元喪女に王太子は重責過ぎやしませんかね!?
さて、やっと辿り着きました。 ドラグーン王国!
えっ? 早いって? そんなことはありませんよ。
だってさぁ。 出発直前まで父様に纏わり付かれて鬱陶しいし、キャロラインにはなぜか、そうなぜか格好いい美男子の婿を捜してこいと言われるし、美男子? レイス王国に一人心当たりはいるけどあれはなぁ。
ドラグーン王国で別れてから会う機会もなかったし、一応手紙のやり取りの連絡はしているけど、あいつにキャロラインは勿体無い。
ちなみに母様は……普通だった。
もう少し別れを哀しむなり心配するなりしても良くはありませんか? と思いますよ。
本来ならば従者を沢山つけて豪華な馬車に大量の荷物を持って仰々しくドラグーン王国へ向かうらしいんだけど、それって盗賊や山賊に襲ってくださいと言っているようなものだよね。
だからこそ凄い人数の随伴がいるのかも知れないけれど、行商人に交じって目立たないようにして必要最低限の随伴に抑えれば旅費として使われる税金が浮く。
馬車に乗るよりも単騎で野原を駆け回るほうが楽しいし。
汚れるのが分かりきっているので、豪華な衣装は着ていない。
名乗りさえしなければちょっと裕福な商家の息子位にしか見えないだろう。
せっかく十歳から成人する十五歳までの五年間も貴重な時間を貰えたんだから学園生活を満喫するっきゃないでしょう。
と言うわけで只でさえひとりひとりが脳筋で過剰戦力な護衛が五人とお目付け役は父様の信頼も厚い騎士、ロンダーク・ビオスさん。
昔から父様の暴走阻止要員兼お目付け役としての役目を任されてきたある意味可哀想な人。
ロンダークさんは年齢的には父様とさして変わらないらしいがピチピチの独身貴族だったりする。
文武両道に優れており、見目も良いためモテそうなのに独身貴族な人。
しかし昔から父様の手綱を握ってきた腕は伊達じゃない。
今回の随伴者のなかで一番の実力者だろう。
シリウス伯父様の許可を取り、道中小さな街や村に立ち寄っては、危ないからと渋るロンダークさんを伴って酒場へと潜入して色々な話を聞いた。
近所の誰それが結婚したといったような身近な話題から始まって、どこの村が山賊に襲われたと言った話題。
娯楽の少ないこの世界で民の情報収集力は中々に侮れない。
「おい坊主! あそこで突っ立ってるお前の父ちゃんを呼んでこい。 酒だ酒だ!」
すっかり出来上がってる酔っぱらいの言葉に多感な御年頃のロンダークさんは気分を害したのか、疲れきったように大きな溜め息をはいて押し黙った。
このような場所には子供だけで出入りなど出来ない。
だからといって王子である事を晒す訳にはいかない。
それならば父親としておいたほうが相手も油断してくれる。
「おっちゃんこれ旨いね」
「だろう! 塩茹でしただけの簡単な料理なんだが旨いんだよこれが!」
そら豆サイズの大ぶりな豆は、塩ゆですると素材の甘みを強調されて枝豆のようで旨い。
「この豆はここいらの特産なのかい?」
「あぁ、森に入りゃぁそこら辺にぶら下がっとるよ」
うむ、自生植物なのだろうか? なんにしてもこれは是非レイナスで栽培できるならしてみたい。
「乾燥させた豆ならそこいらの店で安く売ってるぜ?」
マジですか、それは是非買って行かねば!
酒場の酔っぱらい達に御礼を言って訪ねたそこいらの店から枝豆を乾燥させた大豆を買えるだけ買い込んだ。
「シオル様、いくらなんでもそんなに買い込んで一体どうするつもりですか?」
「ふふふ、秘密」
フフフフフッ! 大豆、やっと見つけた!
「はぁ、お願いですからあまり問題を起こさないで下さいね」
人聞きの悪い、わたしがいつ問題を起こしたと?
どうやら不満が顔に出ていたようで盛大に呆れられた。
「王宮の糞尿を嬉々として集めては眺めてみたり。 それを王宮の庭園の至るところにばら蒔かれて異臭を放ってみたり」
いや、それは違うぞ! 糞尿を集めたのは可愛いキャロラインに私の身に文字通り降りかかったあの悲劇を繰り返させない為にも必要だったと力説しよう!
それにばら蒔いたんじゃなくて追肥したのだよ。
「そのお陰で豊作だったじゃないですか」
「えぇ、そうですね。 結果的にはあの奇行がもたらした成果であるのは認めますけど一国の王太子が時間が空くと肥溜めの前で中身を覗き込みながら、ニヤニヤとなにらや書き付けている姿ははっきりいって不評でしたよ」
「うっ、それはすいません」
「臣下に敬語を使用しないで下さい」
「すっ、すまない」
言葉遣いも注意されつつ戦利品を積み込み、途中前回ドラグーン王国を訪問した時に立ち寄った村で歓待を受けました。
肥溜めの効果か疫病や病気が減り、腹を下す子供が減ったようです。
また近年は周辺の村や町に比べてこの村だけ豊作が続き、豊作の秘訣を探るために他の土地から移住した人達によって開拓も進み、村が大きくなっていて驚きました。
どうやら出生率も上がったようで子供がわんさか出迎えてくれました。
これはムクロジ効果だね多分。
ついでなのでムクロジも少し買い取りましたが、価格が高騰しているらしく良い御値段でした。
さて無事に王都までたどり着いた為、道中ご一緒した行商人に御礼をして、別れを告げて旅の汚れを落とし、数年ぶりの王城へ向かった。
えっ? 早いって? そんなことはありませんよ。
だってさぁ。 出発直前まで父様に纏わり付かれて鬱陶しいし、キャロラインにはなぜか、そうなぜか格好いい美男子の婿を捜してこいと言われるし、美男子? レイス王国に一人心当たりはいるけどあれはなぁ。
ドラグーン王国で別れてから会う機会もなかったし、一応手紙のやり取りの連絡はしているけど、あいつにキャロラインは勿体無い。
ちなみに母様は……普通だった。
もう少し別れを哀しむなり心配するなりしても良くはありませんか? と思いますよ。
本来ならば従者を沢山つけて豪華な馬車に大量の荷物を持って仰々しくドラグーン王国へ向かうらしいんだけど、それって盗賊や山賊に襲ってくださいと言っているようなものだよね。
だからこそ凄い人数の随伴がいるのかも知れないけれど、行商人に交じって目立たないようにして必要最低限の随伴に抑えれば旅費として使われる税金が浮く。
馬車に乗るよりも単騎で野原を駆け回るほうが楽しいし。
汚れるのが分かりきっているので、豪華な衣装は着ていない。
名乗りさえしなければちょっと裕福な商家の息子位にしか見えないだろう。
せっかく十歳から成人する十五歳までの五年間も貴重な時間を貰えたんだから学園生活を満喫するっきゃないでしょう。
と言うわけで只でさえひとりひとりが脳筋で過剰戦力な護衛が五人とお目付け役は父様の信頼も厚い騎士、ロンダーク・ビオスさん。
昔から父様の暴走阻止要員兼お目付け役としての役目を任されてきたある意味可哀想な人。
ロンダークさんは年齢的には父様とさして変わらないらしいがピチピチの独身貴族だったりする。
文武両道に優れており、見目も良いためモテそうなのに独身貴族な人。
しかし昔から父様の手綱を握ってきた腕は伊達じゃない。
今回の随伴者のなかで一番の実力者だろう。
シリウス伯父様の許可を取り、道中小さな街や村に立ち寄っては、危ないからと渋るロンダークさんを伴って酒場へと潜入して色々な話を聞いた。
近所の誰それが結婚したといったような身近な話題から始まって、どこの村が山賊に襲われたと言った話題。
娯楽の少ないこの世界で民の情報収集力は中々に侮れない。
「おい坊主! あそこで突っ立ってるお前の父ちゃんを呼んでこい。 酒だ酒だ!」
すっかり出来上がってる酔っぱらいの言葉に多感な御年頃のロンダークさんは気分を害したのか、疲れきったように大きな溜め息をはいて押し黙った。
このような場所には子供だけで出入りなど出来ない。
だからといって王子である事を晒す訳にはいかない。
それならば父親としておいたほうが相手も油断してくれる。
「おっちゃんこれ旨いね」
「だろう! 塩茹でしただけの簡単な料理なんだが旨いんだよこれが!」
そら豆サイズの大ぶりな豆は、塩ゆですると素材の甘みを強調されて枝豆のようで旨い。
「この豆はここいらの特産なのかい?」
「あぁ、森に入りゃぁそこら辺にぶら下がっとるよ」
うむ、自生植物なのだろうか? なんにしてもこれは是非レイナスで栽培できるならしてみたい。
「乾燥させた豆ならそこいらの店で安く売ってるぜ?」
マジですか、それは是非買って行かねば!
酒場の酔っぱらい達に御礼を言って訪ねたそこいらの店から枝豆を乾燥させた大豆を買えるだけ買い込んだ。
「シオル様、いくらなんでもそんなに買い込んで一体どうするつもりですか?」
「ふふふ、秘密」
フフフフフッ! 大豆、やっと見つけた!
「はぁ、お願いですからあまり問題を起こさないで下さいね」
人聞きの悪い、わたしがいつ問題を起こしたと?
どうやら不満が顔に出ていたようで盛大に呆れられた。
「王宮の糞尿を嬉々として集めては眺めてみたり。 それを王宮の庭園の至るところにばら蒔かれて異臭を放ってみたり」
いや、それは違うぞ! 糞尿を集めたのは可愛いキャロラインに私の身に文字通り降りかかったあの悲劇を繰り返させない為にも必要だったと力説しよう!
それにばら蒔いたんじゃなくて追肥したのだよ。
「そのお陰で豊作だったじゃないですか」
「えぇ、そうですね。 結果的にはあの奇行がもたらした成果であるのは認めますけど一国の王太子が時間が空くと肥溜めの前で中身を覗き込みながら、ニヤニヤとなにらや書き付けている姿ははっきりいって不評でしたよ」
「うっ、それはすいません」
「臣下に敬語を使用しないで下さい」
「すっ、すまない」
言葉遣いも注意されつつ戦利品を積み込み、途中前回ドラグーン王国を訪問した時に立ち寄った村で歓待を受けました。
肥溜めの効果か疫病や病気が減り、腹を下す子供が減ったようです。
また近年は周辺の村や町に比べてこの村だけ豊作が続き、豊作の秘訣を探るために他の土地から移住した人達によって開拓も進み、村が大きくなっていて驚きました。
どうやら出生率も上がったようで子供がわんさか出迎えてくれました。
これはムクロジ効果だね多分。
ついでなのでムクロジも少し買い取りましたが、価格が高騰しているらしく良い御値段でした。
さて無事に王都までたどり着いた為、道中ご一緒した行商人に御礼をして、別れを告げて旅の汚れを落とし、数年ぶりの王城へ向かった。
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