私にだって選ぶ権利はあるんです!~お仕置き中の神様に執着されました~

紅葉ももな(くれはももな)

高天原で治癒を

 高天原では既に明良の神力が暴走した事が分かっているようで、明良は直ぐに待ち構えていた輝夜神の指示で寝室へと運び込まれた。


 どうやら通された部屋は明良の私的スペースの一部屋らしく、風花は自宅の一階がすっぽり収まってしまいそうな広々とした部屋の真ん中に置かれた巨大なベッドに目を奪われた。


 一体何人で寝るのだろうかとツッコミを入れたくなる広々設計のベッドに搬送された明良は熱の為か苦しそうにしているが、輝夜神いわく寝てれば治るとの事らしい。


 明良の側に付いていた風花を輝夜神は部屋から引っ張り出した。


「あの子が起きたら知らせが来るから大丈夫よ」


 そう告げた輝夜神は風花の傷を癒やし、ボロボロになった制服を纏った風花から自らひっぺがした。


「最近は娘が側にいないからこうやって着飾って遊べなくてつまらなかったのよ……風花ちゃん」


 嬉々として風花の身体に高天原の衣装をあてがいながら着せ替えをさせていた輝夜神は真っ直ぐに風花を見る。


「神威の……明良の暴走を止めてくれてありがとう」


 そう告げた輝夜神は神であり、一人の母親の顔をして風花に頭を下げた。


「輝夜神様!?」


「あの子は気性が激しくて不器用で困ったやつだけど息子のこと見捨てないでくれると嬉しいわ」


「そうですよ、風花ちゃんには神威様の手綱をしっかりと握って貰わなくては」


 いつの間に戻って来たらしい因幡が入り口から風花と輝夜神を眺めていた。 
 
「智輝さん」


 入り口から室内へ進みながら風花の側までやって来ると、輝夜神に一礼する。


「神威様の神力の暴走は、直下型地震が原因として記憶をすり替えて置いたよ。 今頃テレビのニュース番組で放送されている頃だよ」 


「あら、テレビ付けましょ」
  
 そう言って隣の部屋に向かって走っていってしまった。


 八百万の神々が住まう高天原に、なぜテレビがあるのかとか色々とツッコミたい所もあるけれど、地震が発生した事にするのが自然だったのかもしれない。


「とりあえず傷跡が残るような怪我を負った生徒は、跡が残らない程度まで治癒しておいたから安心して」


 そう微笑んだ智輝につられて風花の表情が緩む。


「はい、ありがとうございました」


「礼を言わなければいけないのはむしろこちらだよ。 神力を暴走させてあれだけの被害で済んだのは風花ちゃんが体を張って止めてくれたおかげだよありがとう」


 お互いに礼を告げて笑い合う風花と因幡を隣の部屋から顔を出した輝夜神か手招いた。


「風花ちゃん、明良の目が覚めたって〜」


「本当ですか!?」


 その輝夜神の言葉に風花は明良のいる寝室へと向かって走り出した。







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