私にだって選ぶ権利はあるんです!~お仕置き中の神様に執着されました~
イケメンとは謎の生命体をさす言葉のようです。
それから二人で近くのファミレスへ入ってハンバーグとグラタンとカルボナーラを頼んだ私を驚愕の目で見てきた。
明良の前には小振りなハンバーグと一口大の角切りステーキとウインナーが乗ったコンボプレートなるものと、サラダと焼きたてパンとコーンスープのセットが並んでいる。
「美味しそー! いただきます!」
きちんと両手を合わせて元気よく食前の挨拶をしてフォークを握れば、目の前で肩を震わせる明良がいる。
「なによ?」
「なっ、何でもない……さぁ食べよう」
目尻に浮かんだ涙を軽くぬぐった明良は綺麗な所作で食べ始めた。
その仕草に見とれながらも次々と料理をたいらげる。
ハンバーグはジューシーだし、グラタンに乗った海老はプリプリで美味しい。
カルボナーラの濃厚なソースとトロトロの半熟玉子が美味すぎる。
途中から明良の存在をすっかり忘れて食事を堪能してしまった。
ひと通り食べてから明良の存在を思い出して顔を上げればにこやかに風花を見ていて、調子が狂う。
「あっ、デザートなんにする?」
照れ隠しもかねてメニュー表を手渡す。
「まだ食べんのかよ」
「うん、デザートは別腹よ、すみませんアイスクリーム追加でお願いします。 明良君はどうする?」
「……パフェは止めたのか?」
「んー、今度にするわ。 それで? なんにするの?」
「……アイスコーヒー」
ホール内を巡回していた店員さんを呼び止めてさっさと注文すれば、明良が苦笑いしている。
「本当にお前って規格外だわ、なぁ付き合ってくんない?」
「付き合うって、これだけさんざん朝から振り回しといてまだどこかに行くつもり?」
「違う違う、俺の彼女になる気ないか?」
「……」
「……」
はっきり言って意味がわからない。
「ごめん、どうやら体調が悪いのかな? 変な言葉が聞こえてきたんだけどもう一度お願いできる?」
そうとう疲れているのか、とうとう幻聴まで聞こえ始めたようだ。
「三咲風花さん、俺の彼女になってください」
(かの、じょ……かのじょ、彼女!?)
「無理!」
「なにが無理だって言うんだよ。 なにが不満なの?」
「えっ、全部無理!」
(どうした明良君、気を確かに持つんだ! 正気に戻れ! カムバック!)
「全部ってひでぇ、風花は俺をもてあそんだのか……」
「ちょっ、人聞き悪いこと言わないでくんない!? ……ひゃ!」
いきなり呼び捨てして問題発言を始めた明良の言葉を遮ろうと風花は反射的に唇を突き出した右手のひらで塞ぐと、手のひらをちろりと舐められた。
慌てて引こうとした手は明良に捕まれて逃げられない。
「俺本気だから、風花は面白いからな」
真剣な目で見つめられ風花は本気で困った。
「あっアイスが来たよ。 溶けないうちに食べた方がいい」
取り戻した右手にデザート用の銀色のスプーンを握らされアイスを勧められた。
(味なんかわかるか!)
食後のアイスをなんとか完食した風花の思考回路が復活する頃には、明良は既に風花の分まで会計を済ませていた。
(さっき割り勘って言ってなかったっけ?)
何故か風花を家まで送ると言って聞かない明良に、買ったばかりのゲームを人質に取られて自宅まで送ってもらう。
「今日は楽しかった。 またな風花」
「……さようなら」
踵を返して帰っていく明良が見えなくなるまで見送って家のなかに入る。
「おっ、姉ちゃんお帰り」
リビングでスマートフォンをいじっていた弟の空也がソファーに座ったまま首だけ後ろにそらすようにして声をかけてきた。
「ただいま……」
「……なんか有った? また変なもん拾い食いしたのか?」
「拾い食いなんてしないわよ」
「ふーん、まぁいっか。 あっ、母ちゃんが仕事で遅くなるってさ、宅配ピザでも頼もうか?」
「うーん私お腹減ってないからいいや、ごめんね、先に寝るわ」
(なんだろう凄くだるくて眠い……)
発売を心待ちにしていた筈のゲームのパッケージすら開けずに風花はベッドへ倒れこんだ。
  
明良の前には小振りなハンバーグと一口大の角切りステーキとウインナーが乗ったコンボプレートなるものと、サラダと焼きたてパンとコーンスープのセットが並んでいる。
「美味しそー! いただきます!」
きちんと両手を合わせて元気よく食前の挨拶をしてフォークを握れば、目の前で肩を震わせる明良がいる。
「なによ?」
「なっ、何でもない……さぁ食べよう」
目尻に浮かんだ涙を軽くぬぐった明良は綺麗な所作で食べ始めた。
その仕草に見とれながらも次々と料理をたいらげる。
ハンバーグはジューシーだし、グラタンに乗った海老はプリプリで美味しい。
カルボナーラの濃厚なソースとトロトロの半熟玉子が美味すぎる。
途中から明良の存在をすっかり忘れて食事を堪能してしまった。
ひと通り食べてから明良の存在を思い出して顔を上げればにこやかに風花を見ていて、調子が狂う。
「あっ、デザートなんにする?」
照れ隠しもかねてメニュー表を手渡す。
「まだ食べんのかよ」
「うん、デザートは別腹よ、すみませんアイスクリーム追加でお願いします。 明良君はどうする?」
「……パフェは止めたのか?」
「んー、今度にするわ。 それで? なんにするの?」
「……アイスコーヒー」
ホール内を巡回していた店員さんを呼び止めてさっさと注文すれば、明良が苦笑いしている。
「本当にお前って規格外だわ、なぁ付き合ってくんない?」
「付き合うって、これだけさんざん朝から振り回しといてまだどこかに行くつもり?」
「違う違う、俺の彼女になる気ないか?」
「……」
「……」
はっきり言って意味がわからない。
「ごめん、どうやら体調が悪いのかな? 変な言葉が聞こえてきたんだけどもう一度お願いできる?」
そうとう疲れているのか、とうとう幻聴まで聞こえ始めたようだ。
「三咲風花さん、俺の彼女になってください」
(かの、じょ……かのじょ、彼女!?)
「無理!」
「なにが無理だって言うんだよ。 なにが不満なの?」
「えっ、全部無理!」
(どうした明良君、気を確かに持つんだ! 正気に戻れ! カムバック!)
「全部ってひでぇ、風花は俺をもてあそんだのか……」
「ちょっ、人聞き悪いこと言わないでくんない!? ……ひゃ!」
いきなり呼び捨てして問題発言を始めた明良の言葉を遮ろうと風花は反射的に唇を突き出した右手のひらで塞ぐと、手のひらをちろりと舐められた。
慌てて引こうとした手は明良に捕まれて逃げられない。
「俺本気だから、風花は面白いからな」
真剣な目で見つめられ風花は本気で困った。
「あっアイスが来たよ。 溶けないうちに食べた方がいい」
取り戻した右手にデザート用の銀色のスプーンを握らされアイスを勧められた。
(味なんかわかるか!)
食後のアイスをなんとか完食した風花の思考回路が復活する頃には、明良は既に風花の分まで会計を済ませていた。
(さっき割り勘って言ってなかったっけ?)
何故か風花を家まで送ると言って聞かない明良に、買ったばかりのゲームを人質に取られて自宅まで送ってもらう。
「今日は楽しかった。 またな風花」
「……さようなら」
踵を返して帰っていく明良が見えなくなるまで見送って家のなかに入る。
「おっ、姉ちゃんお帰り」
リビングでスマートフォンをいじっていた弟の空也がソファーに座ったまま首だけ後ろにそらすようにして声をかけてきた。
「ただいま……」
「……なんか有った? また変なもん拾い食いしたのか?」
「拾い食いなんてしないわよ」
「ふーん、まぁいっか。 あっ、母ちゃんが仕事で遅くなるってさ、宅配ピザでも頼もうか?」
「うーん私お腹減ってないからいいや、ごめんね、先に寝るわ」
(なんだろう凄くだるくて眠い……)
発売を心待ちにしていた筈のゲームのパッケージすら開けずに風花はベッドへ倒れこんだ。
  
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