元喪女に王太子は重責過ぎやしませんかね!?
アンジェリカと別れてロンダークさんとマーシャル皇国を隔てるラウンド山脈を越えてレイナス王国へ帰ってきた。
一見平和に見える国内だけど、ドラグーン王国の王位争いを不安視しているのがわかる。
街道沿いの街や村に立ち寄って休みながら無事にレイナス王国の王都レイナスへ帰ってきた。
王都の周りをぐるりと囲んだ城壁は変わりなくてホッと息を吐いた。
王都への出入りを監視するために作られた外門ではそれを守る衛兵が検問所を設けていて不審者のチェックをしてる。
王都に入る為に多数の商人や平民が順番を待って並んでいた。
検問所は東西南北それぞれに設置されていて私とロンダークさんが居るのはマーシャル皇国側にある南門だ。
主に検問所の受付は商人と一般人用で二箇所、王侯貴族用に一箇所設けられている。
ロンダークさんは迷うことなく騎乗したまま王侯貴族用の受付に進むと、ジブンの長剣を見せて私を促して王都へと足を踏み入れた。
「いつも思うけど、貴族の受付は簡単だね」
「そうですね、どこの貴族家かわかる家紋があれば入れますから」
「例えばだけどさ、王都へ来る途中、または王都から出る際に襲撃されて家紋が書かれた馬車を盗まれたとするじゃない? その場合貴族の受付は馬車の確認はするの?」
「簡素化されますが、入国に関しては確認されます……出る際はどうだったか」
「ロンダークさんがあやふやってことは徹底されてない可能性があるんだね」
「申し訳ありません、帰城次第確認いたします」
二人で真っ直ぐに王都の大通りを駆け抜けて抜けて城へ戻れば、私が帰還した知らせを聞いて真っ先に飛び出してきたのは我が妹キャロラインだった。
「お兄様!」
ツルツルに磨かれた大理石の通路をピンク色のドレスのスカートを持ち上げてヒールの靴で走る速度を落とすことなく器用にカーブを曲がりこちらへと駆けてくる。
「キャロ!」
猪のように激突してきたキャロラインを受け止めてくるりと回って勢いを相殺させる。
レイナス王国までの帰り道で襲撃された際に追った傷は完治しているし、手元に返ってきたシルバで訓練もしているから体力ももどり安心してキャロラインの腰に手を回し身体を抱き上げた。
「キャロただいま」
「おかえりなさいませ! ミリアーナ叔母様を逃がす為にお兄様が囮になったと聞かされてキャロは心配していたんですよ! 雑草並みにしぶといお兄様がそう簡単に死なないのは知ってますけど、キャロは、キャロは! うぇぇぇん」
そこまで言って目に溜まった涙が決壊したようで私の肩には寄りかかって泣き出してしまった。
「ごめんね、心配かけたんだね」
背中をポンポンと優しく叩いて、なんとか宥める。
「シオル!」
キャロラインを宥めて居ると血相を変えたアルトバール父様とリステリア母様が走って来てくれた。
「ただいま戻りました」
リステリア母様はそのまま私とキャロラインを抱き締めてくれた。
「良く無事で! もう、母をこんなにも心配させるなんて、貴方は赤ん坊のときからちっとも変わらないんだから! 無事でよかった」
ぎゅうっと更に力を加えられてちょっとだけ苦しいけど、それだけ心配を掛けてしまったんだろう。
「シオル、ここではなんだから執務室で話を聞きたい」
「はい! 陛下、シオルただいま帰参いたしました」
父様の声にリステリア母様とキャロラインの拘束が解かれたので、帰還の挨拶を告げる。
「無事で何よりだが……」
頭を垂れた私の頭上にアルトバール父様の手刀が落ちた。
「痛ッたぁ~!」
「心配かけさせるなバカ息子」
泣くまいと堪えているような複雑な表情で私から視線を外す。
「はい、ごめんなさい」
そんな様子を城で働く皆に見守られながら、私は自分の家に帰ってきた。
一見平和に見える国内だけど、ドラグーン王国の王位争いを不安視しているのがわかる。
街道沿いの街や村に立ち寄って休みながら無事にレイナス王国の王都レイナスへ帰ってきた。
王都の周りをぐるりと囲んだ城壁は変わりなくてホッと息を吐いた。
王都への出入りを監視するために作られた外門ではそれを守る衛兵が検問所を設けていて不審者のチェックをしてる。
王都に入る為に多数の商人や平民が順番を待って並んでいた。
検問所は東西南北それぞれに設置されていて私とロンダークさんが居るのはマーシャル皇国側にある南門だ。
主に検問所の受付は商人と一般人用で二箇所、王侯貴族用に一箇所設けられている。
ロンダークさんは迷うことなく騎乗したまま王侯貴族用の受付に進むと、ジブンの長剣を見せて私を促して王都へと足を踏み入れた。
「いつも思うけど、貴族の受付は簡単だね」
「そうですね、どこの貴族家かわかる家紋があれば入れますから」
「例えばだけどさ、王都へ来る途中、または王都から出る際に襲撃されて家紋が書かれた馬車を盗まれたとするじゃない? その場合貴族の受付は馬車の確認はするの?」
「簡素化されますが、入国に関しては確認されます……出る際はどうだったか」
「ロンダークさんがあやふやってことは徹底されてない可能性があるんだね」
「申し訳ありません、帰城次第確認いたします」
二人で真っ直ぐに王都の大通りを駆け抜けて抜けて城へ戻れば、私が帰還した知らせを聞いて真っ先に飛び出してきたのは我が妹キャロラインだった。
「お兄様!」
ツルツルに磨かれた大理石の通路をピンク色のドレスのスカートを持ち上げてヒールの靴で走る速度を落とすことなく器用にカーブを曲がりこちらへと駆けてくる。
「キャロ!」
猪のように激突してきたキャロラインを受け止めてくるりと回って勢いを相殺させる。
レイナス王国までの帰り道で襲撃された際に追った傷は完治しているし、手元に返ってきたシルバで訓練もしているから体力ももどり安心してキャロラインの腰に手を回し身体を抱き上げた。
「キャロただいま」
「おかえりなさいませ! ミリアーナ叔母様を逃がす為にお兄様が囮になったと聞かされてキャロは心配していたんですよ! 雑草並みにしぶといお兄様がそう簡単に死なないのは知ってますけど、キャロは、キャロは! うぇぇぇん」
そこまで言って目に溜まった涙が決壊したようで私の肩には寄りかかって泣き出してしまった。
「ごめんね、心配かけたんだね」
背中をポンポンと優しく叩いて、なんとか宥める。
「シオル!」
キャロラインを宥めて居ると血相を変えたアルトバール父様とリステリア母様が走って来てくれた。
「ただいま戻りました」
リステリア母様はそのまま私とキャロラインを抱き締めてくれた。
「良く無事で! もう、母をこんなにも心配させるなんて、貴方は赤ん坊のときからちっとも変わらないんだから! 無事でよかった」
ぎゅうっと更に力を加えられてちょっとだけ苦しいけど、それだけ心配を掛けてしまったんだろう。
「シオル、ここではなんだから執務室で話を聞きたい」
「はい! 陛下、シオルただいま帰参いたしました」
父様の声にリステリア母様とキャロラインの拘束が解かれたので、帰還の挨拶を告げる。
「無事で何よりだが……」
頭を垂れた私の頭上にアルトバール父様の手刀が落ちた。
「痛ッたぁ~!」
「心配かけさせるなバカ息子」
泣くまいと堪えているような複雑な表情で私から視線を外す。
「はい、ごめんなさい」
そんな様子を城で働く皆に見守られながら、私は自分の家に帰ってきた。
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