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遥か夢こうのデウス・エクス・マキナ

兎月あぎ

第四章 第三話 劣勢守勢

マキナとリーダー機の間にピリピリとした空気が流れる。お互い睨み合う状況が続き、賊の取り巻きもその様子を見ているのかそれとも何か命令を受けているのか。動く様子は今のところはない。
先に動いたのはマキナの方だった。
「しッ!」
横なぎに払われた戦斧がリーダー機に迫る、その一撃は相手に当たることは無かった。大剣を軽く動かしただけではじき返されたのだ、動きにして約一歩ただそれだけである。次に動いたのはリーダー機の方だった、大きく上段に構え機体の膂力を存分に生かしこちらに接近し地面へと叩きつける。すんでの所で避けると大剣は地面へと吸い込まれるように刺さり、叩きつけられた地面は大きく割れその威力を示している。
ぬっと大剣を地面から抜き再び構えるリーダー機、次は横に構えており薙ぎ払ってくる気なのだろう、マキナはその場からすぐ離脱しようと後ろへと飛ぶ。
「なっ!?」
のだが飛んだ後方には取り巻きの機体が1機、リーダー機に気を取られ後ろに接近していたのを気づくことが出来なかった。ごつんと衝突しそのまま羽交い絞めにされる、何とか脱出しようとするもがっつりホールドされて動くことが出来ない。このままではあの一撃を喰らって真っ二つなんてこともあり得る、それだけは避けなくては。
急いで思考を巡らせこの場を脱する方法を模索する。そこで敵機の機体形状が丸いことを生かし、スラスターを全駆動させることによりその場でバク転を実行。頭から着地することになるものの位置を逆転することに成功、直後ぶおんと音と共に硬いもの同士がぶつかり引き裂かれる音が背部から聞こえてくる。音が聞こえた後拘束が緩みすぐさまその場から離脱、背後にいた敵機を見ると腕は真っ二つ体は半分近くまで斬られており煙を上げている。
危ない所だった、結果的に敵機を1機片づけることに成功したがタイミングが遅かったり失敗していたならばこちらがああなっていたのだろう。考えるだけでもぞっとする。
戦斧を構え直しリーダー機に向き直る、相変わらず隙の無い立構えでありどう立ち向かえばいいかが分からない。そうしていると再び横なぎに払わんとリーダー機が構える、次は後方に何もないことをちらりと確認しすぐさま飛び退くのだが。
「速いッ!?」
マキナへと肉薄し大剣が振るわれる。すぐさま戦斧を構え攻撃を受けるのだが、ギギギッと音がすると同時に徐々に戦斧が押されながら両断されていく。やばいと悟ったが遅かった。
爆音とともに吹っ飛ばされ、土煙が濛々と立ち上り視界がふさがれる。直後レーダーからリーダー機の接近を知らせるアラートが発せられる、すぐさま横に転がると同時土煙を割きながら下段に大剣を構えたリーダー機が通過していった。
起きながら体勢を立て直すも嫌な汗が背中を伝う、リーダー機の方を注視しつつも手持ちの戦斧の状況を見る。手持ちの戦斧は見事真っ二つにされており刃の上半分が無くなっていた。使えなくはないが、頼りにすることはできない。
リーダー機との距離をじりじりと取りながら必死に対応策を考える。しかしどのイメージも失敗に繋がるようなものばかり、反撃の策が一向に練れない。機体情報も少ない時間で読み取れる部分は読み取ったが取り巻きの機体と同じタイプが故、通用するのはパイルバンカーぐらいでありそれも止まっている時ぐらいである。
残る術は…
「…正面突破かな」
玉砕覚悟の正面衝突を行おうとするイゼ、そんなイゼに対し再び大剣を構えるリーダー機、イゼの正面衝突は敵機に通用するのだろうか。

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