元喪女に王太子は重責過ぎやしませんかね!?
ドラグーン王国の王都を出発して南下し、私たちは木々が生い茂る林の中で休憩をとっている。
目を覚ましたミリアーナ叔母様は少しの間、現状についていけず混乱しているようだったが、ロンダークさんの姿を確認して安心したのか、休憩中である今もペッタリとロンダークさんに貼り付いている。
骨折している足を添え木で固定し直すと、少し痛みが引いたのかホッとしたようにミリアーナ叔母様が息をついた。
衣類の類いはほとんど入っていないがかわりに背負子には潤沢なほど食糧が入っていたため、順調に行けばドラグーン王国を抜けるまで、食糧の補給は必要無さそうだし、もしもの時は狩ればいい。
痛み止めの薬効があるお茶もあるが、はっきりいって妊婦が飲んでも大丈夫かわからない。
普通なら日が高いうちに移動するのが基本だが、昼間の移動は人目につきやすいため、私たちは太陽が沈んでから移動することに決めた。
ありがたいことにそろそろ双子太陽が昇る季節、夜も月のような役割を果す天体が双子太陽のお陰で、いつもより太陽の光を反射して辺りを照らしてくれるので視界に困ることはない。
林を抜けてなるべく踏み固められた商人たちが行商に使う道を馬で進む。 足を骨折しているミリアーナ叔母様には馬上で揺られる移動はどうしても負担が大きい。
山賊やならず者、城からの襲撃を警戒しながら少しずつ確実に距離を進むのなら、皆が寝静まる時間に距離を稼ぎ、出来れば秘密裏にドラグーン王国から出国したいのが本音だ。
王都を出て三日、ドラグーン王国とマーシャル皇国との国境となる街には沢山の行商人がひしめき合っている。
街の外壁の外側でミリアーナ叔母様と留守番をしながら、視察に向かったロンダークさんを待った。
「ミリアーナ様、お腹が空いたりしていませんか?」
「だいじょーぶ!」
無邪気な笑顔で答えるミリアーナ叔母様は男装をしていても昔のような凛々しさや覇気はない。
乾燥させた木の実を二人で摘まんでいると、暗い顔をしたロンダークさんが戻ってきた。
手には買ってきたのだろう肉に串を指して焼いた物や、補充分の食糧、そして甘い菓子を持っていた。
「うわーい、美味しそう!」
きゃっきゃとはしゃぐミリアーナ叔母様が串焼きにかぶりついた。
「国境は越えられそうですか?」
木の実を私の肩の上がすっかり定位置になってしまったピンクのドラゴン、サクラに宛がう。
サクラは肉は食べないようで木の実や大豆に似ているがそら豆程に粒が大きいソイ豆を好んで食べる。
「いえ、関門を突破するのは難しいかと思います。 行き来する者たちはみな厳しい審査が行われていますね。 なんでも白髪の女性と赤髪の少年を捜しているようです」
どうやら危惧していた通り手配が回されているようだ……待てよ? 白髪の女性と言ったよね。
「審査はどのようにされていたかわかりますか? 似顔絵とか? 服を脱がせたり?」
「いえ、同じような特徴の人物を止めて、積み荷は中身を確認しているようです。 似顔絵は持っていませんでしたし、服を脱がせたりはしていませんでした」
「身体を触ったりする審査は?」
「特徴が一致して別室に連行された者たちはわかりませんが、それ以外は無かったように思います」
ふむ、それならいけるかな?
串焼きにかぶりつきながら色々考えていると、ロンダークさんが肉汁で汚れたミリアーナ叔母様の口許を優しく拭いている。
……うん、ありかもしれない。 レイナス王国に戻ったら進言してみよう。
「シオル様、何かたくらんでは居ませんか?」
「なっ、なんのことかな? あは、アハハハハ」
笑ってごまかしつつも今後の行動を考えながら交代で眠りについた。
目を覚ましたミリアーナ叔母様は少しの間、現状についていけず混乱しているようだったが、ロンダークさんの姿を確認して安心したのか、休憩中である今もペッタリとロンダークさんに貼り付いている。
骨折している足を添え木で固定し直すと、少し痛みが引いたのかホッとしたようにミリアーナ叔母様が息をついた。
衣類の類いはほとんど入っていないがかわりに背負子には潤沢なほど食糧が入っていたため、順調に行けばドラグーン王国を抜けるまで、食糧の補給は必要無さそうだし、もしもの時は狩ればいい。
痛み止めの薬効があるお茶もあるが、はっきりいって妊婦が飲んでも大丈夫かわからない。
普通なら日が高いうちに移動するのが基本だが、昼間の移動は人目につきやすいため、私たちは太陽が沈んでから移動することに決めた。
ありがたいことにそろそろ双子太陽が昇る季節、夜も月のような役割を果す天体が双子太陽のお陰で、いつもより太陽の光を反射して辺りを照らしてくれるので視界に困ることはない。
林を抜けてなるべく踏み固められた商人たちが行商に使う道を馬で進む。 足を骨折しているミリアーナ叔母様には馬上で揺られる移動はどうしても負担が大きい。
山賊やならず者、城からの襲撃を警戒しながら少しずつ確実に距離を進むのなら、皆が寝静まる時間に距離を稼ぎ、出来れば秘密裏にドラグーン王国から出国したいのが本音だ。
王都を出て三日、ドラグーン王国とマーシャル皇国との国境となる街には沢山の行商人がひしめき合っている。
街の外壁の外側でミリアーナ叔母様と留守番をしながら、視察に向かったロンダークさんを待った。
「ミリアーナ様、お腹が空いたりしていませんか?」
「だいじょーぶ!」
無邪気な笑顔で答えるミリアーナ叔母様は男装をしていても昔のような凛々しさや覇気はない。
乾燥させた木の実を二人で摘まんでいると、暗い顔をしたロンダークさんが戻ってきた。
手には買ってきたのだろう肉に串を指して焼いた物や、補充分の食糧、そして甘い菓子を持っていた。
「うわーい、美味しそう!」
きゃっきゃとはしゃぐミリアーナ叔母様が串焼きにかぶりついた。
「国境は越えられそうですか?」
木の実を私の肩の上がすっかり定位置になってしまったピンクのドラゴン、サクラに宛がう。
サクラは肉は食べないようで木の実や大豆に似ているがそら豆程に粒が大きいソイ豆を好んで食べる。
「いえ、関門を突破するのは難しいかと思います。 行き来する者たちはみな厳しい審査が行われていますね。 なんでも白髪の女性と赤髪の少年を捜しているようです」
どうやら危惧していた通り手配が回されているようだ……待てよ? 白髪の女性と言ったよね。
「審査はどのようにされていたかわかりますか? 似顔絵とか? 服を脱がせたり?」
「いえ、同じような特徴の人物を止めて、積み荷は中身を確認しているようです。 似顔絵は持っていませんでしたし、服を脱がせたりはしていませんでした」
「身体を触ったりする審査は?」
「特徴が一致して別室に連行された者たちはわかりませんが、それ以外は無かったように思います」
ふむ、それならいけるかな?
串焼きにかぶりつきながら色々考えていると、ロンダークさんが肉汁で汚れたミリアーナ叔母様の口許を優しく拭いている。
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