私にだって選ぶ権利はあるんです!~お仕置き中の神様に執着されました~

紅葉ももな(くれはももな)

神様は実在したのか!?

 高天原たかまがはらで思い浮かぶのは良く小説やゲームなどで、美女やイケメンな神様が住んでいる神の庭。


 智輝は純白の新雪のような着物に着替えており、神々しい。


 うさ耳に着物というコスプレ姿に白髪赤目のイケメンから風花は、目が放せず身悶えた。


「うさ耳だぁ」


「触られますか?」


「良いんですか!?」


 智輝は風花の手が届く高さまで頭を下げてくれたので、風花は気持ちタレ気味のうさ耳に恐る恐る手を伸ばした。 


 つるつるのベルベットのような至福の触り心地と血の通っているのがわかる温かみにうっとりして撫でる。


 撫でる手が止まらない風花の様子に、不機嫌まる出しにした明良は、風花の手を強引に掴んで屋敷の中へと進みだした。


 玄関で靴を脱ぐと五センチほどの小さな人達がわらわらと出てきて風花と明良の靴を何処かへと運んでいく。


「ありがとうございます!」


 明良に引きずられながら小さい人達にお礼を告げるとぴょんぴょん跳ねながら手を振ってくれる。


 そのあまりの可愛いさに、ひとりかふたりポケットに入れて持ち帰りたい衝動にかられる。


「明良君!」


「ダメだ」 


「え~! まだ何も言ってないのにって引っ張んな」


 痛さにジタバタと暴れると、明良は舌打ちする。 


 智輝はそんな二人の様子を見てニコニコしてる。


「かーむーいーちゃーん!」


 前方から女性特有の高い大きな声が屋敷の廊下に響き渡った。


「なにごと!?」


 次第に近付いてくる振動に右往左往していると、何故か明良は風花の背後に回り込み中腰で隠れてしまった。


「ちょっと明良君!? ってうわぁぷ!」


 明良に抗議しようとした次の瞬間何かが前方から突撃してきた。


「神威ちゃーん良く帰ってきたね。 どう課題は順調? ママ心配で心配で……って神威ちゃん小さくなってない?」


 着物は胸とくびれの凹凸の差が少ないほうがきれいに着ることが出来るため胸部が豊かな人はさらしで潰すかウエストにタオルを巻く。


 しかし風花の顔が埋まっている胸部はそんなことを一切気にしていないようで服越しでもさらしで圧迫していないことがわかる。
 
(くっ、苦しい。 鼻と口が胸部兵器で塞がれて思うように息ができない)


「輝夜様、そちらは神威様のご学友で風花様です。 神威様はこちらですので風花様を解放してあげてください」 
   
「因幡の裏切り者!」


 どうやら智輝もとい因幡が明良を、神威を生贄に差し出しながら風花を救出しようとしているらしい。


「えっ、あらごめんなさい……って女の子じゃないの! 可愛いわぁ、ちゃんと私の出した課題やってたのね。 心配してそんしちゃったわ」


 なんとか神威のお母様らしい輝夜の抱擁から抜け出すと、今度は神威が捕まっていた。


「だぁ、離して下さい母上! 課題が済むまでは高天原へ帰ってくるなと言ったのは母上でしょう、それを急に呼び戻すなど何かあったのではないのですか!」


 ゼイゼイと息を切らせて輝夜神の拘束から逃れた神威は不機嫌そうに言うと輝夜を睨み付けた。


「なぁに反抗期? 貴方が倒れたと聞いてママ心配で心配で因幡に連れてきてもらったの。 人の身体は私達神のものと比べ物にならないくらい脆いんだから気をつけなきゃだめよ?」


 目の前で繰り広げられている当たり前の親子の触れ合いに、風花はどこからツッコミを入れていいのか悩む。


「因幡さん、因幡さんや輝夜さんって神様なんですか?」


「はい、そうですよ。 あまり知られておりませんが輝夜神様は我が主神だった天照大御神様からこの高天原を継承され今は太陽系を含む宇宙を管理統括されております」


「あき、神威君は?」


「神威様は……」
 



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