
「不気味…」
「何があったの…?」
そう不安に駆られていると接続されたマキナから警告が表示される、それとほぼ同時に反重力車のレーダーにも警告表示が出現する。
「何事!?」
「方向は…上空、まだ狙ってきてたのか!」
少しの間音沙汰のなかった禍ツ星なるものからの攻撃、また先ほどのような光の柱で攻撃してくるのだろうか。そう考えていると遥か頭上で光が煌めく、急いで避けるべく反重力車のスピードを上げる。上空を見上げるとそこには、放射状に落ちてくるいくつもの光の柱を見ることができた。
光の柱は次々と街のあちこちに着弾し街並みを破壊していく、現在走行中の場所はビル群が建っておりどこか一つでも倒壊してしまえばあとはドミノ倒しの要領で崩れていくだろう。その考えを体現するかのように放射状に放たれた光の柱がビル群のうちの一つに直撃、次々とビル群が倒壊していく。
「ひえぇ!」
「ぐうッ!」
倒壊するビル群の間をなんとかその大きさで通り抜けていく反重力車、その間にも光の柱は次々と落ちてきている。普通の車であればすでに瓦礫などに足を取られぺしゃんこになっていたのではないだろうか。光の柱は大都市ヤマトを埋め尽くすかの勢いで次々と落ちてきている。
「イゼ、しっかり摑まってて!飛ぶよ!」
イゼが慌てて座席にがっしりと摑まると同時に楓は反重力車の重力装置とエンジンを全開にし、大都市ヤマトの外壁を飛び越えようとする。外壁まであと数mというところで頭上から光の柱の内の1本が降ってくる。
「いっけえええぇぇぇ!」
光の柱が車体をかすめ反重力車はスピンしてしまう。スピンしたその先は、外壁の外だった。
「ふぅ…」
「よかったぁ…」
相変わらず光の柱は次々と大都市ヤマトに降り注いでいる、このままいけばあと数分ほどで大都市ヤマトは瓦礫の山に成り代わるだろう。何にせよ外壁の外には降り注いでいないため恐らくここまで来れば大丈夫だろう、一刻も早く現状を打破しなければ。そう考える二人は光の柱が降り注ぐ大都市ヤマトを後にするのであった。

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