元喪女に王太子は重責過ぎやしませんかね!?
夕闇が深くなってきた事もあり、その晩は予定していた街道沿いの宿でレイナス王国の使節団とアンナローズ様率いる双太陽神教会の大司教一行は一夜をともにすることになった。
アンナローズ様と情報交換を行いながら晩餐を楽しんだ。
アンナローズ様の口から語られるロブルバーグ様は相変わらずで、聞いていて和む。
次はレイス王国の南部に位置するグランテ王国に向かわなくてはいけないらしく、翌朝は日の出とともにすぐに旅立って行かれた。
昨晩得た情報では、グランテ王国は大陸の東海に面した国で、国境を面した大国ゾライヤ帝国との争いが絶えず、双太陽神教が戦争によって親を失った子供を孤児院に引き取っているらしい。
海が近い事もあり作物が育ちにくく、近年大規模な干魃に見舞われたかの国は食糧難に陥っているようだ。
塩害だけでなく干魃が重なった事で国民は飢えるしかなく、奴隷制が合法なグランテ王国では、食うに困った親が子どもを奴隷として売るのだ。
そしてかの国の王は政治を好まないらしく、王の監視が緩いことを知っている貴族達が私利私欲に走り、民に重税と苦役を強いている。
民は苦役から逃れるために、奴隷を買い自分の代わりに苦役を強いている。
ない食料を得るために戦争に奴隷を投入し、各貴族達が他国から奪う。
そんな中双太陽神教会の孤児院が襲撃され孤児院の子供達が行方不明になる事件が多発しているらしく、アンナローズ様が対処に向かうそうだ。
「奴隷制……まだあるんだな」
「そうですね、レイナス王国も数代前の国主の時代には存在いたしましたし、奴隷制は旧時代的だという風潮もあってか、廃止する国も増えてきています」
ゼスト殿と馬上で話しながら、帰国の旅路を順調に消化していった。
何事もなくレイス王国とレイナス王国との間に挟まるように存在するドラグーン王国への国境を隔てる街に近づいたとき、先触れとして一日先行していたはずの兵が駆け戻ってきた。
「シオル殿下!」
「どうした、何があった?」
「ドラグーン王国への国境が、閉ざされました!」
早馬の伝令の言葉に一行の間に困惑が走る。
「理由は?」
「わかりませんが、商人や高官はもとより一般民まで全て入国を止められているようです」
「……ロンダーク予定変更、今晩は国境の街より一つ手前に宿を取ります、手配を!」
「はっ!」
「ゼスト殿、何名か国境まで先行させ、情報収集、事態の把握に努めてください。 嫌な予感がする……レイナス王国民だとわかるような物は全て馬車へ隠します」
「御意!」
私の指令に使節団に、緊張が走る。
今何かが、起きている。
「よく知らせてくれた、君は少し休みなさい」
ここまで知らせに来た兵が、ゼスト殿が指示した一行とともに駆け出そうとするのを止める。
「ですが……」
「命令だ」
「はい……」
兵に休息を強制し、私はえもいえぬ漠然とした胸騒ぎを抑えながら、国境があるはずの方角を睨んだ。
悪い予感が当たっていたと分かったのは、宿についたすぐあとだった。
「ドラグーン王国挙兵、レイス王国への進軍を始めた模様です!」
アンナローズ様と情報交換を行いながら晩餐を楽しんだ。
アンナローズ様の口から語られるロブルバーグ様は相変わらずで、聞いていて和む。
次はレイス王国の南部に位置するグランテ王国に向かわなくてはいけないらしく、翌朝は日の出とともにすぐに旅立って行かれた。
昨晩得た情報では、グランテ王国は大陸の東海に面した国で、国境を面した大国ゾライヤ帝国との争いが絶えず、双太陽神教が戦争によって親を失った子供を孤児院に引き取っているらしい。
海が近い事もあり作物が育ちにくく、近年大規模な干魃に見舞われたかの国は食糧難に陥っているようだ。
塩害だけでなく干魃が重なった事で国民は飢えるしかなく、奴隷制が合法なグランテ王国では、食うに困った親が子どもを奴隷として売るのだ。
そしてかの国の王は政治を好まないらしく、王の監視が緩いことを知っている貴族達が私利私欲に走り、民に重税と苦役を強いている。
民は苦役から逃れるために、奴隷を買い自分の代わりに苦役を強いている。
ない食料を得るために戦争に奴隷を投入し、各貴族達が他国から奪う。
そんな中双太陽神教会の孤児院が襲撃され孤児院の子供達が行方不明になる事件が多発しているらしく、アンナローズ様が対処に向かうそうだ。
「奴隷制……まだあるんだな」
「そうですね、レイナス王国も数代前の国主の時代には存在いたしましたし、奴隷制は旧時代的だという風潮もあってか、廃止する国も増えてきています」
ゼスト殿と馬上で話しながら、帰国の旅路を順調に消化していった。
何事もなくレイス王国とレイナス王国との間に挟まるように存在するドラグーン王国への国境を隔てる街に近づいたとき、先触れとして一日先行していたはずの兵が駆け戻ってきた。
「シオル殿下!」
「どうした、何があった?」
「ドラグーン王国への国境が、閉ざされました!」
早馬の伝令の言葉に一行の間に困惑が走る。
「理由は?」
「わかりませんが、商人や高官はもとより一般民まで全て入国を止められているようです」
「……ロンダーク予定変更、今晩は国境の街より一つ手前に宿を取ります、手配を!」
「はっ!」
「ゼスト殿、何名か国境まで先行させ、情報収集、事態の把握に努めてください。 嫌な予感がする……レイナス王国民だとわかるような物は全て馬車へ隠します」
「御意!」
私の指令に使節団に、緊張が走る。
今何かが、起きている。
「よく知らせてくれた、君は少し休みなさい」
ここまで知らせに来た兵が、ゼスト殿が指示した一行とともに駆け出そうとするのを止める。
「ですが……」
「命令だ」
「はい……」
兵に休息を強制し、私はえもいえぬ漠然とした胸騒ぎを抑えながら、国境があるはずの方角を睨んだ。
悪い予感が当たっていたと分かったのは、宿についたすぐあとだった。
「ドラグーン王国挙兵、レイス王国への進軍を始めた模様です!」
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