私にだって選ぶ権利はあるんです!~お仕置き中の神様に執着されました~
龍也君
ゆらゆらと身体が心地良く揺れる、もたれ掛かるように触れ合った場所が風花の体温より温かくて安心する。
「目が覚めたか?」
もぞもぞと身じろぎすれば、落ち着いた男の人の声が聞こえてきた。
風花は顔が腫れているのか重苦しく開きにくい目をなんとか開けると、藤堂龍也の整った顔が目の前にあった。
「!?」
風花は自分が龍也の腕の中でお姫様抱っこで運ばれている事を自覚して、カッと顔が羞恥に染まる。
「ごめん龍也くん重かったよね、もう大丈夫だから下ろして?」
「うるさい、大人しくしてろよ。 それ以上喚くならその口塞ぐぞ?」
なんとか床に下ろして貰おうと抵抗を試みるも、龍也は歩みを止めることなく風花を脅してきた。
いつもの軽薄さは微塵も感じられず、その表情からは心から心配してくれていることが伝わってきて戸惑う。
大人しくなった風花の様子に満足したのか、僅かにバランスが悪くなった体勢を抱え直し、廊下を進む。
「あっ!龍也、風花を見なかったか?」
突然龍也の背後から聞こえてきた明良の声に、ビクッと身体が強張る。
きっと風花の姿は今、凄く酷い有様だろう。
もう見られてしまった龍也は仕方ないけれど、顔は腫れ上がっているし、制服は汚れてしまっている。
(イヤっ、こんな姿を他人に……好きだと自覚してしまった明良君に見られたくない)
風花は明良から隠れるように固く目を瞑り、助けを求めるように、ギュッと龍也が制服のワイシャツの上に羽織っている紺色のカーディガンを握りしめた。
風花の気持ちが伝わったのか、背中に回された龍也の腕の力が増す。
「いや? 見てないな、女の子と一緒の時はなるべく他の子は見ないようにしてるんでね」
龍也の言葉に目を開けて顔を見れば、風花の顔を見て頷いてくれた。
「そっか……どこに行ったんだろう、もし見かけたら俺が探してたって、伝え……」
明良の言葉が途中で途切れる。
「風花!?」
龍也の肩を掴み、抱き上げられた風花の姿を見つけた明良は切れ長の目を見開いた。
(あぁ、見つかっちゃったか……)
「アハ、ちょっと派手に転んじゃってさ、龍也君が保健室まで運んでくれてたんだよ」
「転んだって……」
訝しげに怪我の様子に視線を走らせた明良の視線が風花の腹部でピタリと止まった。
何を見ているのかと視線を向けると、風花の制服にはどう見ても靴跡としか見えない汚れがついていた。
「誰に……やられた……?」
あまりにも低い怒りを交えた声に、自分が怒られているわけでもないのに風花の身体が強張る。
明良の背後に何かわからない揺らぎのような物が見えた気がして、もしかしたら封印されている神気が漏れ出しているのかもしれない。
「明良落ち着け、風花ちゃんが怖がる」
龍也の指摘に目を見開き、様子を確認すると、明良はその場で目を瞑り大きく息を吐き出した。
それと同時に揺らぎも収まる。
「悪い、風花に怒ったわけじゃないんだ」
ゆっくりと風花に近づくと、龍也の腕から強引に身体を奪い取り抱き上げた。
「明良君!?」
ぐらりと身体が傾き明良の身体にしがみつく。
「危ないからしっかりと掴まってろ」
「いや、自分で歩けるから下ろして? って私の話きいてます!? もしも~し」
風花の訴えをガン無視して足早に歩きだす。
「強引な男は嫌われるぞ?」
「他の男に触らせるくらいなら嫌われたって構わないさ」
そう言って明良は風花を抱いたまま保健室へ向かった。
「目が覚めたか?」
もぞもぞと身じろぎすれば、落ち着いた男の人の声が聞こえてきた。
風花は顔が腫れているのか重苦しく開きにくい目をなんとか開けると、藤堂龍也の整った顔が目の前にあった。
「!?」
風花は自分が龍也の腕の中でお姫様抱っこで運ばれている事を自覚して、カッと顔が羞恥に染まる。
「ごめん龍也くん重かったよね、もう大丈夫だから下ろして?」
「うるさい、大人しくしてろよ。 それ以上喚くならその口塞ぐぞ?」
なんとか床に下ろして貰おうと抵抗を試みるも、龍也は歩みを止めることなく風花を脅してきた。
いつもの軽薄さは微塵も感じられず、その表情からは心から心配してくれていることが伝わってきて戸惑う。
大人しくなった風花の様子に満足したのか、僅かにバランスが悪くなった体勢を抱え直し、廊下を進む。
「あっ!龍也、風花を見なかったか?」
突然龍也の背後から聞こえてきた明良の声に、ビクッと身体が強張る。
きっと風花の姿は今、凄く酷い有様だろう。
もう見られてしまった龍也は仕方ないけれど、顔は腫れ上がっているし、制服は汚れてしまっている。
(イヤっ、こんな姿を他人に……好きだと自覚してしまった明良君に見られたくない)
風花は明良から隠れるように固く目を瞑り、助けを求めるように、ギュッと龍也が制服のワイシャツの上に羽織っている紺色のカーディガンを握りしめた。
風花の気持ちが伝わったのか、背中に回された龍也の腕の力が増す。
「いや? 見てないな、女の子と一緒の時はなるべく他の子は見ないようにしてるんでね」
龍也の言葉に目を開けて顔を見れば、風花の顔を見て頷いてくれた。
「そっか……どこに行ったんだろう、もし見かけたら俺が探してたって、伝え……」
明良の言葉が途中で途切れる。
「風花!?」
龍也の肩を掴み、抱き上げられた風花の姿を見つけた明良は切れ長の目を見開いた。
(あぁ、見つかっちゃったか……)
「アハ、ちょっと派手に転んじゃってさ、龍也君が保健室まで運んでくれてたんだよ」
「転んだって……」
訝しげに怪我の様子に視線を走らせた明良の視線が風花の腹部でピタリと止まった。
何を見ているのかと視線を向けると、風花の制服にはどう見ても靴跡としか見えない汚れがついていた。
「誰に……やられた……?」
あまりにも低い怒りを交えた声に、自分が怒られているわけでもないのに風花の身体が強張る。
明良の背後に何かわからない揺らぎのような物が見えた気がして、もしかしたら封印されている神気が漏れ出しているのかもしれない。
「明良落ち着け、風花ちゃんが怖がる」
龍也の指摘に目を見開き、様子を確認すると、明良はその場で目を瞑り大きく息を吐き出した。
それと同時に揺らぎも収まる。
「悪い、風花に怒ったわけじゃないんだ」
ゆっくりと風花に近づくと、龍也の腕から強引に身体を奪い取り抱き上げた。
「明良君!?」
ぐらりと身体が傾き明良の身体にしがみつく。
「危ないからしっかりと掴まってろ」
「いや、自分で歩けるから下ろして? って私の話きいてます!? もしも~し」
風花の訴えをガン無視して足早に歩きだす。
「強引な男は嫌われるぞ?」
「他の男に触らせるくらいなら嫌われたって構わないさ」
そう言って明良は風花を抱いたまま保健室へ向かった。
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