『原作小説』美形王子が苦手な破天荒モブ令嬢は自分らしく生きていきたい!
三十一話『旦那様は意外とお茶目』
私たちがいる国境の街は大国レイス王国の辺境ではあるものの、ローズウェル王国とレイス王国とを行き来する商人達によって想像以上に賑わいを見せている。
海に面したローズウェル王国からは海の幸を干して長持ち出来るようにかこうした干物や塩、真珠など多くの品がレイス王国へと輸出されていたりする。
反対にレイス王国は気候変動が緩やかで肥沃な穀倉地帯が広がっており広大な平野を利用して穀物を育て畜産に力をいれている。
また葡萄畑も有名でレイス王国のワインは銘酒として高値で取り引きされ、その品質の高さから王公貴族が好んで購入している。
また穀物や加工した肉やチーズ、ワイン等も高級品として各国に輸出されていく。
自国でも第一次産業として農耕は行ってはいるものの、どうしても沿岸部は潮風の影響を受けてしまうのか実りが悪い。
かつて戦乱が続いていた時代に大国だったドラグーン王国との戦争に打ち勝ちレイス王国はその国土を大きく広げた。
レイナス王国の竜王と友好な関係を築き上げた賢王アールベルトの話は有名で、レイス王国の西にあるマーシャル皇国の皇帝とレイス王国の姫のラブロマンスは吟遊詩人によって今も伝えられ乙女達の憧れとなっている。
まぁ説明はこのくらいにしてっと。
「ねぇカイ! あれ、あれが食べたい!」
「わかった、わかったから焦るな転んだらどうする!」
一応二人ともお忍び用に着替えを済ませて、カイをぐいぐい引っ張りながら強烈に良い匂いを発している串焼きの屋台に連れていく。
「大丈夫ってきゃっ!?」
忠告を聞き流そうとして見落とした石ころを踏みつけて案の定バランスを崩した私をカイが危なげなく支えてくれる。
「だから言っただろう、肉は逃げないから落ち着け、わかったか?」
「ごっ、ごめんなさい」
ううぅ面目ない。 デートらしいデートはレイナス王国以来だったこともありはしゃぎすぎてしまったみたい。
改めて二人で手を繋ぎながら屋台に出来た列に並ぶ。
勿論どらたまも一緒に私の足元に良い子で転がっている。
本当にこちらの言葉を理解しているみたいに反応したり、状況を的確に判断してこうしてじっとしている竜卵の能力には脱帽だわ。
人差し指から親指の先程の長さの木を削って作られた串に私じゃ一口では無理そうな大きさの塊肉がゴロゴロ刺さった串焼きを三本購入してカイがお金を払ってくれた。
他にも私が食べたいと騒いだ物を買い取って持参した布袋にいれて屋台のある市場内にある広場に設えられた金属の椅子に座って休む。
服が汚れないようにカイが先導して私の座る位置に素早くハンカチを広げてわざとらしくエスコートして見せるから笑えた。
だって自然にエスコートしなれた彼がわざわざ地面に膝を着かないようにしながらも姿勢を下げて執事さながらに「こちらへお座りくださいマイプリンセス」って思わず吹き出して笑ってしまった。
「どこから覚えてきたのそんなこと」
「フォルファーが渡してきた本だな確か『これで貴方もモテ男! 好きな女性を落とす手管集』だったか、理解は出来ないがそれなりに面白かったから実践してみた」
ぶふぉ、なんだその本、道理でカイらしくないと思ったらそういうことだったのね。
「私も読んでみたいから後で貸してね」
「わかった、リシャが読み終わったらドラクロア辺境伯に渡そうと思っている」
ニヤリと悪巧みする顔もきまってるねさすがイケメン。
ちなみにグラスト・ドラクロア辺境伯はローズウェル王国とフレアルージュ王国との国境に領地を持つドラクロア領地を治る領主だ
特徴としては深緑の右目の上を額から頬にかけて縦に走る大きな傷痕を庇うかのように黒い絹で作られた眼帯だろうか。
今は現役を引退しているが、泣く子も黙る我が国の歴戦の大将軍は歴戦の猛者にして愛妻家としても有名で、年の離れた王姉のセイラ様を溺愛している。
というよりもセイラ様が推しきったらしいけど、そんな辺境伯はこの本の持ち主であるフォルファーの父である。
「息子の趣味を把握しておかねば跡継ぎの花嫁捜しも難航するだろ?」
茶目っ気たっぷりのカイとどうでも良い話をゆっくりするこんな時間も久しぶりですごく楽しい。
かじりついた串焼きは甘辛い醤油ベースのタレで味付けされていてとても美味しいけど、いかんせん肉が大きすぎる。
「リシャ、口許にタレがついてるぞ?」
「えっ、うそ!」
スッ、と伸びてきたカイの手が頬を撫でて親指が私の唇をなぞり、タレを拭うとその指を自分の口許に運び艶を帯びた赤い舌がぺろり。
ぎゃぁぁぁあ! なんだそれなんだそれなんだそれ! それも本に載ってるっての!?
ただいま絶賛頭の中は大混乱しております、しばらくお待ちください。
どうやらフリーズしていたらしく気がつけばカイの串焼きは全て無くなり何事もなかった様に平然としている。
うん、これは素だね。
本に載ってたやつじゃないな絶対に。
海に面したローズウェル王国からは海の幸を干して長持ち出来るようにかこうした干物や塩、真珠など多くの品がレイス王国へと輸出されていたりする。
反対にレイス王国は気候変動が緩やかで肥沃な穀倉地帯が広がっており広大な平野を利用して穀物を育て畜産に力をいれている。
また葡萄畑も有名でレイス王国のワインは銘酒として高値で取り引きされ、その品質の高さから王公貴族が好んで購入している。
また穀物や加工した肉やチーズ、ワイン等も高級品として各国に輸出されていく。
自国でも第一次産業として農耕は行ってはいるものの、どうしても沿岸部は潮風の影響を受けてしまうのか実りが悪い。
かつて戦乱が続いていた時代に大国だったドラグーン王国との戦争に打ち勝ちレイス王国はその国土を大きく広げた。
レイナス王国の竜王と友好な関係を築き上げた賢王アールベルトの話は有名で、レイス王国の西にあるマーシャル皇国の皇帝とレイス王国の姫のラブロマンスは吟遊詩人によって今も伝えられ乙女達の憧れとなっている。
まぁ説明はこのくらいにしてっと。
「ねぇカイ! あれ、あれが食べたい!」
「わかった、わかったから焦るな転んだらどうする!」
一応二人ともお忍び用に着替えを済ませて、カイをぐいぐい引っ張りながら強烈に良い匂いを発している串焼きの屋台に連れていく。
「大丈夫ってきゃっ!?」
忠告を聞き流そうとして見落とした石ころを踏みつけて案の定バランスを崩した私をカイが危なげなく支えてくれる。
「だから言っただろう、肉は逃げないから落ち着け、わかったか?」
「ごっ、ごめんなさい」
ううぅ面目ない。 デートらしいデートはレイナス王国以来だったこともありはしゃぎすぎてしまったみたい。
改めて二人で手を繋ぎながら屋台に出来た列に並ぶ。
勿論どらたまも一緒に私の足元に良い子で転がっている。
本当にこちらの言葉を理解しているみたいに反応したり、状況を的確に判断してこうしてじっとしている竜卵の能力には脱帽だわ。
人差し指から親指の先程の長さの木を削って作られた串に私じゃ一口では無理そうな大きさの塊肉がゴロゴロ刺さった串焼きを三本購入してカイがお金を払ってくれた。
他にも私が食べたいと騒いだ物を買い取って持参した布袋にいれて屋台のある市場内にある広場に設えられた金属の椅子に座って休む。
服が汚れないようにカイが先導して私の座る位置に素早くハンカチを広げてわざとらしくエスコートして見せるから笑えた。
だって自然にエスコートしなれた彼がわざわざ地面に膝を着かないようにしながらも姿勢を下げて執事さながらに「こちらへお座りくださいマイプリンセス」って思わず吹き出して笑ってしまった。
「どこから覚えてきたのそんなこと」
「フォルファーが渡してきた本だな確か『これで貴方もモテ男! 好きな女性を落とす手管集』だったか、理解は出来ないがそれなりに面白かったから実践してみた」
ぶふぉ、なんだその本、道理でカイらしくないと思ったらそういうことだったのね。
「私も読んでみたいから後で貸してね」
「わかった、リシャが読み終わったらドラクロア辺境伯に渡そうと思っている」
ニヤリと悪巧みする顔もきまってるねさすがイケメン。
ちなみにグラスト・ドラクロア辺境伯はローズウェル王国とフレアルージュ王国との国境に領地を持つドラクロア領地を治る領主だ
特徴としては深緑の右目の上を額から頬にかけて縦に走る大きな傷痕を庇うかのように黒い絹で作られた眼帯だろうか。
今は現役を引退しているが、泣く子も黙る我が国の歴戦の大将軍は歴戦の猛者にして愛妻家としても有名で、年の離れた王姉のセイラ様を溺愛している。
というよりもセイラ様が推しきったらしいけど、そんな辺境伯はこの本の持ち主であるフォルファーの父である。
「息子の趣味を把握しておかねば跡継ぎの花嫁捜しも難航するだろ?」
茶目っ気たっぷりのカイとどうでも良い話をゆっくりするこんな時間も久しぶりですごく楽しい。
かじりついた串焼きは甘辛い醤油ベースのタレで味付けされていてとても美味しいけど、いかんせん肉が大きすぎる。
「リシャ、口許にタレがついてるぞ?」
「えっ、うそ!」
スッ、と伸びてきたカイの手が頬を撫でて親指が私の唇をなぞり、タレを拭うとその指を自分の口許に運び艶を帯びた赤い舌がぺろり。
ぎゃぁぁぁあ! なんだそれなんだそれなんだそれ! それも本に載ってるっての!?
ただいま絶賛頭の中は大混乱しております、しばらくお待ちください。
どうやらフリーズしていたらしく気がつけばカイの串焼きは全て無くなり何事もなかった様に平然としている。
うん、これは素だね。
本に載ってたやつじゃないな絶対に。
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