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遥か夢こうのデウス・エクス・マキナ

兎月あぎ

第六章 第一話 開幕トーナメント戦!

運送品の搬出も終わり純平とも別れ、闘技場近くの宿を取り一旦休憩を取ってるイゼと楓。イゼはニコニコしながらマキナの機体情報を呼んでいるのに対して楓はゴーグルを着用しマキナの修理、分解、メンテナンスのシュミレーションを行っている。一通りのシュミレーションをし終わった楓はゴーグルを外しイゼのほうへと向き直る。
「イゼちゃん明日に向けての準備は大丈夫?」
「問題ないよ!チェックシートも全部OK、あとは動かすだけだよ!」
イゼから元気のいい返事が返ってくる。
「私も頑張らないとね…」
その言葉の通りイゼは持ち込み機なので人員は多少派遣してくれるものメンテナンスや修理は自分たちで行わなければならない、その点を考えると人数がイゼを含めて二人しかいない楓たちは不利ともいえる。
そのうえ日に2度も試合が行われることもあるので、余計に短時間で仕上げなければいけない場面も出てくるだろう。
「あっ、イゼちゃん相手の経歴表とか見た?」
「ん、まだだった。見とかなきゃ…」
このトーナメントでは相手の経歴表や使用する機体情報の一部開示が行われている、もちろん相手にもこちらの情報は丸わかりではあるのだがイゼの乗る機体は楓でさえ知らなかったマキナ。相手も知ったところで現物と戦わなければ想像もつかないだろう。
だがそれも通用するのも恐らく初戦まで、どれだけ手の内を相手に知られずに戦えるかだが。
ソファに横になり足をパタパタさせながら相手の情報を読むイゼ、そんなイゼを横目に再びゴーグルを被りシュミレーションを開始するのであった。




次の日の昼頃、コロシアムで空砲が音を鳴らすと同時に司会らしき声がコロシアム周辺までスピーカーで拡散される。
「皆様、お待たせいたしました!ただいまからトーナメント戦の開始をここに宣言いたしますッ!」
「「「「「うおおおぉぉぉっっっ!!」」」」」
耳が痛くなるほどの歓声にイゼは思わず耳を塞いでしまう、続けて司会が今大会の説明を淡々と告げ優勝賞品の紹介へと移る。司会が背後にある何かに覆いかぶさっている布をどけるように指示する。
「それでは今大会の優勝賞品をお見せいたします!これが優勝賞金3000万円とロストテクノロジーとも言われるあの旧世代級の武器クロスメードだあああぁぁぁ!」
「「「「「うおおおぉぉぉっっっ!?」」」」」
再び歓声が湧き上がる、そこに現れたのは優勝賞金と地面に突き刺さった巨大な鈍く黒く輝く剣だった。
「楓!楓!あれすごいよね、一目見た時からあれ欲しかったんだよ!」
「イゼちゃん落ち着いて…まぁかくいう私も新しい旧世代級のお目にかかれて興奮はしてるんだけどね、それにしてもよく見つけたなぁ…」
その疑問に答えるかのように司会が解説を始める。要約するとここグロコム近郊にある鉱山の採掘現場にて発見、回収されたらしい。復元、稼働に至るまで時間はかかったものの遂に能力を十分に発揮することができるところまで来たため今回商品として出されたらしい。
それにしても旧世代級のものは共通して地下から見つかることが多くその理由は不明、一説には危険すぎて地下深くに埋められたのではとも言われているが、現代でも稼働している旧世代級の機動兵器は片手で数えるほどしかないものの問題を起こしたなどという話は一度も聞いたことがない。
「そして、今回も前大会優勝者の純平選手が参加しています!誰か純平選手の連覇記録を止める者はいないのだろうかぁ!」
相変わらず司会が大会を盛大に盛り上げようとしている中イゼの持っていた通信端末に一通の連絡が入る。
「ん…楓、順番が回ってくるから準備してくださいだって!」
「了解、いいとこ見せてよね?」
「もちろん!」
イゼは嬉しそうに答え一足先に準備に行くため駆け足で走っていった、その後姿を追うように楓も駆け出すのであった。

「イゼちゃん、準備はいい?」
「問題ないよ、よし…それじゃあ行くよ!」
貸出コンテナ内のハッチを開けマキナを前進させる、コロシアム内に入った瞬間歓声が湧き上がりイゼの闘争心を奮い立たせる。前方からは相手の機体が前に出てくる、情報通りハドワーカーを改造した機体のようだ。
「まだまだガキのようだが手加減はしないぜ?」
「そんなこと言ってる人に負けないよ!」
勝利条件は相手の頭部ユニットを破壊したほうが勝ち、操縦席のある部分は狙わないこと。故意でなくても操縦席に被害が及んだ場合は即失格となる、以上のことに注意して試合を行うこと。
「それでは、試合開始ィ!!」
「「「「「うおおおぉぉぉっっっ!!」」」」」
「絶対に勝つ!」

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